雲のむこうはいつも青空

まったりもったり~自閉症息子のいる暮らし@ちびくまママ

運動会(その3)

2006年09月26日 | 楽しい学校生活
その時、私の携帯にメールが届きました。
去年までの担任のK先生からです。
「ちびくまくん、組体操よかったよ。今度は音楽会がんばってね!!」

私は出会わなかったのですが、K先生、運動会を見にきてくれて
いたのでした。幸い、ちびくまと介助についていたI先生は
しっかりK先生の姿を認めて、2人で伸び上がって手を振ったそうです。

その他にも、1・2年の担任だったM先生、クリスマス会に欠かせない
存在だったもう1人のM先生、この春退職した介助の先生3人、
同じくこの春卒業したYちゃん・・・みんなM小の運動会を見にきてくれて
いたのです。

全ての種目が終わって、教室へちびくまを迎えに行きます。
息子はえっへんと胸を張って、「おかあさん、ぼくはがんばりました。
ぜんぶ、じょうずにできました」ときっぱり。
本人にとって、とても達成感のある運動会になったようです。

あとで聞いた話ですが、介助のI先生、ちびくまについて
一緒に組体操をしながら、
「あのちびくまくんが、よくぞここまで・・・」と涙してくれて、
ちびくまに「せんせい、なんでないてるの?」と突っ込まれたのだとか。(笑)

私たち肉親のほかにも、こんなにちびくまのことを思い、
彼の成長を見守り、喜んでくれる人がたくさんいるなんて、
息子はなんて幸せな子なんだろうと思います。

小学校生活最後の運動会。
これも本人にとっても「一生懸命頑張り、結果を出した自分」を
実感できる、楽しい体験になったに違いありません。
そして、私にとっても、息子にとことん寄り添ってくれる
沢山の人々に支えられる幸せを改めて感じる機会になったのでした。

運動会(その2)

2006年09月25日 | 楽しい学校生活
お次の出番は、いよいよリレー。
M小では1年が直線かけっこ、2年で直線で輪っかをバトン代わりに
使ったリレー、3・4・5年がトラック半周のバトンリレー、
そして6年がトラック1周のバトンリレーというのが
毎年恒例になっています。

観衆の前、校庭を1周駆ける6年のリレーは他の学年のときより
ずっと盛り上がります。私は息子の走りがどんなに遅くても全く
気になりませんが、一緒のチームで走る子たちの気持ち、それを
応援する家族の人たちの気持ちを考えると、息子がこれに参加するのは
とても心配です。

今年も息子は第2走者でした。
そして、今年も他の子たちの約半分の距離を走ります。
その分は、第1走者と第3走者の子が4分の1周ずつ余分に走って
カバーしてくれるのです。

さて、第1走者の女の子、僅差ですが4位でちびくまにバトンタッチ。
ちびくま、これまでになかったほど一生懸命走ります。
でも、いかんせん他の子達とはレベルが違い、3位とはゆうに半周の
差がついてしまったところで、次の男の子にバトンタッチ。
ところが、第3走者以降、じりじり追い上げ、第8走者くらいで
トップに躍り出、ついにアンカーはぶっちぎりの1位でゴールイン。

大体、障級の子が参加することで他の子が「割を食った」と感じないよう、
チーム分けには配慮してもらっているようですが、やはりこういう
結果になるとほっとしました。

さて、息子はリレー後の退場時に、他の子と交錯して転び、
肩膝と両肘をすりむいたようですが、泣いたりパニックになったり
することもなく、保健室の先生に手当てをしてもらったようです。

午前の部が済んだところで、障級の教室で一緒にお弁当を食べます。
膝小僧にガーゼを貼ったちびくまは、それでもご機嫌で、運動会を
楽しんでいるようでした。

午後の最後から2つめが組体操。
今年は障級から7人が参加します。もちろん、それぞれの子に
1~2人の介助が付きます。先生たちも大変です。
ちびくまは最初のうち、障級の同級生K君と組みます。
どこにいるのかなかなか探せないうちに、技はスーパーピラミッドへと
進みました。短い練習期間にかなりハードに鍛えられたのか、
目を見張るようなきれいな動きです。
その中で、ちびくま、先生の補助つきではありましたが、
しっかりタイミングを合わせて頑張っていました。

次は3段ピラミッド。ここは、障担の作ってくれた4つ折タオルの
出番です。ちびくまは最下段で4つばいになっていましたが、筋力が
弱いことに配慮してか、上の子の体重がかからないように
工夫されていました。

最後に、通常学級の男の子の足を持って、倒立隊形を作ります。
ここは、介助の先生が2人ついて、足を受け止めて体制を作るまで
手伝ってくれ、ポーズが決まったところで引いていました。
ちびくまに足を持たれるなんて、怖いだろうなあ、よく協力して
くれるなあ、とちょっと相手の子に同情。でも、息子はよく持ちこたえ、
相手の子の足を下ろすときも、そうっとおろしていたのでちょっと安心
しました。

最後の技が決まった後は、中央の大きなピラミッドを1列ずつ
崩して、笛の合図で退場。
全体的に、目立つこともなく、息子のできる範囲で一生懸命
頑張っていることがよくわかる出来でした。
周りの子をよく見て、タイミングを合わせるのは、これまでで一番
よくできていたかも。

大きな拍手を浴びた組体操でした。


運動会(その1)

2006年09月24日 | 楽しい学校生活
今日はいよいよ運動会本番。
台風が近づいていたせいで天気予報は2日前まで「曇り時々雨」。
でも昨日には予報が変わって「晴れ」になり、学校から帰ってきたちびくまは
さっそくネットの天気予報を確認して、
「おかあさん、あしたはれだよ~。やったあ、うんどうかいあるね~」と
大喜びでした。
(こんなに運動会の好きな自閉症児も珍しいかも)

さて、今朝もちびくまは張り切って朝早く起きました。
起きるとすぐにバルコニーに出て、天候の確認。
「おかあさん、いいおてんきだよ。きょうはうんどうかい。
 ぼくは、リレーときばせんとくみたいそうと大だまころがしにでます。
 ぜんぶがんばろうとおもいます」
と宣言しました。

息子を先に送迎バスに乗せて送り出し、私も支度をして、お弁当と
ビデオカメラを抱えて車で学校に向かいます。(夫は出勤日)
学校に着くとすでに子どもたちは観覧席に荷物を置いて
入場行進の準備をしているところでした。

さて、開会宣言があり、入場行進が始まります。
ちびくまは6年の白組、背が低いので前から3番目を歩いていて
すぐみつかりました。
今年も介助の先生は少し離れたところからの見守りのみ、でも毎年同じ流れで
こなしてきたおかげか、もうちびくまはすっかり危なげなく参加できる
ようになりました。校長先生のお話の間もじっと立っていて、最初と
最後の「礼!」の号令にあわせて、きちんと頭もさげていました。

準備体操が始まると、5・6年の体育委員が前に出て模範演技をします。
今年も体育委員会に入ったちびくまは、他の子どもたちと一緒に
前に出て体操をします。立ち位置は6年生の前でした。
同級生ならほとんどがちびくまのことを知っていますから
彼が少々違うことをやったって察してくれる、という配慮でしょうか。
でも、息子は少々動きがあやしい他はきちんと頑張っていました。

さて、6年生の初めての出番は、5年生と合同の騎馬戦。
ちびくまは、と見ると、普通に組んだ騎馬の、後ろの2人の肩を持って
一緒に走る形になっていました。
なるほど、これなら、筋力の弱いちびくまが騎馬に加わっても
騎馬が崩れる心配はないし、ちびくまもさほど疎外感を味わわずに
参加することができます。
残念ながら白組は負けてしまいましたが、ちびくま、終始ニコニコ笑いながら
参加していました。

組体操とタオル

2006年09月21日 | 楽しい学校生活
今年の9月は不順な天候が続いていて、運動会の練習は半分ほどに
減っていたようですが、その分お天気になってからの練習内容は
厳しくなっているのではないかと思います。

それでも、これまでほとんど弱音を吐かずに頑張ってきたちびくまですが、
14日の夜、姿が見えないと思ったら、布団にもぐってしくしく
泣いているのを見つけました。

「どうしたの?」と訊くと、
「ぼくはくみたいのれんしゅうがじょうずにできない」と答えます。
「そっか、上手にできなかったんだ」
「ひざがいたかった。ぼくはもうくみたいしたくない」
息子は涙をぽろぽろ流しながら訴えます。

でも、私が「そう、もう組体したくないの?じゃあ、お母さんがM先生に
 『もう組体はしません』って言ってあげようか」と言うと
あわてて「言わない!お母さん、言わない!ぼくはくみたいがんばります」と。

頑張る気持ちはあるけど、なかなかみんなについて行けない苦しさを
わかって欲しくて、ちょっと弱音を吐いてみただけのようです。

でも、毎日ひざ立ちで頑張っているせいか、息子の膝頭は確かに
色が変わって皮膚がごわごわになり、荒れています。
「ひざがいたい」というのは、本当のことだと思います。

そこで、それを障担に伝えると、いろいろ方策を考えてくれました。
膝にサポーターをする。息子だけ長ズボンのジャージを許可してもらう。
でも、息子はどちらにも「うん」とは言いませんでした。
「みんなとおなじにがんばる」

でも、障担の観察ではやはり膝が痛そうとのこと。
私が直接息子に確認しても、やはり長ズボンははかない、膝あても
しない、と言い張ります。それで、今日の連絡帳には
こう書きました。

「本人なりに、みんなと同じようにしなければならない、と思って
 いるのだろうと思います。私としては本人が楽になることが
 一番だと考えますが、周りを見てそれに合わせようという気持ちも
 良い面もありますから・・・難しいですね」

ところが。昨日の練習で、組体で組む、やはり障級在籍の同級生、K君が
膝の下に四つ折にしたタオルを敷いてやっていたのを見て、
同じようにするのはどうか、と障担がちびくまに提案すると、
即座にOKだったそうです。これなら、遠目には周りの子と同じように
見えます。膝は痛いけれど、自分だけ違う格好をするのは嫌。
そんなちびくまの気持ちにぴったりしたアイディアだったようです。

早速、今日の練習はタオルを敷いてもらって練習したようですが
「集中力がまるでちがいました」と障担。
ひとつ頑張るところを減らしたことで、肝心のことを頑張る力が
出た、ということのようです。

人の話を聞くときにその人の目を見させること。
授業を聞くときにだらだらした姿勢を禁じること。
そのために、肝心のことに取り組むハードルが思い切り
高くなってしまっている自閉っ子は沢山います。

自閉っ子に頑張りどころを間違えさせないのも、支援者の大切な
役割なんだなあ、ということも改めて感じた一件なのでした。
タオルのアイディアを思いついてくれた隣のクラスの障担H先生と
それをすぐ取り入れてみてくれた障担M先生に感謝です。

バスまつり

2006年09月18日 | Wonder of Autism
今日は地元のバス会社の営業所で開かれる「バスまつり」。

普通のお祭りや子ども向けのイベントにはまったく興味を示さない
ちびくまですがこの「バスまつり」の事はいったいどこで耳に挟んできたのか、
何日も前から
「おかあさん、18にちはバスまつりにいこうね」と
催促の嵐でした。

少しお天気が心配だったのですが、どんより曇りの空にかすかに
日がさし始めたこともあり、予定通り息子と2人で出かけていきました。

営業所の構内には、展示用のバスが4台並んでいます。
でも、ちびくまは、それを一通り見たあとは、営業所の端っこに
しゃがんで、その後ろにずらりと並んでいる、普通の(展示用でない)
バスを眺め始めました。

中に2台、「教習車」の看板を上げたバスが止まっていましたが、
ちびくまが眺め始めてまもなく、それぞれ4~5人の運転手さんたちを
乗せて、相次いで発車しました。路上教習なのでしょう。
営業所の出口に向かってゆっくりと動き始めたそのバスに向かって
ちびくまが「バイバーイ」と手を振ると、バスの中から運転手さんたちが
手を振り返してくれたので、ちびくまは大喜び。

しばらくバスを眺めた後は、運転手さんたちが焼いて売っている
やきそばとフランクフルトを買ってお昼にしました。

昼食後はバスの洗車体験。バスに乗って、専用大型洗車機でのドライブスルー
洗車を体験できるのです。1回の洗車に使われる水は300リットルとの
ことで、大迫力。これにもちびくまは大喜び。
バスに乗るときには自分から運転手さんに「よろしくおねがいします」
降りるときには「ありがとうございました」と挨拶もしていました。

その後は去年もあった、クイズ大会。昨年の「東京行き夜行バス
往復ペアチケット」獲得
に続き、今年も、と意気込みましたが
そうは問屋がおろさず、商品がもらえるぎりぎりのところで
惜しくも敗退してしまいました。

さて、それで再度展示バスのところへ戻ったところ、先ほどの
洗車体験でガイド役を務めておられた運転手さんに会いました。
「洗車、もう乗ってこられましたか?」と訊かれて「はい、さっき
乗せていただきました」と答えると、「そうですか、じゃあ、このあと
クイズ大会がありますから、そっちもどうぞ。豪華商品がでますよ」と
言われるので、「はい、実は去年1等を頂きました」と言うと、
「あ、思い出した~、そうだそうだ、F地区にお住まいでしたよね、確か。
 それで、子どもさんがバス好きで~、と言ってはった、ああ、それが
 このボクですか~」

なんと1年前のことをしっかり覚えておられたのです。
「そうか、ボク、バス好きなん?」と訊かれて、ちびくまは「バスすき」。
「もうマニアでしてね、最近なくなったラッピングバスのナンバーなんかも
 全部覚えてますよ」と私が言うと、
「へえ、すごいな。じゃあ、青いのは何番やった?」
ちびくまは済まして、「○○○○」
「あたり!じゃあ、××××は何色?」「オレンジ」
「じゃあ、黄色いのは何番?」「△△△△」
「即答や~、すごいなあ。じゃあ、○系統は何行き?」

・・・・と延々マニアックな会話が。
運転手さんは「わあ、こんなにすっと答えが返ってきたら
むっちゃ気持ちええわあ。なあ、ボク、大きくなったら
うちの会社おいでえな。なんやったら所長に紹介しよか?」とニコニコ。
(ぜひお願いしますう~)

バスマニア同士、大いに通じるものがあったようです。

バス祭り終了の時間になって、夫に車で迎えに来てもらっても
ちびくまは車に乗る前にわざわざその運転手さんのところまで
走っていって、「ありがとうございました~」と挨拶し、
「今度ぼくのバスに乗ったら声かけてな~」と言ってもらっていました。

好きなもののことなら、ちゃんと人と会話もできるし、
社交的に振舞うこともできるんですね~(笑)

会場には息子のお仲間(?)・先輩(?)と思しき人も
沢山いました。中にはずっと独り言を言っている人も・・・。
でも彼らも、ちゃんと仲間でつるんでいたり、運転手さんたちと
マニアックな会話を楽しんでいたりするのです。
息子も大人になったらあんなふうになるのかなあ、なんて
思った一日でした。

運動会の練習

2006年09月04日 | 楽しい学校生活
新学期が始まったばかりだというのに、もう今日から
運動会の練習が始まりました。
23日の本番に向けて、これから毎日最低2時間、多いときには
1日4~5時間の練習をこなすことになります。

6年生が出るのは組体操とバトンリレー。ちびくまは障担の介助を受けながら
全て交流級の一員として参加します。
今年は組体操も2回目になったので、ある程度見通しはつくのでしょうが
6年生になった分要求される技は高度になるので、
自分自身の体との付き合い方に困難を抱える息子にとっては
ハードルの高い競技であることは間違いありません。

それでも、周りの子がやっているのを観察したり、障担の
アドバイスを聞いたりして、自分なりにできるところまでやろうと
一生懸命頑張っているようです。
それでも、家に帰ってきた後荒れたりぐったりすることもなく
過ごせるようになったのは、それだけ本人に耐性がついてきているのでしょう。

1年生のときは、「そこから逃げないでいるだけ」だったちびくま。
誰も彼の手を引っ張って無理やり参加させようとはしなかったけれど
6年生になった今、彼はちゃんと「運動会では自分は何を期待されているか」を
理解し、自分から進んで参加するようになりました。

私は6年間を通じて
「何ができるか、ではなく、本人が『自分はよく頑張った』と
 いう達成感を味わえるように、本人が行事は楽しいと思えるように
 ご指導をお願いします」
と先生たちに言い続けてきました。
自信満々やる気満々の息子の笑顔を見ていると、私の思いを先生方は
しっかり汲み取って実践してくださったのだろうなあ、と思います。

息子や障級の仲間たち、そしてなによりも障担・介助の先生たちにとっては
とてもハードな数週間になりそうですが、息子の小学校生活の
有終の美を飾れるような運動会になってほしいものです。

新学期

2006年09月01日 | 楽しい学校生活
今日は始業式でした。息子は2~3日前から
「9月1日から2がっきがはじまるね。2がっきはうんどうかいもあるし~、
 おんがくかいもあるし~、マラソンたいかいもあるし~、
 クリスマスかいもあるね~。いっぱいあるね~。
 ぼくは2がっきもがんばるよ」と繰り返し、
もう新学期への心構えはすっかり完了した様子。

今朝はすんなり起きて、張り切って学校へ出かけました。

毎年同じサイクルで動く学校生活は、彼にとってとても
見通しのつきやすい環境のようです。
でも来年は中学進学、これまでの安定した環境とはがらっと
変わります。

小学校のうちに、安定した気持ちでいろいろな経験を積むことで
これからの環境の変化に対応する力になっていくことでしょう。

小学校最後の2学期、存分に力を発揮して楽しんで欲しいと思っています。