雲のむこうはいつも青空

まったりもったり~自閉症息子のいる暮らし@ちびくまママ

眠らない病棟

2006年10月23日 | 入院生活
実はこの病棟に、私より若い患者さんは3人しかいません。
(看護師さんに教えてもらいました)
同じ病室には他の患者さんよりひときわ若い女性が1人いましたが
その人でさえ61歳だということでした。
あとの患者さんは大部分が私の母よりずっと年上、おそらく
病棟の平均年齢は80歳以上でしょう。
だからこそ、40代の私が「若い」と表現されたのです。

昼間はあまり目立たない、その人たちの「困った」様子が
夜になるとはっきりわかります。

少し認知症が入っているのか、トイレに行ったはいいが
帰りに間違えて私たちの部屋に入ってきて寝ようとするおじいさん、
夜中に非常口から出ていこうとして、看護師さんにとめられている
おじいさん、
夜中のトイレのたびに、ナースコールでなく、「かんごふさーーーん」と
病棟中に響き渡る大声で呼び続けるおじいさん。(多分、こうすると
他の患者さんに迷惑をかける分、早くかけつけてもらえると
学習しちゃったのでしょうか)
「いたい~、い~た~い~~」と絶え間なくうめき続けるおばあさん。

その他にも夜中のトイレに自分で立てない人がこの病棟にはたくさんいて、
ベッドサイドのポータブルトイレに座らせてもらったり、車椅子で
トイレに連れて行ってもらったり。

看護師さんが詰め所にいないときには、看護師さんが持った携帯端末に
ナースコールが届いて呼び出し音を立てています。
これまでもずっとこうだったのか、今までそうだったのに気がつかなかった
だけなのか、2~3分おきに病棟のどこかでナースコールが鳴って
そのたびに、パタパタと小走りに駆けつける看護師さんの足音が
聞こえました。

詰め所の横の部屋では重症患者さんにつけられた輸液ポンプと
酸素・心拍のモニターが絶え間なく「ピッ、ピッ、ピッ」と
規則正しい音を立てています。

時々、「ピーーーーッ、ピーーーーッ」と言う警報音が
鳴り響き、そのたびに看護師さんたちがばたばたと駆けつけて
処置をしているようです。

ここは「眠らない病棟」なのだと思いました。
一見、夜7時過ぎにはもう電気が消えて、眠ったように見えるけれど、
ここの患者たちを支える人たちには夕方5時から翌朝9時まで
ほとんど息をつく暇さえない。

病院という場所は、高齢で介護の必要になった人たちは、こういう
人たちの献身に支えられているのだ、ということを、改めて
痛切に感じました。
自閉症児を育てる大変さは知ってはいても、今まで病気にも
高齢の人たちにも縁のなかった私にとっては、全く新しい経験でした。