雲のむこうはいつも青空

まったりもったり~自閉症息子のいる暮らし@ちびくまママ

重度知的障害者判定

2015年06月10日 | 「発達障碍」を見つめる眼
先日、初めて県の障害者職業センターに行ってきました。
目的は、「重度知的障害者判定」を受けるため。

会社から、「ぜひ受けてみてほしいのですが」と言われて、「なにそれ、おいしいの?」
状態だった私なのですが…

元々、特支高等部卒業後は継続B型の事業所に入り、「30歳までに就労できるようなチャンスがあれば」
などという、ゆるーーい就労希望だった我々親子。

施設から勧められて、同じ事業所の就労移行に移ってからも、本人の希望もあり、そのまま
継続B型の仲間と一緒に作業を続けるうちに、「これ、ちびくまくんにぴったりだと思うんですけれど!」と
言われる求人が出て、あわててハローワークに登録したら、あれよあれよという間に採用が決まり・・・
という怒涛の展開だったので、就労の仕組みや利用できる制度についてはホントに不勉強で来てしまったのです。

障がいのある人の雇用については、現在「障害者雇用促進法」という法律に基づいて行われています。

この法律上、「知的障害者」とは、障害者更生相談所などの判定によって交付される「療育手帳」(自治体によって
名称は色々ですが)を持っている人のほか、障害者職業センターで「知的障害者」と判定された人も含まれます。
つまり、療育手帳がなくても「障害者枠」で就職することは可能なのですね。

そして、知的障害者のうち、特に障害の重い人が「重度知的障害者」と定義されます。
この重度知的障害者には、療育手帳で障害程度がA・重度と判定されている人のほか、障害者職業センターで
「重度知的障害者」と判定された人も含まれます。

というわけで、療育手帳の有無や判定内容、障害者年金の判定とは全く別の基準で、「障害者雇用促進法上の
知的障害者」「障害者雇用促進法上の重度知的障害者」と認定されることがあるのです。

障害者の雇用促進のため、各企業には法定雇用率と言って、従業員のうち一定割合の人数の障害者を雇用する
義務が課されていて、これを満たしていない場合には「納付金」(罰金のようなもの?)を納めなくてはなりません。

逆に、障害者を雇用している企業には、その数や障害種別・障害程度、対応の内容などによって、各種の助成金が
交付されることになっています。

で、「障害者雇用促進法上の重度障害者」は、ダブルカウント、つまり1人雇えば2人雇っているのと同じ
扱いになるので、企業にとっては経済的メリットがいろいろあるらしいです。
障害が重ければ重いほど、採用される機会が限られる、という現実に鑑み、重度の人が少しでも雇われやすいしくみに
なっている、ということなのでしょう。(息子の場合はすでに雇用されているので大きなメリットはないように
思われますが)

重度障害者にあたるかどうかの判定は、最寄りのハローワークを通じて申し込み、障害者更生相談所などで
IQ判定を受けている場合はその結果、それに社会的生活能力についての調査票(本人または保護者記入)、
カウンセラーとの面接、作業検査の結果を総合的に判断して行われるようです。

息子は、判定時には「Mさんはとてもきもちのいいお返事ができますね」と褒めてもらったので、嬉しそう。
久しぶりに、平日仕事を休んで、大好きなバス(そこか!)を乗り継いでの外出、ということで、それなりに楽しめたようです。
担当カウンセラーさんは、息子の試用期間後、本契約移行の際にも立ち合い、企業側と話をした方だということで、
「頼んだ仕事を真面目に丁寧にやってもらって助かっている、とおっしゃっていましたよ」とほっとする言葉もいただきました。

結果は約1週間後に郵送、ということでしたが、息子は無事(?)「重度知的障害者」の判定をいただきました。(わはは)
記憶力だけがむやみに良いために、生活実感よりはずっと上の数値が出てしまう知能検査には
「本人の困り感や配慮の必要性が評価されてない~」と不満を持っているので、むしろ「職業上の重度」の文言には
「そうよそうよそうなのよ~」と喜んでしまったのですが

療育手帳の取得に抵抗があったり、療育手帳の判定が「中度」「軽度」と出ていた場合には、この「重度知的障害」と
いう表現に引っかかる方もあるかもしれません。でも、「就職および職業生活においてより配慮が必要な人である」と
いうことの証明、と思えば、納得もいくのではないでしょうか。