活かして生きる ~放禅寺の寺便り~

娑婆世界を生きる智慧/おシャカ様・禅・坐禅・法理・道のこと

人の人生

2016年07月16日 | 法理

人の人生は、若い人はこれから先があると思っています。

老いたる人は過去の夢をたどって一生としています。

 

しかし、これ全く間違いだと思います。

人の一生は今日の積もったものです。

もっと適切に言えば、今の積もったものが一生です。

 

例えば、一千万円は一円の積もったものです。

一円を欠いても一千万円にはなりません。

 

今なくして一生はありません。

過去は既に過ぎ去り、未来は未だに来らずです。

 

ですから、人生は今日にありと言わなければならないと思います。

過去を顧みて現在の誡めとするのは良い事です。

しかし、いつまでも取り返しのつかない過去に引っ掛かっていては

愚の骨頂です。

 

又、先のことばかりに引きずられていくのは誇大妄想です。

古歌に 「過去を思い 未来をここに引き寄せて 今現在を 常闇にする」

とあります。

 

今日あっての過去です。

今日あっての未来です。

否、過去も現在も今日(即今 そっこん)となって 「現成(げんじょう)」

しているのです。

 

今日なくして人生なし。

今日を完全に送る人は 「聖賢(せいけん)」 です。

 

「地限り、場限り」 と白隠(はくいん)和尚は、いつも言われました。

“その場その場を空しくするな” という意味です。