雲のむこうはいつも青空

まったりもったり~自閉症息子のいる暮らし@ちびくまママ

卒業しました。

2013年03月15日 | 楽しい学校生活
あっという間に卒業式の日がやってきました。

今年は、高3担任団の提案で、校長先生の立つ演壇を中心に、
卒業生と在校生、来賓と先生方・保護者が向かい合う形で
席が配置され、卒業証書をもらう生徒がみんなの真ん中に
立つ形になっていました。

かわいい小学4年生の、先輩を送る言葉や、高2の
生徒会役員の送辞のあと、中学部を卒業する男の子や、
息子のクラスメートIくんが答辞を読み、
その後、高3の担任の先生が作ってくれた3年間の
思い出のビデオ上映。

高3のFくんとそのお母さんはどちらも自分の席で
号泣中。(遺伝子だなあ・・・)

小規模校ゆえに、小学部から高等部まで、子どもたちがみんな
知り合いで、普段から様々な場面で仲良く混じって過ごしていて、
他学部の先生方とも常に接触があって、事務員さんまで全ての子の
顔と名前が一致している、という、うちの学校らしい
温かですてきな卒業式でした。

午後は学校管理職と担任団、卒業生母子とPTA役員を中心とした
母子が参加しての「卒業生を送る会」。
先生方、卒業生の母の一言スピーチ、
校長先生やPTA役員の余興、先生方による生バンドの演奏と
それを伴奏にした卒業生の唄と踊り・・・と
これまた和やかで楽しい会になりました。

入学当初は小学校や中学校との大きな違いに戸惑ったり、
腹を立てたり、ということも多かったけれど、
PTA活動を通して、「もっと居心地のいい学校に」と
変えていった部分もあり、いろんな先生方ともざっくばらんに
意見交換をしたり出来るようになったこともあり、

総じて考えれば、親子とも、とても充実した3年間を
過ごせたと思います。
これで、息子の12年の学校生活はとうとう終了。
来月からは社会人としての生活が始まります。

文化祭

2011年10月15日 | 楽しい学校生活
息子の通う特別支援学校では、毎秋に行う文化祭を「創作祭」と
呼んでいます。

歌やダンス、劇などのステージ発表のほか、授業で作った
作品の展示や、生徒の手作り品の販売、PTAの不用品バザーなど
小規模ゆえ、普段は静かな学校が、この日ばかりは
普段は本校にいない分教室の子どもたちや
保護者や兄弟や、卒業生や、今後この学校に来ることになりそうな
子どもとその保護者や、出身校の先生たちなど、
人であふれかえって、それはそれはにぎやか。
まさに年に1度の「お祭り」です。

本校生のステージ発表は午前中。
出勤日で見にいけない夫のために、ビデオカメラと三脚も
持参で、朝一番に駆けつけましたが、
会場は既に結構埋まっていて、三脚もたくさん。
わが子の頑張る姿をカメラに収めたいのは、みんな
同じなのですね。

今年のステージは、高等部1年、高等部2年、小中学部、
高等部3年の順番でした。
息子のいる高等部2年は、ほぼ毎日通学できているのが
息子を含めて男子5人だけ、そのうち台詞が言えるのが
4人、という小集団なので、息子たちは20分の持ち時間中、
ほぼ出ずっぱり。

YくんとNくんの少林寺拳法の披露、Kくんの剛速球披露など、
それぞれの得意技を生かした、楽しいステージになっていました。
なつかしのピンク・レディーの曲に合わせたダンスや和太鼓も
猛練習の成果か、なかなかのもの。

「マイクを通したアナウンス」と「英語の歌」が得意な息子は
台詞を言うたびにスタンドマイクのところまで走っていって
台詞を言ってはまた走って帰る、というアクションで
お客さんの笑いを誘っていましたが、

なんと最後の最後に、ハンドマイクを握り、ステージ上で
スポットライトを浴びて、サイドステップを踏みつつ
ABBAの「ダンシング・クィーン」を英語で熱唱。

たくさんのお客さんの前でも、臆する様子もなく、終始ノリノリで
フルコーラス歌い上げて、クラスメートと合流して、終了。

確かに、今年は「英語の歌を歌う」とは聞いていたんですが
まさかソロとは思いませんでしたよ~。
だって、息子は、歌うのは好きだけど、人前で大きな声で
歌うことは去年までほとんどなく、昨年末の誕生会で高等部の
みんなの前で歌を歌った、と聞いて、びっくりしたくらいなのに、

一足飛びに、創作祭のステージで、やりますか、普通。
1人会場で冷や汗びっしょりになった私をよそに
息子は大満足のていで引き上げてきて、
「上手に歌えたよ~」と自信満々でした。

「ステージで、1人で歌えるなんて、すごいね~」
「さすがに、発音が違うわね~」
知り合いのお母さんがたから口々に褒めていただいて
嬉しいやら恥ずかしいやら・・・

だけど、これでもう、
「うちの子は内気で、恥ずかしがり屋で…」って
いえないじゃないのっっ!!

創作祭

2010年10月16日 | 楽しい学校生活
息子の通う特別支援学校では、毎年秋に「創作祭」が
開かれています。一昨年前には、まだ息子がこの学校に
通う可能性はなかったので、見に行きませんでした。
昨年は新型インフルの影響で部外者には非公開になって
しまったので、息子にとっても私にとっても
この「創作祭」がどんなものなのかは未知数でした。

ただ、2学期が始まってから、時間割の中に「創作祭の
練習」という言葉がどんどん増えていっているので、
中学校時代の体育大会や文化祭よろしく、学校全体で
かなり力を入れて準備しているのだなあ、と思ってはいました。

我が家のベランダからは中学校のグラウンドが見えるので、
子どもたちの練習の厳しさはよくわかりましたし、何より
中学時代の担任K先生の書いてくれる連絡帳は
「よくあの忙しい中でこんなに書く時間があるなあ」と
感心するほど、微にいり細にいり、まるで手に取るように
息子の様子が書いてあったので、

練習の仕上がり具合や息子の疲れ具合もなんとなく見当がつき、
それなりのフォローも出来たのですが、

特支に入ってからは連絡帳の内容も簡素化され、あとは
本人の言葉と顔色や行動から伺い知ることしかできません。
でも、予定変更や練習時間が多い割には、息子は
疲れた様子も見せず、相変わらず小学部のRくんと会えるのを
一番の楽しみに、るんるんと学校に登校していました。

そして、今日がその本番。
息子の出番は、高1クラス単独で
マイケル・ジャクソンの「スリラー」に
合わせての「ゾンビ・ダンス」と
高等部社会コース1年~3年生合同の組体操、
それに高等部全体での手話つき合唱。

まず、ぼろぼろの服を着てのゾンビ・ダンス。
息子は一番先に、ニコニコ顔で舞台に登場。
体を動かすのが苦手で、ダンスとかは嫌いなはずの
息子ですが、結構ノリノリで楽しそう。

続いて、組体操。レベルとしては去年の中3のときより
だいぶ低いですが、知的障害のある子ばかりなのに
合図に合わせてきびきびときれいに動けています。
特に、中学では明らかに「そこにいる」だけに終わっていた
息子が、ピラミッドの中段など、力もバランスも必要な
ポジションをきちんとこなしていることにびっくりしました。

高等部に上がってから、毎日体育で鍛えられた分、
体のコントロールの力も筋力もついたのでしょうか。

最後の手話つき合唱は「世界がひとつになるまで」。
動作模倣がうまくなく、息子には難しいだろうと
思っていた手話を、彼がクラスメートに遜色なく
こなしているのにもまたびっくり。

中学に比べて、学校での毎日の様子が見えにくい分、
成長がよくわかっていなかったのですが、
息子は飄々とした外見と穏やかな性格はそのままに
確実に成長し、学校で学びを得ている、と
安心できた一日でした。



かわいいRくん

2010年06月21日 | 楽しい学校生活
最近、息子には、学校への行き帰りのバスの他に、もう1つ
登校の楽しみができました。
それは、小学部のRくんです。

朝は自分の荷物を教室に置き、体操服に着替えてから
玄関で先生方と一緒にスクールバスをお出迎え。
降りてきたRくんと「おはよう」代わりのハイタッチをするのが
何よりの楽しみです。
時間があるときは、Rくんと手をつないで小学部の教室まで
送って行ったりします。

昼休み、給食の後片付けと係りの仕事が終わると
まっすぐ小学部の教室まで飛んで行き、
Rくんと遊んだり、Rくんが先生や他の子と遊んでいるのを
ニコニコ見守ったりしています。
高等部より早帰りの多い小学部、早帰りの日には
ちゃっかり教室に入り込んで(もちろん小学部の先生には
許可をもらっているそうですが)
一緒に「おわりの会」に出ているんだとか。

もちろん、帰りも間に合いさえすれば、スクールバスに
乗り込む前のRくんと「バイバイ」代わりのハイタッチ。

自力登校組の息子より後に出発するスクールバスに
手を振るためだけに、本来バスの乗り継ぎをする
駅前ターミナルより1つ前の停留所で降りて、

スクールバスが曲がる交差点のところで待って
Rくんと手を振り合っているというから
相当な熱の入れようです。

息子が通うのは、小学部から高等部まで合わせても、
生徒数が50人に満たない、という、
特別支援学校としては小規模な学校。
特に、今年から知的枠の受け入れが始まったばかりの
小学部は、自宅訪問学級の子を除けば、
2年生と3年生の男の子が一人ずついるだけです。

一番生徒数の多い高等部も、3年生が5人、2年生が16人。
1年生は息子も入れて5人。
どの学年も知的には軽度域に入る生徒が多く、
おしゃべりはかなり達者な子がたくさんいます。

もともと会話があまり得意でないうえ、にぎやかな
環境はあまり好きでない息子は、昼休みは一人で
廊下や図書室で過ごすことが続いていました。
そこで、息子の担任の一人、O先生が、小学部の
教室へ遊びに行くことを思いついて、息子を
連れていってくれたのでした。

そこで息子は2年生のRくんにフォーリンラブ(危ないぞ)。
「おかあさん、Rくんってね、身長が小さくて可愛いんだよ」
もともと小さい子は苦手だったはずですが、
元気でひとなつっこいRくんがすっかりお気に入りに
なった様子。
RくんはRくんで、いつもニコニコ接するおとなしい息子を
気に入ったようで、息子の姿を見つけると
「Mくんのところに行く!」と駆け寄ってきたり、
「Mくん、一緒に行こ!」と手をつないでくるように
なりました。

おかげで、Rくんと息子はいまや誰もが認める
相思相愛の仲(だから、あぶないって)。
毎日、帰宅後に、「おかあさん、今日もRくんと手をつないで
小学部の教室まで連れて行ったんだよ」と
ニコニコ報告する息子に、学校での楽しみができてよかったと
思う一方で、相手が小学生の男の子というあたりが
ちょっと複雑でもあります。
(もっとも、相手がもし女の子だったらそれはそれで
問題になっちゃうんですが・・・)

バス通学への道

2010年04月18日 | 楽しい学校生活
私がばたばたと家と父の入院先を走り回っている間に、
息子の特別支援学校生活は始まりました。

昨年度まではこの学校にはスクールバスがなく、保護者が
学校まで送迎するか、路線バスなどを使って自力通学するかの
二者択一だったのですが、今年度からスクールバスが
運行されるようになりました。

小学校のときのように、ドアツードアとはいきませんが、
それでも自宅と中学の中間点ぐらいまで来てくれるので、
中学時代3年間、危なげなく自力通学をこなした息子には
全く問題ないはずです。

でも、息子の希望は路線バスを使って自力通学することでした。
それもそのはず、中学時代の担任K先生は、高等部になったら
自力通学できるように、というので、これまで1年間をかけて
息子に路線バスを使っての通学訓練をしてくれていたのです。

もともと路線バスに乗るのが大好きで、小3から一人で乗る
練習をはじめ、小4からは毎週1回、駅前ターミナルから
ひとりでバスに乗って帰ってくる練習を重ねていましたし、
小6の時、私が入院していた期間には、ひとりでバスに乗って
感覚統合訓練に通った経験もありますから、

同級生のYくんと一緒に学校を出て最寄のバス停まで歩き、
そこからバスに乗って駅前ターミナルまで、
さらにそこからバスを乗り換えて特別支援学校最寄のバス停まで
歩いていく、という訓練内容は、最初の回から全く
問題なくこなせることがわかりました。

それでも、週に一度のお楽しみ、ということで、
毎週楽しそうに特別支援学校までの往復を楽しみ、
時には先生の発案で、モスバーガーによってポテトを買って
帰ったり、別の路線を使って、近くの大型ショッピングセンターで
先生と待ち合わせ、一緒にハンバーガーを食べて帰ってくるなど、
アレンジも加えて、路線バスの乗りこなしには自他共に
自信を持っていたのでした。

進学先がうちの市の中学なら、「じゃあ、バスで大丈夫ですね。
最初の2日ほどは念のため、うちの職員が一緒に乗るようにしましょう」と
言ってくれそうなものですが、そこも勝手が違うのが、特別支援学校。
最初の一週間は親が往復付き添って通学し、学校が決めた2日間
観察試験を受けて、その後判定会議で合格と認められるまで
単独登校は禁止。
う゛~、地域の中学より融通のきかない特別支援学校って・・・。

仕方がないので、片道おおよそ1時間の道のりを往復付き合うこと
一週間、無事に自力登校のお許しが出て、晴れて息子の望む
単独登下校と相成りました。
それでなくてもバス大好き少年の息子、毎日バスに乗れるだけでも
登校のモチベーションになりそうです。

入学式

2010年04月08日 | 楽しい学校生活
息子が小学校に入るときには、秋に入学先が確定すると
小学校の先生たちが通園施設まで息子を見に来て、
担任の先生たちから普段の様子を聞き取りしてくれました。

入学説明会や入学前健康診断のときには、障級の先生たちが
マンツーマンで付き添ってくれたり、息子を預かったりしてくれ、
春休みには家庭訪問があって息子のプロフィールノートを渡して、

入学式の当日には、少し早めに行って、会場の下見をした後、
息子は専用の控え室で静かにゆっくり待たせてもらいました。
式の間は担任の先生がすぐそばに控えていて、息子に小声で
ほめ言葉を含む声かけをしてくれていて、おかげで私のハラハラを
よそに、息子は無事入学式を終えたのでした。

中学では、正式に入学先を決めてからは、何度も既存の障級を
担任の先生と一緒に訪ねて交流を重ね、プロフィールノートも
早めに受け取ってもらいました。
中学の先生も小学校まで授業の様子を見に来てくれて、
春休みには引継ぎの時間もとってもらい、
家庭訪問と、事前に登校して校長先生と個別に面談する時間、
学校を探検する時間、入学式の練習をする時間を
十分にとってもらい、当日はすっかり安心して
担任の先生に息子を預けることができました。

学校や担任の先生によって若干の差はありますが、
これは私たちの住む市で市立小・中学校の特別支援学級に
進学する場合の、ほぼ標準的な手順になってきています。

さて、息子が今度入学するのは特別支援学校の高等部。
「地域の特別支援教育のセンター校」としての機能が
求められるようになって数年、どんな受け入れ準備を
してくれるのかな~、と私はわくわくして待っていました。
ところが。

入学が決まっても、説明会の案内以外は何もないので、
「卒業まで日がないけど、いつ見に来はるのかな~」
「やっぱりプロフィールノートいるのかな~、
 それとも独自の様式とか持ってはるのかな~」
と案じている間に、息子は中学を卒業。
入学説明会のときにも体操服や作業着の販売と
スクールバスの手続きなんかの説明だけで

「あれ?肝心の子どものことは?」
「入学式の説明とか、リハーサルとかは?」
「先生との顔合わせは3学期が終わって
 新担任が決まってから?」と
不思議に思っている間に、

ついに何のコンタクトもないまま入学式の日を
迎えてしまいました。
「おっかしいな~、もしかして高等部だから?
小学部とか中学部だったらあるの?」と思って
知り合いに尋ねてみましたが、どうも小さい子達にも
事前の接触はなかった模様。

腑におちない思いを抱えながら、息子と一緒に学校に着くと
「あ、Mくんですね、始めまして、担任の○○です、
 よろしくお願いします」とにこやかに迎えてくれる先生。

え゛~~っ、本当に入学式の日に「はじめまして」なんですか?
もうビックリ。
控え室に案内されると、来賓や先生たちもずらーっと並んでいるのに
またビックリ。リハなしで、いきなり本番なんですか?

おまけに式次第は前のホワイトボードに漢字で書かれ、生徒用の
式次第はない模様。え゛~っ、つい一ヶ月前の中学の卒業式でも
息子は先生の指導で自分専用のプログラムを作って、納得して
参加したんですけど~。

狭い部屋にぎっしりと詰め込まれた生徒と保護者、途中で泣き喚く子を
先生がただただ叱ったりなだめたり、とこれまでちょっと見たことのない
異様な入学式でした。

入学式後に各教室に分かれて、担任の先生と初顔合わせ、
個別の子どもの当面の対応について打ち合わせ。
息子の担任の先生は、さすがに息子の中学の担任K先生に
春休みに中学まで呼びつけられて招かれて
強制的に施設見学をさせられ完成した施設を見学して
生半可な対応だと確実にあの子はぼろぼろになるよと脅かされ
対応上で特に注意しなければならない点について引き継ぎを受けたとかで

これまでの教育相談などでも何度も指摘されてきた
息子の表面上の扱いやすさの影に隠れたもろさや弱さ、
慎重な対応の必要性を認識しておられるようで
幾分安心しましたが

この施設、この対応、このシステム。
う゛ーん、ここ、特別支援学校なんですよねえ。
息子の場合、ここ以外に選択肢はないとはいえ、
なんか心配になってきたかも…。


卒業式

2010年03月10日 | 楽しい学校生活
今日はいよいよ息子がF中学を卒業する日。
それぞれの道に羽ばたこうとする子どもたちを祝福するかのように
朝からいいお天気・・・・・・になって欲しかったのですが、
どんより曇った空からは、ミゾレが降ったりやんだり。

なにより、信じられないくらい寒いんですけどーーーっ!!

卒業式用に用意していたスーツ1枚ではとても無理そうなので
ヒートテックの下着に厚手のタイツ、冬物のコートに
フリースのひざかけ、使い捨てカイロという重装備で
出かける羽目になりました。

会場の体育館に着くと、もう1・2年生は着席していました。
保護者席の最前列に特支級のクラスメートYくんのお母さんの
姿を見つけて挨拶していると、お隣に座っていたお母さんが、
「あら、Mさん、お隣にどうぞ。ちょうど正面ですよ」と
席を1つずれて譲ってくださったので、お言葉に甘えて
座らせていただきました。確かに、ちょうど息子の席の
正面あたりです。

担任のK先生は、他の先生方と一緒に職員席に座っていました。
息子を一番育ててくださったのはこの先生だけれど、
今日の式では、息子は交流級の一員として参加すると
いうことのようです。

やがて、会場に音楽が流れだし、担任の先生に先導されて、
卒業生が1クラスずつ入場してきます。
息子の交流担H先生は、その恰幅の良さがしっくりくる
紋付袴の正装です。
その後に続く、息子のスナップ写真で見慣れたクラスメートたち。
緊張で強張った顔あり、笑顔あり、真顔あり、照れくさそうな
はにかんだ顔あり。息子もやや緊張した面持ちで歩いています。
クラス全員が定位置につくと、先生と共に一礼して着席。

続いて2組、3組、4組と入場がすみ、さっそく1組から
134人の子どもたちが1人1人卒業証書を受け取ります。
息子はいつもどおりの、なんとなく怪しさの漂う歩き方ながら、
席を立つタイミングも、待機位置も間違うことなく、
校長先生の前に進みました。
証書を受け取って礼をするタイミングを間違いましたが、
先生が彼に合わせて礼を返してくださったので
あんまり目立たなかったかも。

卒業証書授与の後は、校長先生の祝辞、来賓祝辞、
送辞、答辞、祝電披露、卒業生の合唱、全校生での合唱のあと、
卒業生が一列で退場、というごくシンプルな式でしたが、

予めの練習の手順を無視して、校長先生に握手を求めた卒業生や
突然「俺はぜったい、猟師になるどーーー!」と絶叫した子にも
校長先生はにこやかに対応し、周りからも笑いや拍手が起こるなど、

こじんまりとした、でも穏やかで温かな、この中学らしい
卒業式でした。
卒業生たちは一度それぞれのクラスに戻って、最後のホームルームへ。
その後、在校生の拍手に送られて、校門までの道を歩きます。
息子とYくんはその後で再度 支援級の教室に戻ってきました。

ここで、改めて息子とYくんから、支援級の担任の先生たちに
花束贈呈。下級生のみんなと一緒に記念写真を撮って、
先生方と何度も何度も別れを惜しみながら、F中学を後にしました。

この日私が連絡帳に書いた言葉。
「先生にも周りのお子さんたちにも恵まれて、まるで
 夢のような3年間でした。この学校で過ごした日々は
 息子の人生にとってかけがえのない宝になるでしょう」

ありがとう、K先生。ありがとう、F中の先生方、生徒のみんな。
本当にこの中学に息子を入れてよかったです。

その夜、息子は何度も、「まだ卒業したくないな~。もっと
F中に行きたいな~」と繰り返していました。


交流級の仲間たち

2010年03月09日 | 楽しい学校生活
いよいよ、明日は中学の卒業式。
先週の金曜日で最終の給食も終わり、今日は全体の
リハーサルと最後の学級活動があるだけで、
息子は午前中で帰ってくる予定です。

卒業式の練習は、先週から始まりました。
私立高校の合格発表から、公立高校の入試までの
短い間、限られた時間の卒業式の練習だけに、
先生の怒声が飛ぶこともあったようで、

息子はやや疲れた様子を見せていましたが、
昨日の朝、とうとう、「今日は学校へ行けない」と
言い出しました。K先生に電話すると
「やっぱり来ましたか~」

秋の文化祭のときもそうでしたが、「練習を頑張らないと」と
思うあまり、頑張りきれなくて学校へ行けなくなる、
息子にはよくあるパターンです。
ただ、今日休むのは構わないが、本番のとき、大丈夫だろうか、と
いうのが、先生と私の懸念でした。

本人に聞くと「リハーサルは行ける。本番も行けるよ」と
言うので、とりあえず昨日1日休ませることにしました。
そして、K先生が午後から家に来て、本番だけは休まないよう、
本人と話をします、ということになりました。

さて、お昼ご飯の用意をしていると、「ピンポーン」と
インターホンの音。
「あれ?先生、来る前に電話してくれる、って言ってたのに」と
思って出てみると、
「○○です」と、交流級の女の子です。
何か連絡でも持ってきてくれたのかと、玄関を開けると、
そこには、ずら~っと、男女混合で廊下一杯にあふれている
中学生の子ども十数人。どうやら、交流級の子達の
約半分ほどで、息子の様子を見に来てくれたようです。

「Mくん、大丈夫ですか?」
「うん、ちょっと練習を頑張りすぎて、しんどくなっちゃった
 みたいなの。でも、本番は行くって言ってるから」
「よかった~。Mくん、練習のとき、がっちがちに緊張して、
 しんどそうやったもん」

「クラスのみんながお見舞いに来てくれたよ~」と
息子を呼ぶと、息子は照れ笑いをし、頭をかきながら
玄関まで出てきました。
「もう~、休むから心配したやん~」
「Mくん、大丈夫~?」
「あしたとあさっては来れる?」
「Mくん、一緒に卒業式に出よな~」
「みんなと一緒に卒業しよな~」
「Mくん来んかったら、さびしいで~」
とみんなに口々に声をかけられて、
「リハーサルは行きます。本番も行きます」と答える息子。
「約束やで~」
「じゃあ、Mくん、明日学校でな~」

息子とニコニコ手を振り合って、みんなは帰って行きました。
「みんな、心配してくれたんやねえ。
 みんなが会いにきてくれて、どう思った?」と
息子に聞くと、
「うれしかった」

午後、家に来てくれたK先生にそのことを話すと、
「うわ~、そんなら僕の出番なかったですね~」
交流担の先生にも確かめてくれたのですが、
「Mくんのところに電話したい、と言ってきた子はいたんですが
 Mくんは電話の音が嫌いやから、電話はちょっと、と言って
 とめたんです。ほんなら直接行こう、と思ったんですかね~」

誰に言われたわけでもないのに、交流級の半分もの子が
わざわざ息子を励ますために家まで来てくれた、
そのことだけで、息子をこの3年取り巻いていた空気が
どんなものだったか、私にも本当にわかった気がして
胸と目頭が熱くなってしまいました。

中学生という難しい時期にもかかわらず、
先生からもクラスの仲間たちからも暖かく見守られて、
「ぼくはF中が好き、クラスが好き、先生が好き」と
言いながら卒業まで来られた幸せ。
この学校を選んで、本当に良かった。
明日はとうとう、お別れの日です。


 

背中を押すとき(その3)

2009年11月07日 | 楽しい学校生活
さて、先生を送り出した息子は、あれほど登校をしぶって
いたのが嘘のように、
「おかあさん、12時半に行くんだったら、何時に
 お昼ごはんを食べたらいいかな~」
と言い出しました。
「そうだねえ。12時半に学校に着くようにしようと思ったら
 何時何分におうちを出発したらいいと思う?」
「えーと、12時20分」
「じゃあ、11時45分くらいにお昼にしようか」
「うん」

お昼ごはんを食べて、制服に着替えると、息子は
「さあ、合唱コンクールだ」
と自らに気合を入れるように言いました。
「やっぱりお母さんも行くの?それとも1人で行く?」
「お母さんも一緒に行く」

入学式の翌日から、「ぼくは1人で学校に行ける」と宣言して
普段は決して私と一緒に登校しようとはしない息子が
私に一緒に行ってほしがるというには、それだけ息子の
気持ちが弱っていることの証拠のように思えました。

学校に着くと、K先生は校門のところで待っていてくれました。
「よう頑張って来てくれたな。先生嬉しいわ」
「はい」
「合唱できそう?」
「できます。頑張ります」

障級の教室に入って、もはや吹っ切れた表情になった息子のところに
交流級の女子が3人、「Mくーん、一緒に練習しよ!」と
迎えに来てくれて、息子は教室に向かいました。

私は少し時間をつぶしてから、合唱コンクールの会場である
体育館に向かいました。
息子はもう交流学級の中に入って着席しているようでした。

合唱は1年生から始まります。まず学年合唱、それからクラスごとの
合唱。まだ、小学生くささを残したあどけない1年生、
学年閉鎖の影響もあって、あまりまとまらない印象です。
次は2年生。やはり学年閉鎖のため練習が足りなかったのか、
1年生よりはうまいけれど、合唱としてはもう1つまとまっていない感じ。

いよいよ3年生の学年合唱の出番になりました。
ステージに上がった息子の顔を見ると、なんとマスクをしたまま
(インフル対策のため、着席中はつけることになっていた)。
でも、まっすぐ立って堂々と前を向いた姿からは
もう弱気な態度が消えていました。
次に1クラスごとの合唱、息子のクラスは最後から2つ目。
誰かが指示してくれたのか、今度はちゃんとマスクもはずしています。
もともと35名の小規模クラスに欠席者もいて、なんとも
小ぢんまりとした集団でしたが、合唱が始まると、
会場がしーんと静まりかえりました。
「春に」という曲自体がすごくいいのですが、それを別にしても、
なんともいえず柔らかで温かなものが胸にあふれるような
ハーモニーでした。息子もとてもいい顔をして歌っています。

自信をなくした息子をわざわざ迎えに来てくれた女の子たち、
それを冷やかしたりからかうこともなく、あたりまえのように
ちょっと変わった仲間として扱ってくれる男の子たち、
そしてそれを裏からしっかり支えてくれる交流担の先生、
息子がいつも味わっているのであろう、温かな陽だまりのようなクラスの
雰囲気が伝わってきて

不覚にも目に涙がにじんでしまいました。
3年生のクラス合唱は厳しい練習の成果か、さすが最高学年と思えるほど
それぞれにとても美しく、わが子の成長を感じてか、周りでも目頭を押さえる
親御さんの姿がちらほらありました。

結局、最優秀賞は3年生の別のクラスが勝ち取り、
息子のクラスは全体では2位の成績でした。

交流級のみんなに混じって後片付けまでをこなして
「文化祭、がんばった~。合唱も大きな声で歌えた~」と
言いながら帰宅した息子の顔は、今朝とはまるで別人のように
晴れ晴れとした自信に満ちた笑顔になっていました。
「もう頑張れない」と座り込んだときに、沢山の人に支えられ
助けられて、もう一度勇気を振り絞って壁を乗り越えたことで
息子の得た達成感はとても大きなものだったのでしょう。

心が折れかかったときに、やみくもに背中を押すのではなく、
まるでやわらかく包み込むかのように、私の元から抱き取るかのように
そっと息子の背にあてられる、やさしい温かな手の持ち主が

私以外にも息子の周りには沢山いることをあらためて感じ、
この学校に入学させて本当によかったと思ったのでした。

背中を押すとき(その2)

2009年11月06日 | 楽しい学校生活
玄関でK先生が
「こんにちは~!Mくん、具合どうや~?」と声をかけて
部屋に入ると、息子はパジャマのまま、布団の上に座って
照れたような笑顔を見せました。
「えっと、お熱はないんですけど、まだお咳がでます」
そう答える息子の前に先生は座り、
「でも元気そうやん。良かったわ。
 なあ、Mくん、今日なあ、先生、Mくんに来てほしかってん。
 合唱だけでも出て欲しいなあ、って思ってんねん。
 だって、練習すごい頑張っとったやん。T先生(音楽の先生)も
 ちゃんと歌えてる、って言うとったで。
 H先生(交流担)も楽しみにしとうねん。
 クラスのみんなもMくんに来て欲しいなって待っとうで。

 お咳が出るっていうけど、今まで先生とこうやって
 お話ししてる間も殆ど出てへんし、
 それくらいの咳をしてる子は他にもおるから、
 友達にうつす心配もせんでええで。

 なあ、今から先生と一緒に学校行かへんか?」

穏やかに、でも切々と息子の気持ちをほぐそうとする先生の顔を
ちらちらと見ながら話を聞いていた息子はそれでも首を横に
振りました。

「あかんか。でも、先生、もうずっと給食1人で食べてるんやで。
 1人で食べるの、寂しいわ~。給食食べに来てくれへんか?」
息子はうつむいたまま、また首を横に振りました。
でも、文化祭のスケジュール表を指差して、小さな声で
「ここから行きます」と言いました。

彼が指さしていたのは、午後の「合唱コンクール」の欄でした。
「お昼から行くの?じゃあ、合唱コンクール出る?」
私が訊くと、息子は今度はしっかりとうなずきます。
先生も笑顔になって、
「そうかあ。良かったあ。先生、Mくんが来てくれたら嬉しいわ。
 H先生も、クラスの子も喜ぶと思うで。
 なあ、どうせなら、給食も一緒に食べへんか?」

でも、息子はそれにはやはり首を振り、
「お昼ご飯をお家で食べてから行きます」
「そうか。じゃあ、給食終わったら、1組は最後の練習する、って
 言うとったから、12時半に来れる?」
息子はこくん、と頷きました。
「1人で来れるか?」
「おかあさんといっしょに行きます」
「わかった。じゃあ、約束やで。先生待ってるから」
「はい」
息子は小さな、けれどもきっぱりとした声で
今度は先生の顔を見て返事をしたのでした。