
「縁結びの神」として知られる、大国主大神(おおくにぬしのおおかみ=だいこくさま)を祀る出雲大社。今年は、私の担任する学年の生徒たちが三年生になるので、入試や就職試験に合格して、大学や専門学校などの進学、あるいは就職先と幸せなご縁を授かるようにお祈りしてきた。
昨年ここに来たときはまだ、写真奥の本殿が大修造中で、工場のように周りを覆われ、全く見えなかった覚えがある。しかし今回は、六十年に一度の「大遷宮」を今年の五月に控え、清らかに蘇った姿を見ることができた。背後の八雲山の緑と空の青に引き立てられ、葺き替えを終えた真新しい檜皮(ひわだ)と、千木・勝男木を頂いた本宮が、美しく映えている。
出雲大社では、生まれて初めて祈祷というものを受けた。生徒たちの学業成就を祈ろうと、受付で初穂料を納め、呼び出しを受けるまで待って、祈祷場所に移動。厳粛な雰囲気の中、祝詞があげられ、巫女さんが五色の帯のついた鈴を振り鳴らしながら舞う。その様子を見ていると、演劇が元来、神事に由来するというのがよくわかる。祈祷が終わり、御神酒を頂いて出てきた。次は神楽殿へ。

この神楽殿は、昭和五十六年に造営されたもので、祭典、祈願、結婚式などが行われる。私の大学の先輩は、ここで結婚式を挙げていた。(年賀状に、その時の写真が映っていた)。

この大注連縄(しめなわ)は長さ13.5㍍、胴回り9㍍、重さは五㌧もあり、日本最大の大きさなのだという。出雲大社では何もかもがスケールが大きく、ほとんど圧倒されて帰ってきた。
…今日の授業の時、生徒に、
「君たちの合格や進路実現を、出雲大社で祈願してきたよ。」
という話をした。
「だいこくさまは、どんな願いでも聞き入れてくれるらしいよ。」
と言ったあとで、この話を都合のいいように解釈され、努力を怠る生徒が出てきては困ると思い、
「あ、もちろん、自助努力しないヤツはだめだけど…。努力した生徒にはすばらしいご縁が、そうでない生徒にはそれなりに。」
と言ったら、生徒たちが笑っていた。