CORRESPONDANCES

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Yoshiko Ishii est morte : 石井好子かもめを歌う (1)

2010年07月21日 21時34分21秒 | 追悼:石井好子

ニュースで石井好子さんの死亡が報じられている。
友人からも電話がかかってくる。想い出を話す。
26,7年間いろんなことを語り合ってきた。
石井先生の凄いところは、ルネ・ルバはこんな声をしている、ミック・ミッシェルはこんな声をしていると、声の質でたいていの歌手の聞き分けができることだ。誰の声は誰と誰の声を足して2で割ったような声だ、という判定まで出来てしまう。古いレコード歌手で録音の悪さから、みんな同じような歌い方でみんな同じように聞こえてしまうような歌手の声なのにである。本場フランスで本物の歌手達と接触されてきたからこそである。
26,7年の間に歌ってみてはいかがですかと、3度提案したことがある。
勿論まずはBarbaraである。あの高音はでないと、断られた。2度目はRegine
Pourquoi un pyjama ? だった。イメージ・チェンジを勧めたのだが、これもお気に召さなかった。この曲はコミカルなのだが、自在に声を操れる人にしか歌えない実力派歌手の曲だと思ったからだった。後にRegineのLes p'tits papiers をレパートリーに加えられた。3度目はClaude FrancoisLe Chanteur Malheureux。歌詞はMy Wayほどに内容を変えてと。これはOKされて確か永六輔氏の日本語歌詞が付いている筈だ。結局はお蔵入りしたのだけれど。石井先生のレパートリーにはMichel Sardouも入っているくらいだから男女を問わない。

ダミアからDamiaまで / 石井好子
01.港町の居酒屋
02.云わないけれど
03.想い出
04.哀訴
05.いつの日か
06.バルバリ・バルバラ
07.海辺のバラード
08.夕映えの二人
09.サン・ザムール ~ ガラスの薔薇
10.暗い日曜日
11.人の気も知らないで
12.異国の人
13.かもめ
これは5,6回とり直しをされて、長い月日がかかった。10.暗い日曜日はなかったのだ。「
暗い日曜日」のないDamiaはおかしいといって、最後の1ヶ月に4曲を押し込んでみてはと提案した。私の好きな「港町の居酒屋」はTopに来ている。練習はされたが入らなかった2曲は
Damia - "
Le grand frisé " (1933)
La Guinguette a fermé ses volets :
Le grand friséに関してはBarbaraの「Le grand frisé」を送ったら「大変参考になった」と言って下さった。この曲は石井先生も大変お気に入りで意欲的だったのだけれど、時間切れのためにカットされた。

Yoshiko Ishii 見えない鳥の存在:Blog版:
上のBlogにも書いているが、You Tube等の共有動画サイトに、つまりinternet上に石井好子氏の動画は一切ない。日本人シャンソン歌手の動画も増えてきているのだが。石井好子氏のDVDから亡き友Jacquesに制作して貰ったBruxelles所有の「かもめ」が密かにあるだけだ。Internetに出してもいいですかと申し出たら「あなたのすることなら、なんでも了解」と言っていただいた。今日は特別の日だ。唯一存在するその動画をお見せすることにする。
(ある方にYou TubeにUpしていただいた)
You Tube
石井好子 かもめ

死因は肝不全となっている。本人には告知されなかったのではないだろうか。そのようなことは全く聞いていない。腰の調子が悪い。風邪が長引いている、としか聞いていない。あまりに不調が長いので、主治医に談判してみましょうか、とも申しでた。今は坦々と書いているが、明日からがきついだろう。ある意味母親のような方だった。
後半の10年は彼女の父や
祖父の背景に拡がる歴史や政治のことに関心を集中させていた。政治・産業そして歴史の証言者としての石井好子氏にもっともっと多くの貴重な体験をお聞きしたかった。

追記:2010年7月22日
早速You Tubeに素敵な歌で登場した。
追悼:石井好子 帰り来ぬ青春 Hierencore1989