人の人生は、若い人はこれから先があると思っています。
老いたる人は過去の夢をたどって一生としています。
しかし、これ全く間違いだと思います。
人の一生は今日の積もったものです。
もっと適切に言えば、今の積もったものが一生です。
例えば、一千万円は一円の積もったものです。
一円を欠いても一千万円にはなりません。
今なくして一生はありません。
過去は既に過ぎ去り、未来は未だに来らずです。
ですから、人生は今日にありと言わなければならないと思います。
過去を顧みて現在の誡めとするのは良い事です。
しかし、いつまでも取り返しのつかない過去に引っ掛かっていては
愚の骨頂です。
又、先のことばかりに引きずられていくのは誇大妄想です。
古歌に 「過去を思い 未来をここに引き寄せて 今現在を 常闇にする」
とあります。
今日あっての過去です。
今日あっての未来です。
否、過去も現在も今日(即今 そっこん)となって 「現成(げんじょう)」
しているのです。
今日なくして人生なし。
今日を完全に送る人は 「聖賢(せいけん)」 です。
「地限り、場限り」 と白隠(はくいん)和尚は、いつも言われました。
“その場その場を空しくするな” という意味です。