雲のむこうはいつも青空

まったりもったり~自閉症息子のいる暮らし@ちびくまママ

交流キャンプ(その2)

2006年07月25日 | 楽しい学校生活
目的地に着いた子どもたちは、持参したお弁当を食べた後、
班ごとに分かれて、自分たちの夕食のカレーを作ります。
毎年恒例のこの飯ごう炊さんには、写真入の手順表が
用意されており、視覚支援もばっちりです。
ちびくまは介助のT先生と一緒に、材料切りも全ての食材に
挑戦し、大張きりでした。
できたカレーはお代わりしてもりもり食べます。
後片付けは班のお友だちの分まで頑張ったそうです。

子どもは圧倒的に男の子が多く、大人は女性のほうが多いのが、
障級行事のお約束。入浴は男の先生たち総動員で大変な騒ぎです。
ちびくまは去年までM小にいて今は市教委勤務のN先生に
お風呂に入れてもらいました。大好きなN先生と一緒の
お風呂でとても嬉しかったようです。

夜すっかり暗くなるとグラウンドで花火大会、が例年のプログラムですが
今年は雨天のため、体育館でミニコンサートになりました。

疲れたのか、就寝時間になると素直に布団に入って30分ほどで寝つき、
そのまま朝までぐっすり。介助の先生の手を焼かせることもなかったようです。

翌日は、朝食後、体育館に集まって、手作り楽器を使って
楽しく音楽遊びをする「ふれあいコンサート」。
ちびくまはこれものりのりで参加しました。

昼食後、終わりの会をして、バスに乗り込み、帰途につきます。
高速道路の整備が進んだおかげで、予定より30分も早く帰ってきました。

次々にK小学校の敷地に入ってくるバスをお母さんたちが出迎えます。
ちびくまは、バスのまどから私の姿を認めるとにっこり笑いました。
介助の先生もにこにこ笑って、「ちびくまくんとのお泊りはこれが
初めてなので、どうなるかと思ってましたけど、もうすっかりスケジュールや
自然の家の中の様子がわかってて、さっさと動いちゃうので
私は後を付いていってるだけでした。これなら、私はあと2,3泊しても
全然平気ですよ~、とっても楽しかったです」と言ってくれました。

昔はとても手がかかって、先生と親とで見ていてちょうどいいくらいだったの
ですが、小さい時からしっかり介助してもらってきた分、ちびくまも
介助され上手になったのかも。
ともあれ、支援してくれる人ときちんと信頼関係を結んで、大きく集団の
和を乱さずに安定して活動できることは、将来に向けてとても大切な
スキルだと思います。

このキャンプも、参加できるのはあと3年。来年の夏は中学生となっての
参加になります。来年も笑って参加でき、笑って帰ってきてくれるように
祈っています。


交流キャンプ(その1)

2006年07月24日 | 楽しい学校生活
24日25日の1泊2日、ちびくまは市教委主催の交流キャンプに
出かけました。例年通り親は行かず、子どもには先生がマンツーマンで
付いてくれるほか、スタッフの先生方とお医者さんと看護婦さんも
同行する、という至れりつくせりの体制です。

このキャンプは、市内在住で養護学校か障碍児学級に在籍する子どものうち、
5年生から中学3年生までが対象ですが、なんと付き添いの先生方も
含めて約200人、大型バス5台の大所帯。

楽しみにしていた行事はことごとく晴れる「晴れ男」のちびくまでは
ありましたが、今回は梅雨前線に負けたらしく、集合時間には
大雨が降っていました。

車で集合場所の小学校の正門前に乗り付けると、M小の先生方が
待っていてくれます。子どもと荷物を先生に預けてから、駐車場に
車を停めにいき、その後子どもたちの出発式の様子を見に戻りました。

ちびくまには、介助のT先生が付き添ってくれることになっています。
「ちびくまくんは、ことしはT先生といっしょにいくんだね。
 いっしょのおへやでねんねするね」
と、ちびくまのほうでも心得たもの。雨の中、屋根のある狭い通路に
ぎゅうぎゅう詰めになっていてもへっちゃら、私と離れて
1泊することもわかっていますが、自然学校と修学旅行を終えた今、
余裕しゃくしゃくです。

さすがに6年目の参加ともなると、他の学校の先生や親御さんにも
顔見知りが増えました。
ちびくまが1年生から3年生まで地域校交流でお世話になった
元F小障担のF先生も見送りに出てくれていました。
今は通常学級の担任なので、この交流キャンプには直接関係が
ないのですが、F小で担任したYくんやちびくまのことが気になって
わざわざ見にきてくれたようです。
遠目にちびくまを見て「さすがに6年生ともなると違いますね~、
むちゃむちゃがっちり したなあ~」と感嘆し、ちびくまに近寄っていって
「ちびくまくん、元気で楽しんでおいでなあ」と声をかけてくれていました。
その他にもあっちの校長先生、こっちの障担の先生、という感じで
「じゃあ、行って来ます、ちびくまくんと一緒に楽しんできますよ」と
声をかけてくれて、私は「お世話になります、どうぞよろしくお願いします」と
頭を下げまくり。なんとバスの運転手さんの1人まで顔見知りで
「お子さんたちをお預かりしますね~」とにっこり笑ってくれました。
こんなにこの市にちびくまと私を知ってくれている人、一言言葉をかけようと
思ってくれる人がいるんだなあ、となんだか力強く思いました。

さて、出発時刻になり、5台のバスが次々に出て行きます。
3号車に介助のT先生と並んで座ったちびくまも、にこにこ笑いながら
手を振って出発していきました。
大雨の中傘をさして、「いってらっしゃ~い」と手を振るお母さんたちだけが
そこに残されたのでした。

別人。

2006年07月16日 | Wonder of Autism
今日は月に一度の動作法の訓練会。
トレーニーの子どもたちは下は3年生から上は19歳まで8人、
それにスーパーバイザーの先生が2人、あと指導や勉強に来てくださる
先生方が数名、先生たちは全てボランティアです。

この春から、スーパーバイザーの先生が、勤務先の養護学校の
若い先生たちにも声をかけて、新しく来てもらえるように
誘ってくださいました。

今日、ちびくまと訓練室に入ると、中に既に座っていた
初参加の若い女性の先生が「あっ」と声を上げました。
「ちびくまくん、すごく大きくなってる~」

実はこのF先生、ちびくまと私がアメリカから帰国した2000年に
今も通っている教育大にお世話になるようになったとき、
そのゼミの院生1年生だったお嬢さんなのです。
修士課程を終了後、別の県で養護学校の先生になり、
今回郷里の兵庫県で採用になって地元の知的障碍養護学校に
着任されたのでした。しかも、M小でちびくまを3年生から5年生までの
3年間担任してくれたK先生と同じ学校、同じクラスの担任。
世間って本当に狭いんですね。

さて、訓練が始まると、親子でそれぞれ訓練を進めながら
要所要所で先生方の指導を受けます。
ちびくまにも、M先生が指導をしてくれ、その間も
F先生はちびくまの様子を近くで観察していました。

「どうや、ちびくまくん、これはきついか?」
「ううん、だいじょうぶ」
「じゃあ、こうしたらどうや?」
「あっ、きつい」
「そうか、これはきついか、でもちょっとがんばってみよか」
「はい、がんばってみます」」

そんなやりとりをしながら訓練をすすめるちびくまとM先生の様子を見て
F先生は「すっご~い、別人みたい~」。

それもそのはず、F先生が知っているちびくまは、まだほとんど
日本語が通じず、発語もほとんどが英語で、しかも独り言のようなものが多く、
課題に誘っても反応がなかったり、途中で逃げ出したり、
そもそも教室に入ろうとしなかったり、という状態だったのですから。
言語指示に従うことは皆無ではなかったけれども、言語で相手と
「やりとり」をしながら行動できるようになる、とは、当時の彼の姿からは
ちょっと想像できなかったに違いありません。

ごく限られた場面でごく限られた相手に対して要求を伝えるだけだった
ちびくまの言葉がぐんと伸びたのはやはり小学校に入ってからです。
マンツーマンで、決して強くない発信をしっかり受け止めてもらい、
語彙もコミュニケーション能力も驚くほどの成長を見せたのです。
今、ちびくまの周りに、彼が話し言葉を持たなかった頃や
日本語を理解しなかった頃があったことを実際に知る人はほとんどいません。

「どうりでK先生と私と話が食い違うはずですよ~。私、そろそろ
 ちょっとくらいおしゃべりができているかな、と思ってK先生に訊いたら
 『ぺらぺらしゃべってますよ、会話ができますよ』って言うし~。
 なんだか私の記憶にあるちびくまくんとは、完全に別人ですよね。
 すごいな~、こんなに伸びることがあるんですね」

ちびくまの昔話や、懐かしいK先生やお友だちのお子さんの近況などで
すっかり盛り上がり、訓練が終わった後も楽しくおしゃべりしてしまいました。

親は毎日子どもを見ているので、子どもがどれだけの進歩を遂げてきたのか
忘れて、愚痴や不満が出ることがあります。
でも改めて我が子の「来し方」を見直させてもらって、また新たな気持ちで
息子の成長をこれからも応援していこうという気持ちになることができました。

こうして、ちびくまの「応援団」は、1人また1人と輪が広がっていきます。


海水浴

2006年07月13日 | 楽しい学校生活
今日は毎年恒例の障級の臨海学習の日でした。
バスで日帰りの海水浴。
もちろん、ちびくまは大好きな行事です。

ここ数日、梅雨空が続いて、天候が危ぶまれたのですが、
そこは「晴れ男」たるちびくまのこと、薄雲はかかっていましたが
まずまずの海水浴日和。

いつものように、私が集合場所まで車で送ることになりました。
駐車場に車を停めていると、ちょうど息子を今日担当してくれる
介助のT先生が通りかかって
「私、去年までの臨海学習のとき、ちびくまくんを遠目に見ては
いたんですけど、今年がちびくまくんの初体験です。とても
楽しみにしています」とにっこり。
「いや~、とっても大変だと思いますよ~。よろしくお願いします」と挨拶。

修学旅行に一緒に行ってくれた介助のI先生や担任のM先生にもご挨拶。
「お天気が心配だったんですけど、やっぱりちびくまくんは晴れ男ですね」
とI先生。修学旅行の細かい様子については、便箋8枚にびっしり
レポートを書いてくれたI先生ですが、その他にも書ききれなかった様子なども
しっかり聞かせてくれました。

子どもたちの準備が整うのを待つ間、肢体クラスのK先生ともおしゃべり。
「H先生は今日は先発隊ですか?」
「そうなの。今年はうち、男手が足りないでしょ、校長先生にも一緒に
 行ってもらったのよ」

先発隊とは、子どもたちが着く前に場所取りをして、テントを張ったり
シートを敷いたりする肉体労働。

「え~っ、校長先生そんなことまでされるんですか?修学旅行のときも
 うちの子と同室で寝ていただいたと聞いてびっくりしたんですけど」

「うちの校長、ほんとに子どもが好きなのよね~。もう
 子どものことなら喜んでやってくれるんだから。今日はね、Tちゃんの
 おもりも頼んじゃおうと思って(笑)」

うちの学校の校長先生は、いつも子どもの中に入っていて、
子どもたちからよく知られ、身近に感じられていること、
いつもこまごまと体を動かしている働き者であることで
保護者の間でも有名ですが、子どものためなら本当に何でもやってくれる感じです。
こんな先生こそ出世できる仕組みであってほしいなあ、と切に思います。

息子は海を思い切り満喫し、お弁当をしっかり食べた後はまたすぐ
海に入り、浮き輪で「サーフィンごっこ」もし、帰りのバスの中では
持参したビデオもしっかり見せてもらって、

最後の臨海学習を存分に楽しんできたようです。
また1つ、ちびくまの小学校生活最後の行事が終わりました。
残り少ない宝物をいとおしむように、息子の残された小学校生活の日々を
大切に思う私がいます。

プール交流

2006年07月06日 | 楽しい学校生活
今日はちびくまが、地元F小へプール交流に行く日でした。
昨日は大雨、朝は曇り空、天候が危ぶまれたのですが、そこは
晴れ男の面目躍如、気温も水温もぎりぎりOKで、その上
プールに入っているうちに、青空と太陽が覗く日和となりました。

同年代の子ども集団に囲まれたり、口々に話しかけられたり
体に触られたりするのが苦手で、1年生のときF小での
子どもたちの「大歓迎」にこれまでにないパニックを起こして
しまったちびくまを見て、

「ちびくまくんはプールが大好きで、プールの時なら周りの子の
騒ぐ声も近くに来られるのも大丈夫なんですもの、これを
交流のネタにしてもらいましょうよ」
当時の担任M先生が提案してくれたのがそもそもの始まりです。

F小に在籍しない子を学校のプールに入れることは、何かあったときの
責任問題やらなんやらで紛糾し、その年は認めてもらえなかったのですが
双方の小学校の現場の先生方が手を尽くしてくださったおかげで、
翌年、2年生のときから、毎年プールのシーズンにF小を訪ねて
同級生の子どもたちと一緒にプールに入るのが、毎年恒例の
交流授業になりました。

F小に着くと、昇降口で交流担のT先生が出迎えてくれ、一緒に
体育館の更衣室に入って着替えを手伝ってくれました。
ちびくまも、もう5年目ですからすっかり慣れたものです。
「うるさいのが嫌だったら保健室で着替えてもいいよ」との
T先生の言葉にも「みんなといっしょにきがえます」と答えました。

子どもたちが先に着替えてしまって、プールのゲートの前で
先生たちを待っている間、ちびくまは他の子たちとは少し離れた
ところに立っていた私のところへ来ていましたが、ゲートの前に
固まっていた男の子たちのうちの1人がこちらへ来て
「ちびくまくん、1人やったら寂しいやろ、こっち来たら」と
声をかけてくれました。息子も素直に従ってその子と一緒に
ゲート前に並びます。

女子の中からもちらほら「あ、ちびくまくんや、今日来るんやってんな」
「あれ、ちびくまくんも来てるんや」と声が聞こえます。
わずかな機会、わずかな時間ではあるけれども、息子の存在は
この子たちにも「ここに来るのも当然」なものとして受け止めて
もらえるようになっているのだな、と嬉しくなりました。

さて、先生がゲートを開けてくれて、いよいよプールに入ります。
ちびくまはアトピーもちなので、M小では洗体槽に入るのは免除してもらって
いるのですが、F小へ来るとみんなと一緒に洗体槽に入ろうとするのも
毎年のことです。1年生のときから毎日ちびくまと一緒に暮らしてきた
子達がちびくまの行動に向ける目と、月に一度会うだけのF小の子どもたちが
ちびくまに向ける目の、微妙な違いに気がついているのかもしれません。

プールサイドでの準備体操は児童の代表が号令をかけてやりましたが
これもちびくまは周りの子どもたちをお手本にして一生懸命まねて
やっていました。

プールに入る手順もここでは決まっているらしく、先生が笛で合図する
だけですが、ここでもちびくまは周りを見て、わずかに遅れて同じように
行動していました。

2年生で初めて来たときは、障担が付きっ切りで声をかけていてさえ
みんなとは外れた行動ばかりしていたのが嘘のようです。
毎日見ていると案外気がつかないけれども、子どもは確実に成長して
いるんだなあ、と改めて実感します。

約1時間20分のプール授業を満喫したちびくまは、終始
ご機嫌で満面の笑顔、交流を覗きに来た校長先生、教頭先生、
障担の先生、それに交流担のT先生にも
「ちびくまくんはほんまにプールが好きなんですね。
 楽しんでもらえたようで良かった」と言ってもらいました。

小学校最後のプール交流も無事済みました。これから個人懇談が
終わるとすぐ夏休み、あっという間の1学期になりそうです。