雲のむこうはいつも青空

まったりもったり~自閉症息子のいる暮らし@ちびくまママ

麻衣子さんは色白。

2008年11月05日 | adorably autistic
どこのチャンネルのニュースを見ても
アメリカ大統領選挙の話題でもちきりの昨今。

「黒人初の大統領」のフレーズを何度も聞いて疑問に思ったのか
息子が質問してきました。
「おかあさん、黒人ってどういうこと?」

そういえば、在米時代に私たちが住んでいた地域は
白人と東洋系が多いところで、
息子とかかわりのあった大人は全て白人か日本人だったし、
養護幼稚園のクラスメートも黒人の子は2人だけ、
しかもその頃息子には人種という概念はなかったでしょうから

「黒人」と呼ばれる人々がいることを彼は知らなかったのかも
しれません。
(それにしても、ニュース番組でさえなぜ「アフリカ系初」と
言わないのでしょうね)

「あのね、ちびくまくんがアメリカのプリスクールにいたときに
 ○○くんとか△△くんっていたでしょう。
 あの子たちとか、オバマさんってね、お父さんやお母さんとか
 おじいさんやおばあさんやそのまたおじいさんやおばあさんが
 アフリカから来た人たちなんだよ。
 アフリカの人たちは、ちびくまくんが日焼けしたときみたいに
 肌の色が濃い茶色なのね。
 そういう人たちを『アフリカ系』っていうんだけど、
 色が黒い、っていう意味で『黒人』って言ったりするのよ」

「ゼロ系とか、700系みたい?」
「そうだね、アフリカから来た人たちの仲間っていうことだね」

「お顔が茶色いの?」
「そうだね」
「ふーん。でも、麻衣子さんは顔が白いよね」

麻衣子さんって?クラスメートにそういう子はいないはず。
私と夫の昔の仲間に麻衣子さんという人がいて
彼女は確かに色白の和風美人だけど
息子は彼女にはあったこともなければ写真を見たこともないはず。

「ちびくまくん、麻衣子さんってだれ?」
「テレビに出てる人だよ」

…テレビに出てる麻衣子さん?うーん…

「”だんだん”に出てるでしょ」

息子よ、それは「麻衣子さん」ではなくて、「舞妓さん」だ!



文化祭

2008年11月01日 | 楽しい学校生活
今日は息子の中学の文化祭。
展示や部活のステージ発表などもありますが
なんと言っても目玉はクラス対抗の合唱コンクールと
吹奏楽部の演奏会です。

小学校時代の音楽会とは違い、自分のクラスが歌う曲も
自分たちで選び、指揮者も伴奏者もパートリーダーも
クラスの中から選んで、放課後に自主練習をして仕上げる合唱。

昨年は初めての経験にとまどい、眼に見えていらだち、
疲れきって帰ってきた息子ですが
今年は2年目とあって要領もわかり、クラスメートに伍して
練習を頑張っている様子でした。
楽譜がまったく読めないのに、耳と記憶力がいいせいで
問題なく聞き覚えができるのも彼にとってはラッキーです。

ところが、本番を前にした昨夜、突然発熱しました。
風邪などの兆候は全くありません。

実は、昨日の早朝、出勤してきた先生が
学校の玄関のガラスが割られ、校内に無数の落書きがあるのを
発見しました。
夜の間に何者かが学校に侵入して、荒らしていったようです。
朝から教委や警察の現場検証があり、その後は業者が来て
復旧作業が始まりました。

生徒たちには緊急集会で事情説明と
「このような心無い嫌がらせに負けず、明日の文化祭を成功させよう」
という校長先生からのメッセージが伝えられたそうです。

突然の事態にも大きな動揺は見せず落ち着いていた、という息子ですが
ただでさえ大きな行事の前日で緊張していたところへ
定型発達の子でさえ動揺するような大きなストレスが加わって
心のヒューズが飛び、いつもどおり体の変調という形で出たようです。

今朝もまだ熱がありましたが、学校を休むかどうかについては
彼の返事は断固としたものでした。
「お昼ご飯を食べてから、合唱だけしに行きます」

頑張って練習を重ねてきた合唱、本番を断念することはできなかったのでしょう。
おそらく心理的な原因での発熱だと思っていた私は
本人の気持ちを尊重したいと思い
障担K先生も交流担H先生もそれを認めてくれました。

昼食を食べてから合唱コンクールに間に合うようにクラスに
合流すると、
「ちびくまくん、よう来たなあ」と
クラス全員が拍手してくれたのだそうです。
息子はとても嬉しそうだったとのこと。

私は保護者席から息子の様子を伺っていましたが、
何を話しているのか、時々障級のクラスメートY君と会話しながら
しゃんと座っていました。

出番になると、クラスの男子が何人か
「ちびくまくん、行くで」と通りすがりにさりげなく
声をかけてくれています。
彼はいつもこんな風に助けられているのだろうと
なんだか嬉しい気持ちになりました。

クラスメートと共に壇上に並んだ息子は
すっかりクラスの男子の中に溶け込んで
大きく口を開けて真剣に歌っていました。
小学校低学年の頃、1人にニコニコと周りを見回し、
歌に合わせて踊っていた子どもの面影はどこにもありません。

いつも無理強いされることなく、ありのままを認められながら
可愛がられ、大切にされるうちに
自ら仲間の1人として自分の役割を果たそうとする気持ちを
彼の中に育ててくれた
これまで彼に関わってくれた全ての先生にこの姿を
見て欲しいと思いました。

特別うまい合唱とはお世辞にも言えなかったけれど
ほんわかと穏やかにまとまったクラスの雰囲気を表したかのような
息子のクラスの合唱は金賞を取りました。

帰宅した息子の顔も晴れやかで、熱はすっかり下がっていました。