雲のむこうはいつも青空

まったりもったり~自閉症息子のいる暮らし@ちびくまママ

医療講演会

2008年09月21日 | CIDP
今日は、神戸でCIDPについての医療講演会があり
出かけて行きました。発病以来、初めての遠出ですが、
幸い、高速バスで三ノ宮に出てから地下鉄でひと駅、
そこからすぐ、という殆ど歩かなくてすむ会場だったので
思い切って出て行きました。

息子はこれも久しぶりに日中一時支援の施設でお預かりです。

講師は、この病気については日本ではもちろん、世界でも
トップクラスと言われるK大学のK教授。
会場に着くと、思ったより沢山の人。
自閉系の講演会に比べるとずっと寂れているだろうと
思ったのに、案外集まるものなんだなあ、と感心しました。

お話の内容は、CIDPの基本情報と、基本的な治療が効かない
難治例への対処、どちらかというと非定型的なCIDPの
辺縁疾患についてでしたが

急激に発症したわりには、基本的な治療法にことごとく
素直な反応をしているタイプの私にとっては、ネットでも手に入るような
基本情報しかあてはまらず、ちょっと拍子抜けした感じでした。

講演会が終わった後は、CIDPサポートグループの会員と
家族が残って、プチ交流会。
私にとっては自分以外のCIDP患者に会うのは初めてで、
日本全国でも2千人程度と言われるCIDP患者がこの場所に
こんなに沢山いることにちょっとした感動を覚えました。

同じCIDPと言っても、もう10年以上、20年以上も前に発病した人から
ついこの間発病した人、一度の治療でその後の再発も抑えられ、
今は全く普通の生活をしている人から、私のように良くなったり悪くなったりを
繰り返している人、どんな治療も効果がなく、ただゆっくりと
四肢の麻痺が全身へと広がっていきつつある人、
電動車いすに乗った人から手動の車椅子に乗った人、杖をついて
歩いている人、全く支障なく走ってまでいる人まで、
CIDPの病態の多様性を改めて実感しました。

多くの人に共通する悩みと言えば、高額な治療費、再燃・再発の
予防法がないことへの不安感、
疲れやすさや痺れや天候・体調に左右される症状のゆれなどに
周囲の理解が得られにくいこと、でしょうか。

そして、正確な原因・予防法の究明、社会的・福祉的な支援、
特に医療費の公的補助や就労(継続)支援などは
誰もが求めているもののように感じました。

発病前から自閉つながりでいろいろな人との繋がりがあったせいか
一匹狼的な存在のわりにあまり孤独感を感じたことのない私ですが
それでもニーズを同じくする仲間が沢山いることに、
あらためて心強く思ったのでした。

自分を認める

2008年09月18日 | 楽しい学校生活
息子の交流級のクラス担任は結構まめに学級通信を発行してくれる
先生です。

今日持ち帰った通信は「体育大会を振り返って」のテーマで
子どもたちの感想や写真、「思い出のワンシーン」と題して
子どもの描いたイラストなどが紹介されていました。

「クラスの仲間を表彰しよう!」というコーナーでは
「リレー早かった賞」「お疲れ賞」など様々な賞がありましたが
息子には、「笛頑張った賞」
     「頑張った賞」・・・ムカデの笛を頑張って吹いてくれた。
     「元気賞」・・・ムカデの笛を頑張った。
と3票の投票がありました。

実は、最後の元気賞は息子の自画自賛です。
クラス男子で唯一、足を結んで一緒に走ることができず、笛を
吹きながら併走する「しかなかった」息子ですが、
自分では「よく頑張った」と思えたのでしょう。
みんなと同じことができなくても、自分自身を認めることができることは
彼にとってはとても大切なことです。

そして、あと2人も一緒に走らなかった息子を「頑張った」と
評価してくれたことはとても嬉しいことでした。

「みんなとは違う自分、どんなに頑張っても同じにはなれない自分を
 自分でポジティブに認められるようになること、そして
 そんな自分を認め、助けてくれる人は周囲にも沢山いること」
を体験させたい、というのが私が息子の中学生活に望むことでしたが

その望みは今のところしっかりかなっていると言えるでしょう。

ちぐはぐな会話

2008年09月16日 | adorably autistic
今日は体育大会の代休。
ちびくまと2人でサティへ買い物に行き、
久しぶりにマクドナルドで昼食を食べました。
私の入院中は、土日のどちらかは父親と一緒にマックで
昼食を食べていた息子ですが、私が退院してからは
人ごみに出ることを避けていたため、一度も外食していなかったので
私自身にとっては数年ぶりのファーストフードです。
インフルエンザの季節になると、また感染を避けるため
外に出る機会を減らさざるを得なくなるので
たまには気分を変えてみようと息子に提案したのでした。

この土日、運動会だった小中が結構あるらしく、
フードコートには小中学生がいっぱい。
「うるさいのは苦手です。静かなところで食べたいです」
という息子に、少し離れたところにあるテーブルを
取っておいてもらって、私は注文の行列に並びます。

昔はハッピーセット一本やりだった息子も
今ではビッグマックセットをペロリと平らげます。
いつのまにか、ハンバーガーを分解しないで
食べるようになっていたのに驚きました。

さて、一旦家に帰ってから、夕方はまた歯医者さんへ行きます。
いつもどおり、隣同士のブースに入って、息子はドクターの治療、
私は歯科衛生士さんに歯の根の部分のクリーニングをしてもらいます。
ブースを仕切るついたて越しに、息子とドクターの会話が
聞こえてきました。

「ちびくまくん、よく日焼けしてるなあ、真っ黒だね」
「はい!」
そう、息子は夏休み中のプールでしっかり日焼けしているうえに、
2学期が始まってからは連日体育大会の練習をしていたので
一段と真っ黒になっているのです。
「どこかへ行ってきたの?」
「はい、マクドナルドに行きました!」
「えっ、マクドナルドで日焼けするの?」

私と歯科衛生士さんは思わず噴き出してしまいました。
息子にはドクターの言葉が
「(そんなに日焼けするような)どこかへ行ってきたの?」
という意味だということがわからなくて、
文字通り「今日はどこへ行ったか」を答えてるんですね。

聴覚記憶と視覚記憶がばっちりで、その両者をリンクさせるのも
うまい息子は、
場面とその時話されていた言葉を組み合わせて丸暗記しているので
場面にあった言葉をうまく使うことが多く、
本当は言語理解力が低いことがわかってもらいにくいのですが

見事に彼らしさが発揮されたちぐはぐな会話が
久しぶりに聞けて、なんだか嬉しくなってしまった
変な母親なのでした。


体育大会

2008年09月13日 | 楽しい学校生活
さて、今日はいよいよ体育大会本番です。
が、朝起きると外は雨。
「これは中止だわね・・・」と思いながら、息子のお弁当を作りました。
(雨でも弁当持参で登校だったので)

そのうちもぞもぞと起きてきた息子は、ベランダへ直行。
天候を確かめると、
「おかあさん、雨が降ってる!何時何分まで雨?」
「え~、いくらお母さんでもそこまではわからないや。でも
 もうしばらく降るみたいだよ」
「じゃあ、何時ごろまで雨?」
「・・・(基準をゆるくしてもらっても予言はできないってば)」
「今日は体育大会、中止なのかなあ」
「そうだね、多分そうなると思うよ。お弁当は作っているからね」
「じゃあ、今日は何を着ていくの?(体育大会なら体操服で登校)」
「そうだなあ、制服でもいいような気がするけど、ちょっと
 外見てみようか」
ベランダから通学路を見ると、みんな体操服で傘をさして歩いています。
「みんな体操服着ているから、ちびくま君も体操服でいいんじゃない?」
息子は素直に体操服に着替え、
「今日は雨なので体育大会は中止です。残念だなあ」
と繰り返しながら出て行きました。

さて、息子を送り出して、ほっと一息つき、コーヒーを飲みながら
テレビを見ていると、遠くからファンファーレの音が・・・

あれ?と思って見に行くと(我が家のベランダからは中学のグランドと
プールが見えます)、まだパラパラと霧雨が降る中、入場行進をしている
子どもたち。
「あれだけ雨が降ったのにやるんかいっ!」
慌てて中学に向かいます。

学校に着いたときには既に開会式が終わり、全校生でのラジオ体操が
始まるところでした。雨はやみ、少しですが青空が覗き始めています。
背の高い子ほど前になるように並んでいるのか、小柄な息子ははるか
後ろのほうに並んでいました。
ちょっとリズム感と動きのキレが甘いですが、小学校1年生くらいの
ラジオ体操にはなっている感じ。
昔は息子がどこにいるかすぐわかりましたが、最近ではよく探さないと
本当にわかりにくくなったなあ、と感心します。

私も昨年に比べるとかなり元気になったとはいえ、このまま立ちっ放しで
観戦できるほどの脚力はないので、ここで一旦家に帰り、少し休憩してから
今度は携帯用の椅子を持ってでかけました。
もうこの頃には、朝の雨が嘘のような、カンカン照り。

午前中の競技もあと3つほどしか残っていませんが、息子が出るのは
午前の部最後の玉いれ。外へ出ると、今頃になって中学へ向かう
親御さんが沢山いました。みんな朝の雨で中止だと思っていて、
子どもの帰りが遅いので、ああやってるのか、と見に来たようです。

玉入れでの息子は、玉を両手いっぱいに4つも5つも拾っては
投げていましたが、かごに入ったものは1個もありませんでした。
とはいえ、玉も持たずにただニコニコそこに立っていただけの
小1のときと比べれば、たいそうな進歩です。

お昼は生徒は教室に入って食べることになっています。
そこで私はまた家に帰って昼食を食べました。
お昼一番には吹奏楽部のマーチング、そしてその後には全校生参加の
ムカデ競走と大縄跳びが控えているので、とんぼ返りでまた
学校へ向かいます。

ムカデ競走は、学年ごとのクラス対抗。息子はホイッスルを吹きながら
併走しています。知らない人には「そういう係」だと見えるだろうと
思われるような、自然な動きでした。見事息子のクラスは2年生1位に。

大縄跳びは全校のクラス対抗で、3回やって一番多く跳べた回数が
そのクラスの持ち点になります。息子は縄の外で号令に合わせて
一緒に跳んでいましたが、それがよかったのか(笑)息子のクラスは
これも全校2位になりました。

最後は3年生の組体操。最後の見せ場である五重の塔、
男子は成功したのですが、女子はなかなか成功できません。
何度繰り返しても崩れてしまい、涙を流す子も出てきました。

体育の先生が、「女子、もう一度やるか?それともこれでやめるか?」と
マイクで訊くと、「やります!」「やらせてください!」
何人もの先生がグラウンドへ飛び出して行き、支えたり、励ましの
声をかけたりしてトライするうちに、ようやく成功。
周囲から歓声と拍手が沸き起こります。女子たちは
涙ぼろぼろ。

すぐに始まった閉会式では、「みんなの気持ちの入った
すばらしい大会になりました」という校長先生の挨拶も涙声でした。
小学校の運動会とは違い、随分地味な大会でしたが、
なんだかほのぼのとした気持ちで家に帰ったのでした。



体育大会に向けて

2008年09月10日 | 楽しい学校生活
今年も、連日体育大会の練習が続いています。
今日は予行演習でした。

去年は、生徒に配られたプログラムの他に、
自分専用の細かいプログラムを先生と一緒に作って
それを頼りに動いていた息子でしたが

K先生は息子の様子を見るために、
予行は他の子どもと同じ進行表だけを持って行動
させてみてくれました。

結果、昨年とほとんど流れが同じであることもあって
混乱なく、落ち着いて参加できたようです。
もちろん、これは昨年、細かい予定表を作ってもらって
安心して参加した、という基礎があってのことで

「本人が安心して参加」できないのに支援ツールを
はずすことは適切とはいえません。
でも、先生は息子の様子から、今年は特別な支援ツールや
介助がなくても大丈夫、と判断したようです。

息子が出るのは昨年と同じ、クラス対抗のムカデ競走と大縄跳びだけ。
参加の仕方も、昨年と同じ、ムカデ競走ではホイッスルを吹きながらの併走、
大縄跳びは縄の外でみんなと一緒に跳ぶ、というやり方です。

息子本人はそれでも、「おかあさん、ぼく、体育大会の練習
がんばってるよ。体育大会も頑張るよ。
頑張ったご褒美に、体育大会の日のおやつはフルーチェがいいな
と、やる気満々です。

みんなと同じことはできなくても、本人が
「自分なりのやり方でみんなと一緒に頑張っていて
 それでみんなから認められている」
ということを実感できることが一番大切。

自分に対しても周囲に対してもポジティブな見方ができることが
これから生きていく力、伸びていく力になることでしょう。

文句

2008年09月04日 | 楽しい学校生活
今日のちびくま、なんだか怒ったような顔で帰ってきました。
私の顔を見るや、
「おかあさん、今日、お見送りできなかったんだよ!
 間に合わなかった!」
「何のお見送りができなかったの?」
「Nくんのお見送りができなかったんだよ!」

うちの市では、小5~高校生まで、障害者手帳を持っている子を
放課後学校まで迎えに来て、6時まで預かってくれる
タイムケアの制度があります。

制度が発足した当時や、私の入院中はしょっちゅう利用していた
施設ですが、中学に入学してからは学校生活だけで手一杯、という感じ
だったのと、
日中一時保護事業もやっているところなので、通園施設や小学校
低学年などの小さい子も来ていることが、自分より小さい子が苦手な
息子にはいまいち嬉しくない環境らしく、
「○○へ行くと、うるさいので疲れます」
ときっぱり言い張ることもあって、

最近は全然利用していません。
でも、その施設の職員さんは大好きで、よくタイムケアを利用する
1年生のNくんを施設の車がお迎えに来るのを
息子は楽しみにしています。
Nくんがタイムケアにいく日は前もって先生に
「お見送りしたいです」と断って、
施設の車が学校から出て行くまで、手を振って見送っているようです。

ところが、今日はその「お見送り」に間に合わなかったみたいです。

「どうしてお見送りに間に合わなかったの?」と訊くと、
「だって、Q先生が長いお話をいっぱいしたからだよ!」

Q先生というのは、9月1日からちびくまの交流学級に来ている
教育実習の先生。
終わりのホームルームをやったその先生の話が長かったために、
Nくんを乗せた車は先に行ってしまった、ということのようでした。

そういえば、私も中学生のころ、よく
「あの先生、話が長いんだから~」と文句を言っていましたっけ。
息子のものの言い方が、あまりに普通の中学生ぽくって
思わず笑ってしまったのでした。

歯医者

2008年09月03日 | 驕らず焦らず諦めず
ちびくま、1学期の歯科検診で「永久歯の虫歯あり」の
結果をいただいてきてしまいました。
私のCIDP発病・入院、うつ発病、とどたばたしている間、
息子の口腔衛生管理がすっかりお留守になっていた
つけが回ってきた感じです。

それなのに、息子の調子が悪かったり私の調子が悪かったりで
歯科受診が伸ばし伸ばしになってしまっていたのですが
やっとのことで夏休みの終盤から歯科通院を始めました。

小学生のときもお世話になった、近所のやさしい歯医者さんです。
今回は私の検診もお願いしたので、親子で隣同士のブースに入ります。

私がそばで見ていない状態で歯科治療を受けるのは初めてなので
大丈夫かな~と思いましたが、ついたて越しに聞こえてくる
息子の様子は落ち着いていて、ドクターの質問にもきちんと
受け答えができていました。

長い間受診していなかったので、息子も私もかなり歯石がついていて
息子には初期の虫歯が何本かできており、
私のほうは歯周病がかなり進行してきていて、
2人揃ってしばらく通院することになりました。

今日は2人とも歯石除去。
昔は歯ブラシを口に入れたり、歯科検診で口の中を見てもらうことすら
大騒ぎだった息子も、しっかり口をあけて歯石をとってもらうことが
できました。

「絶対この子には無理!」と思っていたことが
何年かするとまるで嘘のようにできるようになっているという
事実を目にすると、
毎日一緒に暮らしていると気付きにくいけれど
やはり子どもは確実に進歩しているのだなあ、と実感します。

2学期始動

2008年09月02日 | 楽しい学校生活
昨日から2学期が始まりました。
息子は31日の晩から
「明日から2学期だね。夏休み、楽しかったね。
 2学期は体育大会や文化祭があるね。
 ぼくは2学期もがんばります」
と決意の弁を繰り返し述べていました(笑)。

「ちびくまくんは、学校が好きなの?」と訊くと
「うん。好きだよ。(障担の)K先生も好きだよ」と即答。
親としてはこれ以上望むところはない、という感じですね。

張り切った気持ちとは裏腹に、夏休み後半の昼夜半逆転
(夜更かし・寝坊とも言う)がたたって
朝はぎりぎりまで目が覚めない息子ではありますが

起こすとすんなり起きて、スムーズに制服に着替え、
荷物をそろえて出て行きました。

学校でも先生が教室に来る前に荷物を整理していたり
自分で判断して教室移動をしていたり
これまでの積み上げはきちんと残っているものの

なんとなーく「だらだら」「ぼーーっ」とした雰囲気ではあるようです。
まあ、ぼちぼちエンジンをかけていってもらいましょうか。

「みゅうの足(あんよ)・・・」を見て(その2)

2008年09月01日 | CIDP
○ムーンフェイスについて(ステロイドで顔がパンパンに腫れる)
 
 天下のマツジュンのあの特殊メイクには思わず目をそらした
 ファンの方も多いだろうと思うのですが、私なんかは実際
 ああいうアンパンマン顔になってましたね~。ああ、思い出したくない。
 鏡で自分の顔を見るのが苦痛でしたから。

 ただ、ムーンフェイスは「むくみ」ではなくて(むくみも出ますが)
 脂肪の異常沈着なので、一晩とか数日であそこまでパンパンになることも
 ないし、逆に薬をやめたからすぐに元通りということもありません。
 私の場合は、ステロイド投与を始めてから2~3週間で顔の輪郭が
 はっきり変わってきて、ほぼ元の顔に戻ったと思えるようになったのは
 ピークの頃から約1年ほど経ってからでした。

 ドラマではムーンフェイスのパパを見てみんなで笑い転げる
 ほほえましい(?)シーンがありましたが、
 ムーンフェイスを見て泣かれたりびっくりされたり笑われたりと
 いうことには、老若男女を問わず内心ひどく傷ついている場合が
 多いことを知っておいていただきたいと思います。

○リハビリについて

 ドラマではマツジュンがものすごくリハビリを頑張っていましたが
 CIDPの場合、神経の損傷が活発に進んでいる時期(急性期)には
 運動をすることで却って悪化が進んだり、本来損傷を受けていない
 筋肉や関節を傷めたりすることがありますので、リハビリは禁止です。
 投薬等により、神経が回復期に入り始めてから、適度に体を
 動かすことは、体力の衰えや筋肉の萎縮・関節の硬縮を防ぐために有効ですが
 基本は「汗だくになったり、後で筋肉痛や関節痛がでるほど
 やってはいけない」のだそうです。
 ただ、昨年の今頃は車椅子に乗っていた私が今自分の足で歩けているように
 焦らず諦めず地道にリハビリを続けることには一定の効果はあるようですが
 あの場面だけを見て、リハビリを頑張りさえすれば回復するという
 誤解が広まらないことを願います。

○ドクターの「完治した人はいない」発言について

 これに引っかかりを感じた患者は結構いたようです。
 現在の医学ではCIDPには根治療法がありませんので、投薬などの
 治療をやめても 症状が悪化することのない状態は「完治」ではなく
 「寛解」と 言うそうです。
 その意味では「完治した人はいない」のですが、後遺症も殆ど残って
 おらず、長期間寛解の状態を保てている人も確かにいらっしゃるようです。
 
 ただ、CIDPの邦訳が「慢性炎症性脱髄性多発神経炎」というとおり、
 この病気は「慢性」病ですので、根治療法がない以上、いつまた
 悪化が始まるかわからない、という不安は患者に常につきまといます。
 回復後何年間再発しなければ大丈夫、というようなものでもありませんし
 再発を予防する方法もありません。
 私個人はドクターの台詞にもあった「一生付き合っていく病気」
 という捉え方をしています。

○CIDPの多様性について

 CIDPの症状の現れ方、有効な治療法(対症療法)は実に様々です。
 ドラマでは紹介がありませんでしたが
 大きく分けると緩慢進行型(治療によっても進行が止まらず、ゆっくりと
 麻痺が進行していく)と寛解・再発型(良くなったり悪くなったりを
 繰り返す)の2種類があると言われています。
 主な治療法はIVIg、ステロイド、血漿交換などですが、人によって
 効いたり効かなかったりします。これら全てが効かない場合は
 「難治性」と言われ、免疫抑制剤を使用して進行を抑える研究が
 進められているところですが、免疫抑制剤はこの病気に対しては
 保険適応が認められていません。
 
 また、「元通りの体にはならないけれども、身体障害者手帳はもらえない」と
 いう程度の後遺症が残ることが多く、患者の多くが福祉の恩恵を
 受けられずにいます。非常に疲れやすい、暑さや悪天候で体調を崩す、
 痛みやしびれを感じる、等はポピュラーな症状ですが
 外見からはわからないため、周囲の理解を得ることも難しいです。
 

・・・とまあ、いろいろうがった見方をしてみましたが、
お医者さんでも専門医でなければよく知らないようなマイナーな病気を
こうして紹介してもらったことで周りに説明はしやすくなったかも。

私自身はネットで調べて最初から専門医にかかったため、速やかに
診断と治療が受けられた、患者会でも珍しいほどのラッキーなケースですが
もし全然畑違いのお医者さんにかかっていたら
治療が遅れて、もっとずっと大変なことになっていたかもしれません。
その意味からも皆さんにこの病気について知ってもらうことは
意味があるだろうと思っています。