雲のむこうはいつも青空

まったりもったり~自閉症息子のいる暮らし@ちびくまママ

体育大会本番

2009年09月16日 | 楽しい学校生活
体育大会の本番は12日の予定でした。
朝から雨が降っている中(それも午後から雨脚が強くなります、と
予報が出ているのに)強行されたのですが、
結局雨で昼前に中断、残りは15日に延期になりました。

ところが、15日も再び朝から雨で、さらに順延決定。
ようやく今日、本来の午後の部を朝からやることになりました。

歩き方がとてもきれいなことで有名な吹奏楽部のマーチングに始まり、
運動部3年生の引退の花道であるクラブ行進と部対抗リレー、
学年ごと全員参加の大ムカデ競走、全校生徒参加のクラス対抗大縄跳び、
伝統の3年生全員による組体操、と
体育大会の見所は全部この日に残された感じです。

元々の予定では12日本番、予備日が14日だったのが
全く予想外の日に延期されたことで、パートの仕事が入ってしまって
来れなかったお母さんたちもいたようですが
それでも思ったより沢山の保護者が見に来ていました。

息子が出るのはまずはムカデ競走。
女子チームがトラック半周したあと、男子チームが
トラックを一周するルールで、息子は男子チームの笛係。
「ぜったい、勝つぞー!」「おーー!」と
気合を入れる各クラスの笛係の中で、1人ほのぼのと
嬉しそうに笛をいじくっている姿に「大丈夫かいな…」と
心配になったのですが

いざ始まると、息子のクラスは女子チームがダントツ1位で
バトンタッチし、男子チームもそのリードを保ったまま
ぶっちぎりの1位でした。
知らない人が見たら、1位の先頭を嬉しそうに伴走する
息子は、チームをうまくリードしたように見えたかも。

ついでの出番はクラス対抗大縄跳び。息子の出来によっては
本番は参加しないという選択肢も考えていたのですが、
練習が思いのほかスムーズに進んだこともあって、
本番もみんなの中に混じって跳ぶことになりました。

が。最初に与えられた2分の練習時間では、1回目で
引っかかりまくる息子。「あっちゃ~」見ている私が
冷や汗をかく中、それでもクラスの中には息子を
責める雰囲気はなく、「がんばろや」「今度はいけるで!」と
励ます言葉が…

「なんて優しい子達なんやろ~。最後なんやから、
 勝ちたいやろに~。本番はなんとかなりますように」
と祈る気持ちの私。

すると、その気持ちが通じたのか、なんと本番は3回とも
息子はひっかかりませんでした。残念ながら、記録はあまり
伸びず、結果は学年最下位に終わってしまいましたが
息子も含め、クラスの子達はみんな明るいいい笑顔で
一生懸命跳んでいました。

最後の組体操。これは運動能力のない息子には
なかなかの苦行ですが、移動するときには誰かが
誘導してくれているし、手や足の置き場所が違うと
直してくれているし、息子の上になる子は息子に
重みがかからないよう重心をずらしてくれていたり、
どうしても息子の上を通って上に上らなければ
ならないピラミッドでは、息子の背中を軽く叩いて
声をかけて合図してから乗ってくれていて、

きびきびした動きと、難しい技を要求される中で、
クラスの男子たちがどれだけ息子を気遣い、助けて
くれているかが伝わってきて、

組体操そのものよりも、そのことに感動して
涙が出そうになってしまいました。

毎年大苦戦する女子の5段タワー(中学生の女子が
男子と同じ技をする組体操、って珍しいのだそうです)も
今年は1回で上がって、大喝采。

毎年、感動的な終わり方をするこの中学の体育大会ですが
今年もしみじみと暖かいものが胸に広がるような
いい大会でした。

息子のクラスは、総合成績でも学年1位になりました。

あと大きな行事は来月の文化祭と、半年後に迫った卒業式を
残すのみ。時間をとめたい気分に駆られてしまいます。


大縄跳び(2)

2009年09月11日 | 楽しい学校生活
中学になると周りの子との差は小学校時代とは
比べ物にならないくらい広がるし、
周りの子も思春期やら受験やらで複雑で
障碍をもつ子はどうしても疎外されたり
もっと悪い場合にはからかいやいじめの対象に
なってしまうという話は残念ながらよく聞きますが

幸い、息子の交流級の子たちはみんなほんわかと
優しくて、これまでもクラスの中で1人明らかに幼い息子を
からかったりすることもなく、特にべたべたちやほや
するわけではないけれど、困っているとき、遅れているときは
さりげなく声をかけたり手伝ったりしてくれることが
よくありました。

息子がみんなと同じようにしたいと精一杯頑張っていて
でもできないのだとわかっていてくれるようです。
あれほど集団に入るのが苦手な息子が当然のことのように
先生の怒声が飛ぶ練習にみんなと一緒に懸命に
参加できるのは、みんなが自分をクラスの一員として
認めてくれているのを実感しているからだろう、と
私は思っていました。

誰にも責められず、誰にも無理を押し付けられない中で、
ありのままの自分を「そういう人」として認めてもらい
さりげなくかばってもらっているから
自分も自分のできる限りの頑張りで応えよう、という
自発的な頑張りが息子のエネルギーになっているようでした。

そして今日。ついに最期のクラス練習となった6時間目の練習で
息子はみんなと一緒に大縄跳びを22回も跳んだのです。

残念ながら、その瞬間を私は見ることができませんでしたが、
すぐに交流担H先生が学級通信のネタにしてくれていました。
文中の「M君」が息子のことです。

 そういえば、体育大会の最後の練習時間、準備のため
 遠巻きで見ていたのですが、M君がみんなと一緒に
 大縄を22回跳んでたね。あまりにうれしくて、M君に近寄り
 思わずハイタッチをしちゃいました。みんなは1年・2年のとき
 M君は大縄本番どうしてたか知っていますか? そうです。
 みんなの跳ぶ大縄の横で応援してたんです。 ○○ルームの
 K先生の特訓の成果でしょう! また、その血もにじむような
 特訓に耐え切ったM君の成果でしょう! みんなと一緒に
 大縄を跳ぶM君。しかし、目を離した隙に「先生~!M君が
 縄に引っかかって一回転した~!」って!それ聞いたときには
 「大丈夫か?」ではなくて「うそっ!見逃した!」って
 思っちゃいました。(M君のお母さんごめんなさい!)
 それでもその後、M君は上機嫌で、僕にいろんな話をしてくれ
 ました。体育大会本番で、M君も一緒に、皆でいっぱい大縄
 跳びたいなぁ~。

息子本人は帰宅直後は何も言わなかったのですが、夜になって
「今日ね。みんなの中に入って、22回も跳べたんだよ~」と
報告してきました。やっぱり嬉しかったんでしょうね。

その日の息子の日記を後で見ると、こう書いてありました。
「ぼくは、22回とんでどう思ったかというと、 
 みんなのおかげで上手にとべるようになったなあ、と
 思いました。」

これは息子が1人で書いた文です。「みんなのおかげで」という
言い回しを彼がどこで覚えてきたかはわかりませんが
「みんなのおかげで跳べるようになった」と彼が自発的に
そう書いたことをとても嬉しく思いました。

後は本番を待つのみですが、私にとってはもう十分です。


大縄跳び(1)

2009年09月10日 | 楽しい学校生活
息子の中学でも体育大会が近づき、毎日厳しい練習が続いています。
1日6時間のうち5時間が体育大会の練習、なんていう
ハードな日程もしょっちゅうで、息子が毎日持って帰ってくる
体操服は、とてもそのままでは洗濯機に入れられないほどドロドロ。

今年は伝統の「3年生の組体操」にも出るので、
半そでシャツ、ショートパンツ、長袖ジャージ、長ジャージの
ワンセットを毎日洗濯せねばならず、親の方も大変です。

リレーなどは選手制なので、息子にはあまり関係がありませんが
全員参加のクラス対抗むかで競走と大縄跳びは運動を大の苦手とする
息子にとっては大きな問題です。

1年生、2年生のときは、むかで競走は笛を吹く係、大縄跳びは
縄の外で一緒にジャンプする、ということで対応してもらってきました。
でも、今年はとうとう障碍のない仲間と一緒に参加する最期の体育大会。
障担K先生は「せめて今年だけはみんなと一緒に大縄を飛ばせてやりたい」と
いう望みをもって、これまで2年半をかけて本人をトレーニングしてきて
くれました。

小学生のときも、担任の先生や、週1で通っていた教育大で
なんとか縄跳びが跳べるように、という指導は繰り返されてきましたが
息子は1回も跳ぶことができませんでした。
それが、K先生が縄跳びの指導を始めた途端、なんとか1回、2回と
跳べるようになり、「どう教えたんだろう」と教育大の院生さんたちの
頭をひねらせることになりました。

縄跳びだけでなく、ランニング、階段昇降、腹筋、反復横跳びなど
全体的な運動能力を底上げするトレーニングに、雑巾がけやバランスボール、
ドリブルなど全身の協調を重点に置いた生活訓練を繰り返したせいか

息子の縄跳びはその後も順調に伸び、自分で縄を持って跳ぶのは
30回ほどはいけるようになりました。
でも、自分で縄を持たないで、縄にタイミングを合わせて跳ぶ
大縄とびはそれよりも難易度があがります。

今度は大縄跳びに焦点を合わせた練習が始まりました。
障級での練習では少しずつ回数が増えたものの、
クラス男子17人で一斉に飛ぶ縄跳びではなかなか
うまくいきません。

息子本人も一度は練習に入るものの、1回目とか2回目で
すぐ引っかかるので、その後はさりげなーく抜けて
そばで見ている、という姿がよく見られました。
息子なりに、自分がクラスの足を引っ張っているのが
わかっているのです。誰に責められたわけでなくても
それを気にするタイプの息子を、無理に参加させるのは
無理だろうなあ、と思っていました。

「本番には出られなくても、今年はみんなの中に入って
 練習ができて、1度でも跳べた、というだけでも
 本人にとっては大きいのではないでしょうか」
私は先生にそう伝えていました。