雲のむこうはいつも青空

まったりもったり~自閉症息子のいる暮らし@ちびくまママ

複雑な時期?

2008年02月24日 | 楽しい学校生活
最近、息子の学校での様子がかなり変わってきたようです。

以前は「いい子」でいようという努力で精一杯で
ただただ先生に言われるままに行動しようという姿勢だったのが、
ちょっと余裕が出てきたというのか、自我が芽生えてきたというのか、

先生の指示にわざと従わなかったり
先生の目を盗んでずるをしようとしたり、嘘をついてみたり・・・。
障担K先生に注意される場面が増えてきました。

まあ、精神年齢が幼いですし、そもそも根が従順ですので、
逆らうとかずるをするとか嘘をつくと言っても
幼稚園児なみで可愛いものではあるのですが

そうは言っても、それを見過ごして
本人にそれが社会で通ると思ってもらっては困るので、
K先生としては内心大笑いだったり、「そんな知恵が」と
感心したりしながら、知らん顔(というより厳しい顔)で
叱ってくれているようです。

最近は家でも泣くことが珍しくなった息子ですが
さすがにK先生に叱られると目に涙をいっぱい溜めて
泣くまいと頑張っているようです。

幸い、教室にはカーテンで仕切られた一角があるので
そこに少しこもって気持ちを立て直し、交流級の授業に
出かけていくことも。

親としてありがたいのは、K先生はこういうことがあった時に、
ほぼリアルタイムで状況と本人の反応を伝えてくれることです。
学校で叱られたとか、泣いちゃったとかは、本人からも
報告があることが多いのですが、本人の報告ではいかにも心もとないし
状況がよくわかりません。

でも、その時にどういうことがあって、先生がどういう言葉で注意し、
それに本人がどう反応したのかがわかっているので、
私は息子を「叱る」のではなく、息子が「なぜ叱られたのか」を
自分なりに消化し、納得し、これからどうすればいいのか
考える援助をしていくことができるのです。

嘘をついたり、先生の目をごまかそうとしたりすることは
決して褒められたことではないけれども、
同時にそれは彼が、自分自身の視線や考え方と
他人の視線や考え方との間に違いがあることに気が付き
それを意識しながら行動し始めた証拠でもある、と
先生との間に共通認識を持てていることも

先生からいくら「学校での問題行動」を知らされても
私が追い詰められない理由です。

問題行動の奥に本人なりのどういう理由があるのか、
それを一緒に探求しながらお互いの持ち場で
1人の子どもを援助していく。
そんなスタンスの先生が担任でいてくれることは
揺れ動く思春期の息子にとっても私にとっても
とてもラッキーなことだなあ、と思っています。

バレンタインデー

2008年02月14日 | adorably autistic
息子は、子どもが普通喜んで食べるような菓子類
(スナック菓子、飴、ガム、ラムネ、グミ、チョコレート、
クッキー、ケーキ、シュークリーム、etc.)が嫌いです。

飲み物も麦茶やウーロン茶、果汁100%のアップルジュースか
グレープジュースが好きで、清涼飲料類、特に炭酸系は
飲みません。あんこも大の苦手です。

そんな彼のおやつは、りんごやバナナ、みかんなどの果物、
森永マリーなどの古典的なビスケット、豚まんやミニピザ、
みたらし団子や大学芋、いもようかんやおせんべいなど。

毎日3~5種類を用意しておいて、自分で1つ選ばせるように
しています。もともとは2択から始め、だんだんに選択肢を
増やしてきました。

最初は毎日同じものを選んだりしていましたが、段々に
その日の気分で選ぶようになり、最近は賞味期限をチェックして、
「おかあさん、これ、きょうまでだから、きょうはこれにするよ」
などという選び方もするようになりました。

さて、それはそうと、今年も来ました、バレンタインデー。
昨年まではバレンタインの日には、学校の送迎バスの
添乗員さんからチョコレートをいただいてきた息子ですが、
本人は嫌いなものなので、もらってもうれしそうでもなんでもなく
愛想のないことこのうえなし。

でも、小学校のときに比べてクラスの女子がよってたかって
面倒を見てくれているような今、気をつかって彼にもチョコを
用意してくれる子が、ひょっとしたらいるかもしれない。

そんな淡い期待を抱いた母は、朝、
「いい?ちびくまくんはチョコレートが嫌いだけど、もし今日
 チョコレートをくれたお友達がいたら、『苦手です』って
 言わないで、『ありがとう』って言うんだよ」
と言い聞かせて、息子を送り出したのでした。

・・・で、帰ってきた息子に、
「ねえ、だれかにチョコレートもらった?」と訊くと
息子はしれっと
「ううん、もらわなかったよ♪」
・・・世の中、そんなに甘くないか・・・(笑)

「ところでおかあさん、きょうのおやつはなに?」
今日も3種は用意してあったのですが、ふと小さなチョコが
1つだけあったことを思い出して、選択肢の最後に
付け加えてみました。

すると、驚いたことに、息子は
「じゃあ、今日はチョコレートにするよ」と言うのです。
「ほんと?チョコレート食べられるの?」
「うん、食べられるよ」

そう言った息子は、親指の先ほどのチョコレートを
アリが食べてるのか?というようなスピードで、
ときどきオエッとなったりしながら、苦労して食べきったのでした。

あまりのことに見かねて、
「ちびくまくん、チョコレートはちょっぴりだったから、
 もう1つ選んでいいよ」と言うと、
今度はオーソドックスにビスケットを選んで、
「あ~おいしいねえ」とにっこり。

「ねえ、ちびくまくん、ほんとはチョコレート苦手でしょう?
 どうして頑張っておやつに食べようと思ったの?」と訊いた私に、
息子はニコニコ笑ってこう言ったのでした。

「だって、きょうはバレンタインデーで、チョコを食べる日だから」

大晦日のそばや節分の巻き寿司と同じ感覚だったのね・・・





何をする人?

2008年02月08日 | 楽しい学校生活
一見スムーズにしゃべっているように見えて、実は
言語能力に大きな遅れと偏りのある息子。

楽しみながら少しでも力を伸ばせるように、と
彼との「おしゃべり」にはできるだけ時間を割くように
しています。

語彙や文法などはドリル形式でも学べるけれど、
私たちが外国語を学ぶときにそうであるように、
伝えたいことがあり、伝えたい人に「伝えたい」気持ちがあって
初めて、「生きた」言葉の力が付くと思うからです。

息子は帰宅するなり「今日のハイライト」的な出来事を
言葉で伝えてくれることが多いのですが
夜、布団に入って落ち着いた環境のときに、私から
学校でのできごとについて整理するための質問をしたり
言葉のゲームのような投げかけをしたりすることもよくあります。

今日は「○○さんは何をする人?」という質問をしてみました。

「お父さんは何をする人?」
「会社でおしごとをするひと」

「じゃあ、おかあさんは何をする人?」
「ごはんをつくるひと」
(小2のときに、担任の先生から「お母さんはおうちで何をしてるかな?」
 と訊かれて「ねてる」と答えた彼でしたが・・・少しは働いていることが
 わかってもらえたのね)

「運転手さんって何をする人?」
「バスをうんてんするひと」

「校長先生って何をする人?」
「あさ、校門でおはようっていうひと」

「教頭先生って何をする人?」
「こうないほうそうをしたり、でんわをとるひと」

いろいろ訊いていって、
「じゃあ、K先生(障担)は何をする人?」と訊くと

「○○(先生の愛車)を運転したり、マインスイーパをしたり、
 答えあわせをしてくれる人!」

・・・マインスイーパは、君ができるようにならないかと 
やってみせてくれてただけだったんだけどねえ・・・





なわとび

2008年02月02日 | 驕らず焦らず諦めず
最近、息子は「自立体育」の時間になわとびを
しているようです。

連絡帳には「なわとび 100回」とあるのですが
息子はなわとびが跳べません。
手でぐるっと縄を前に回して一旦止め、それを
またぐというやり方しかできません。

なんとか跳べるようにならないか、と毎週通っている
教育大でも、院生さんたちがいろいろ考えてくれたのですが
ついに跳べるようにはなりませんでした。

それが最近、「連続 7回」とか「連続 10回」とか
連絡帳に書いてあるのです。先生に直接確かめても
「ええ、跳んでますよ」というお返事。
私は正直「???」

そこで、今日大学のセッションに行ったときにお願いして、
本人に縄跳びを渡して「跳んでみて」と言ってもらうことにしました。
(ここの課題はいつもセッションの始めに提示されるので
 今日突然、という課題でも本人は驚かないですむ)

すると、多少ぎこちなさはあるものの、ちゃんと連続10回跳べたのです。
もう一度繰り返すように指示してもらっても、やはり10回跳べました。

ちょうどそこへスーパーバイザーの教授が私がいるモニター室に
入ってこられて、
「あれ?縄跳び、跳んでるぞ!ちゃんと手と足の協調ができてるじゃ 
 ないか!」
とびっくり。
「あれだけ課題分析してスモールステップで教えても
 全然できるようにならなかったのに、不思議だねえ。
 いやあ、学校でうまく教えてもらったんだねえ」
と感心しきり、息子にも
「縄跳び、跳べるようになったんだねえ、頑張ったねえ」と
声をかけてくださったので、
息子もとても嬉しそうでした。

「どうやって教えてもらったんですか?」
と障担に尋ねても、
「いや、ただ『やってみて』と言って、横で数を数えていただけです。
 本人の力ですよ。
 強いて言えば、2学期の自立体育で、縄を使わない片足とび
(左右100回ずつ)や両足とび(100回)でピョンピョンやっていたのが
 生きたのかなあ、と思います」

焦らず諦めず、少しずつ積み上げてきたものが、本人の中で
たまたま繋がったときに、ぽーんと大きく伸びる、
そんな実例をまた見せてもらったような気がします。