雲のむこうはいつも青空

まったりもったり~自閉症息子のいる暮らし@ちびくまママ

ご機嫌です。

2008年03月30日 | adorably autistic
3学期も終わり、息子と私は穏やかな春休みを迎えています。

最近は学校が休みになると家から出たがらない息子。
せっかく春めいてきたので
「今日は暖かいからお散歩でも行かない?」
と誘ってみても
「いかないほうがいいと思います」
と断られる始末。

ショッピングセンターの類もほとんど却下。
本人の言によれば、「こんざつはきらい」なのだそうです。

とは言っても、本人は全く退屈する様子もなく、
TVやビデオを見たり、PCでWEBサイトを見たり、
幼児向けのオンラインゲームをやったり、
絵本を読んだりCDを聴いたり、ミニカーを走らせたりして
1日中ご機嫌に遊んでいます。

おかしいのは、自分で折々に
「おかあさん、ぼく、ごきげんだよ~」と報告にくること。

実は、3学期の日記に「・・・してぼくはごきげんでした」
(「プーさんとはちみつ」の絵本のまねです)と書いたところ、
K先生が赤線を引いて
「気持ちがよくわかります。素晴らしい日記ですね」
とコメントを書いてくれたので、

息子は「ごきげんです=先生がほめてくれる良い言葉」と解釈したようで、
それ以来、今までなら「○▲□★×~!!」と叫びながら
飛び跳ねていた場面で「ごきげんで~す!!」と叫ぶように
なったのでした。
いえ、間違ってはいないんですけれどね、決して。

今日もバランスボールに乗って部屋中跳び回りながら、
「おかあさん、ぼく、ごきげんだよ~!!」と叫ぶ息子。

・・・ええ、ええ、それは見ていればわかりますとも。

K先生の給食指導

2008年03月20日 | 「発達障碍」を見つめる眼
3学期もあとわずか。
今もまだ、息子の給食は、一足早く配膳室へ行って、
自分で「食べられるものを食べられるだけ」取ってくる
バイキング方式が続いています。

息子が1人で配膳室で自分が食べる物をじっくり選ぶ様子を
1年間見守ってくれた、給食の先生、校務員さんとも
すっかり仲良しになり、自分から挨拶をしたり、
話しかけたりするようにもなりました。

もうすぐ2年生になる、という意気込みからか、
今まで苦手だったメニューにも果敢に挑戦して
牛乳以外は完食、という日もちらほらと出てくるようになりました。

ここへ来て、K先生はまた
息子に対しての給食指導を繰り返してくれています。
その内容は
「給食は頑張って食べなくていい」
「給食は3つ残していい」

というユニークなもの。

普通、給食指導と言えば
「給食は嫌いなものでも頑張って一口は食べましょう」
「残さずきれいに食べましょう」
になるはずですが、

去年の春、
「中学生になったのだから給食は完食しないといけない」という
思い込みと、「でも自分にはできない」という現実との
板ばさみになって、給食が食べられないどころか
交流級にも行けない、学校に行くことさえ辛い、というほど
追い詰められてしまった息子をつぶさに観察し、
本人がその気になるまでじっと寄り添いながら
待ち続けてくれた先生だからこそ

ややもすると頑張りすぎる息子の場合には
頑張りすぎさせないようブレーキをかけることこそが
本人の安定した成長を支えるのだと
気が付いてくれているのだと思います。

母親である私でさえ、長い間の付き合いで段々に
肌でわかってきたことで
「専門家」と呼ばれる人々にでさえ
「甘やかしては伸びるものも伸びない」と
否定されることの多かった「頑張らせない」アプローチを

こんなにもすんなりと受け入れて自分のものにしてくれた
K先生に感謝感謝です。

子どもの背中を押し、頑張らせれば、目に見える成果が
迅速に現れることも多くあります。
でも、その子にとって「持続可能な頑張り」を目指すなら
時には「待つ」ことも「引く」ことも
大切だと思うのです。

漢字が書きたい!

2008年03月16日 | 楽しい学校生活
2学期から、息子には毎日日記を書くことが宿題として
与えられています。

日記とはいっても、ほとんどいつも彼が書いているのは
「インターネットで何のサイトを見たか」なので
「ネット日誌」と呼んだほうがあっているかもしれません。

しかも最近はなぜか
「ちびまる子ちゃん」のキャラクターと彼自身が
会話をしていたり、
日米のアニメキャラが交じり合って会話をしていたり、と
障担K先生が呼ぶところの「ちびくまくんワールド」、
自閉ファンタジー満開の世界です。

ところが毎日これを続けているうちに、面白いことが
起こってきました。
「あるべき姿」にこだわりのあるちびくま、
内容はファンタジー満開でも全然気にしていないのに
「ぼくは中学生だから、ちゃんと漢字を書きたい」と
言い出したのです。

でも、彼が自信を持って書けるのは、小3レベルくらいまでの
漢字だけ。
そこで、彼が思いついたのは、なんと国語辞典を引いて
漢字を調べることでした。

実は、彼専用の国語辞典は、小4のとき、通常級で
国語辞典の引き方を習うのと同時期に購入していました。
でも、当時は全く興味なし。見向きもしませんでした。

小5、小6と国語辞典の引き方を習いましたが、
あくまで課題として与えられたから従っていただけらしく、
家では辞書を見るのもイヤだという感じだったのです。

それが、自ら辞書を引き始めるとは・・・。
幸い、以前習った辞書の引き方はちゃんと覚えていたようで、
私が改めて教える必要はありませんでした。
何が幸いするかわかりません。
その時すぐに生かせなくても、「その気になれば使えるスキル」を
教えておくことは決して無駄とは限らないのだなあと思いました。

まだ「漢字と送り仮名」を調べるだけで、語の意味までは
身につかないようですが、さっそくK先生は
「国語辞典で言葉の意味を調べて書く」という課題を
国語の時間に付け加えてくれました。

将来、もし本人のモチベーションがここに向かえば、
もっともっと本人の言葉を増やすツールになっていくかもしれません。


体調不良と思わぬ言葉

2008年03月04日 | adorably autistic
それは昨日の早朝のこと。
4時ごろ、息子が起きてトイレにいった気配で目が覚めました。
ところが、いつまで経っても布団に帰ってきません。
どうしたのかと思って見に行くと、彼は廊下で洗面器を抱えて
座り込んでいました。

「どうしたの?気持ち悪いの?」
「だいじょうぶ」
「ここだと寒いよ。リビングのストーブつけてあげるから
 あっちへ行こう」

息子は青い顔をして従います。
ストーブをつけ、タオルを用意して息子のところへ戻り、
背中をさすっていました。
すると、息子が言ったのです。

「ぼく、だいじょうぶだから。お母さんはゆっくりねてて」

自分で洗面器を用意して抱えていただけでも「すごい」と思ったのに
これにはもうびっくり。

「しんどいのにそんなこと気にしなくていいよ。
 ちゃんと一緒にいるからね」
「ううん、だいじょうぶ。ねてて」

そういって、布団の方向へ私を軽く押すようにします。
仕方なく私は布団に入り、息子の背中を見守っていました。
ただ具合の悪いときに構われることがうっとおしかった
だけかもしれません。
でも、私には、息子がこんな時にも私の体を気遣ってくれたと
思えて、とても嬉しかったのでした。

そのうち、息子は何度か吐きました。
また起きていって、背中をさすりながら
「洗面器、一度洗ってこようか?」と訊くと
「まだ、もうすこし、いる」と答えました。

気分が悪くなったときにどうするべきか、を切実に教える機会は
息子の気分が悪くなったときしかありません。
これまで何度もこういう経験をつんだからこそ、
自力で判断や行動ができるようになったんだなあ、と
私は変な感動をしていました。

8時まで待ってK先生に電話をかけ、事情を話して
今日は欠席する旨を伝えます。
「原因はテストですかね?」

実はこの日から3日間、期末テストの予定でした。
息子は2学期も家庭科や美術、保体、音楽と実技教科のみ
期末テストを受けたのですが、問題の文章も十分理解できなくて
半パニックになり、もちろん回答もほとんどできず
とても自信をなくして落ち込んでいたのでした。

でも、今学期も本人が「受ける」というのでテストの
予定にしてあったのですが、本人の頑張りたい気持ちとは裏腹に
体のほうが「これ以上頑張れない」と音をあげたのかも。

もちろんこの季節なので、単なるお腹の風邪、という可能性も
あるのですが、ストレスが行動の荒れではなく消化器症状という形で
でやすい子であるだけに、テストのプレッシャーが原因に
なった可能性も高いのです。

K先生が、私が言い出すより先にそのことに気が付き、
心配してくれたことに、私はとても安堵しました。

息子の嘔吐は午前中いっぱい続きましたが、昼食も食べずに
眠ったあとは、だんだん元気になって、笑顔も見られるように
なりました。
そこへK先生から明日の予定の連絡。
見事に、テストの予定がすべて個別学習に書き換えられています。
夕食には軟飯を少しとりんごを少し食べた息子。
「明日はげんきに学校へいきます」とK先生が知らせてくれた予定を
自分のスケジュール帳に書き写していました。

今日は朝からいつもどおりの笑顔で登校していった息子。
私はといえば、昨日の「お母さんはゆっくりねてて」を反芻して
幸せに浸っていたのでした。