雲のむこうはいつも青空

まったりもったり~自閉症息子のいる暮らし@ちびくまママ

大雨の朝

2016年07月13日 | 働く大人になりました
朝食を食べていたら、突然窓の外が真っ暗に。
びっくりして外を見てみると、バケツをひっくり返したような雨が降っていました。
遠くで雷までなり始めています。

慌ててネットで雨雲レーダーを確認すると、まあ、この辺一帯、赤を通り越して赤紫
ラジオからも「車のワイパーがきかないほどの雨」「通勤途上の方はくれぐれもお気をつけて」と聞こえてきます。

「こんな土砂降りじゃ、大変だよ。会社まで車で送ってあげようか」
出勤準備をしている息子に声をかけました。いつもは徒歩5分⇒バス10分⇒徒歩8分⇒電車13分⇒徒歩15分の道のり。この雨の中歩けば、会社に着くまでにきっとびしょ濡れになるでしょう。車ならドアツードアで20分。
ところが「えーと、社会人だから」。

どうやら、「僕、これでも社会人なんだよ。大雨くらいで親に送ってもらわなくて結構。バカにしないでよ」ということらしい。

「ホントに大丈夫~?こんな時は無理しなくていいんだよ~」なおも食い下がる母をしり目に「行ってきま~す」と息子はあっさり出ていきました。

レインコート着せるのにさえ苦労したあの子が、こんなに大きくなったんだ。
自分の持って生まれた能力をしっかり生かして、真面目に働いて、こんなにプライドを持っている。
先月より、昨日よりいい仕事をしようと頑張って、人間的に成長している。

アメリカの日本人幼稚園で孤立して泣き続けた日。
自閉症の診断に、目の前が真っ暗になって、「今までこんなに頑張ってきたのに、こんな子が産まれたせいで、私の人生終わった」と考えた日。
あのころの私に、今の息子の姿を見せてやりたい。

息子の成長に恥ずかしくないくらい、私は成長できただろうか。

そんなことを思った、大雨の朝でした。




本採用になりました。

2015年05月18日 | 働く大人になりました
息子、試用期間の3カ月が過ぎ、先日、今年度いっぱいの契約書をもらってきました。
以後、1年ごとの契約更新になるようです。
フルタイムではないのですが、1日あたりの就業時間が若干増えたため、社会保険加入
義務も出来たとかで、自分名義の健康保険証も持って帰ってきました。

息子が厚生年金保険料を納めるようになるとか、健康保険の本人になるとか、
考えてもみていなかったので、正直まだ私の方がとまどっています。

息子の勤め先は、特例子会社や継続A型ではない一般の企業ではあるものの、彼以外にも身体や知的に
障害のある人たちが複数働いている会社で、かなり理解はあるほう、と言われているところですが、

環境の大きな変化や、一般企業で働くということの厳しさは、やはり大きなストレスに
なっているのでしょうか、
4月末には、アトピーが急激に悪化し、大きいものではこぶし大の円形脱毛が多発して
外見がすごいことになってきてしまいました。

実は今年の1月にも、頭髪が三分の一ほどごっそり抜け落ちてしまい、アトピーで顔は真っ赤、
眉毛はなくなっている、というすさまじい外見で採用面接を受け、よくあのルックスで通ったものだと
変な感心をしてしまったくらいだったのですが、せっかく回復しはじめたかと思った矢先、また
あれよあれよという間に悪化してきてしまいました。

以前から皮膚科にも通って塗り薬はもらっているのですが、かなりきつい薬を塗り続けているのに
改善がはかばかしくないので、隣町にある、漢方のお医者さんを訪ねてみたところ、

やはり、ストレスが大きくかかわっているのは間違いないだろうね、ということで、
炎症をとる漢方薬と、ストレスを緩和する漢方薬を処方していただきました。

「わー、繊細なタイプだねえ。穏やかで、反抗期とかなかったんじゃない?」
脈をとっただけでそう言うドクター。
「顔つきもやさしいけどね。気持ちが優しすぎて、ストレスがかかっても、
物や他人にぶつけることができず、全部自分の中に溜め込んじゃうんだね」

医療の仕事は、患者の体だけでなく、心も癒すこと。そう言ってくれるこのお医者さんには
これからもしばらくお世話になることになりそうです。

そんなこんなの日々ですが、息子は無遅刻無欠勤、毎日笑顔で出かけていきます。
物欲のほとんどない息子には、時折外出先で飲み物を買うくらいしか、こづかいの
使い道がなく、給料の額にはほとんど興味がないようです。
それでも、仕事を頑張れるのは、ひとえに「働く自分」を誇りに思う気持ちからのようです。

幸い、職場の周囲の人たちも少しずつ息子に慣れてきてくれたのか、最近は彼が毎日つけている
業務日誌の隅に「丁寧にしあげてくれてありがとうございます」「いつも助かってます」など、
親の私にも嬉しい一言を、どなたかがちょこっと書き込んでくださる機会が増えてきました。

いろんな人に支えられて、愛されて、元気に仕事が続けられますように。
週3回だけ持っていく息子のお弁当箱に、そんな念をこめて、出勤する彼に手渡しています。

新たな一歩

2015年02月17日 | 働く大人になりました
長らく放置いたしまして・・・
もう見てくださる人もいないかな、とも思うのですが、こっそりご報告しておきます。

この度、息子が就職しました。
9時~15時のパート勤務、当初は3カ月更新の身の上ではありますが、
一応は長期継続雇用を前提としての採用、ということです。

「性格が素直で愛嬌があって、努力家だから、マッチングさえうまくいけば
十分就労可能ですよ」という就労移行事業担当さんの言葉に乗せられて
就労継続B型から就労移行に移ってははみたものの、

聴覚過敏のため、大きな音のするところや、たくさんの人がざわめいているところはダメ、
体温調節が苦手なので屋外作業は避けたい、筋力が弱いので重量物は運べない、
じっと立ったまま手だけ動かす、というのも難しい、という息子。
「ほんまに就労なんてできるんやろか」と半信半疑の母でしたが、なんとか
うちで働いてもらいましょう、と言ってくださるところが見つかりました。

私はと言えば、嬉しいよりも、これまで特別支援学級・特別支援学校・障碍者支援事業所と
保護された環境でずっと育った子を、社会へ送り出すことへの不安やら心配やらで
毎日胃が痛いです。

息子がこれからも、自分らしさと笑顔を失わず、誇りを持って働き続けられるよう、
祈るような気持ちで、毎朝家を送り出しています。