小説家、精神科医、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、精神科医、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

ロリータ・コンプレックス

2009-08-09 01:02:59 | Weblog
ある所の壁でテニスの壁打ちをしていたら、小学生くらいの子供の集団がランニングしていた。子供が前を通る時、一時、壁打ちを中止しなくてはならない。ある時、一人の子供が走ってきたので、壁打ちを中止した。何気なく見ると、メガネをかけた、ものすごく可愛い女の子だった。私は思わず目をみはってしまった。そのため、少女は私が壁打ちを邪魔されてじれったいと思っていると、思ったのだろう。笑顔でペコリと頭を下げた。「うっ。可愛いっ」彼女が去って、私はまた壁打ちを始めた。建物の周りを走っているので、また彼女がやってきた。ううっ。可愛いっ。汗がすがすがしい。素直そう。「素直そう」と言っといて、そう言う手前は素直なのか、と言われれば、今は素直なのかどうなのか、わからない。少なくとも子供の頃は素直だったような気もするが、子供の頃からひねたガキだったような気もする。しかし長上を敬し、大人にたてついた事はない。ひ弱だったから。先生のような監視役の人もいる。何なのだろう。単なる運動の授業か、バスケットかバレーボールの体力づくりのロードワークか。スカートが短い。うっ。かわいい。激しい苦悩が私に襲いかかった。私は急いで近くのコンビニに行って、チョコレートとメモ帳を買った。
私は早鐘を打つ心臓を押さえて彼女が来るのを待った。彼女がやってきた。私は急いで彼女に駆け寄った。「あ、あの・・・」「はい。何でしょうか?」「サインして下さい」「はい。いいですよ」少女はニコッと笑ってサインした。斉藤久美と書いてある。「久美さんですね。素敵な人とめぐり合って幸せになって下さい」私はそう言うと一目散に駆け出した。こうして僕の初恋はおわった。
というのはウソで、私が苦悩して、うがー、と唸りながら地面を転げまわっていたら、少女がやってきて私に声をかけたのである。「おにいさん。どうしたんですか。救急車よびましょうか」「い、いや。いいんだ。僕は持病で、時々、痙攣発作が起こるんだ」「どういう病気ですか」「突発性ロリコン発作症候群という奇病なんだ」「何か私に出来ることがありますか」「濡れたタオルで頭を冷やしてくれると助かる」「じゃあ、すぐ持ってきます」そう言って少女はすぐに駆け出した。少女はすぐに濡れたタオルを持ってきた。「はい。おにいさん」そう言って少女は私にタオルをわたしてくれた。私は額にタオルをのせた。「どうですか」「ありがとう。楽になったよ」「そうですか。それはよかったですね」少女はニコッと笑った。「あ、あの・・・」「何ですか」「お嬢ちゃんがいなくなると、また発作が起こりそうな気がするんだ」「じゃあ、しばらく私がついてます」「ありがとう。助かるよ」その時、地球が爆発した。
というのもウソで、少女が三回目に回ってきた時、少女はハアハア息を切らしていたのである。少女は足がガクガクでついに座り込んでしまった。のである。
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