雲のむこうはいつも青空

まったりもったり~自閉症息子のいる暮らし@ちびくまママ

新型インフル襲来!(その3)

2009年10月31日 | CIDP
さて、待合室で待っていると、その次の子もまた次の子も
全員がインフル検査。処方されるお薬はみんなタミフル。
「なんかすごいことになってるなあ」と思っていると
名前を呼ばれ、診察室へ。

「お母さん、ばっちりA型やったわ。このタイミングのA型は
 やっぱり新型やろねえ」

ここの先生は障碍のある子にはどんな形状の薬なら
のめるかも考えて処方してくれます。
息のコントロールが難しいので吸入薬は難しく
カプセルや錠剤は飲み込めない息子ですが、粉薬は
少しくらい苦くても大丈夫。

相談した結果、通常10代の子に処方されるリレンザは
息子には難しいだろうということで、小さい子向けのタミフルの
ドライシロップを体重相応量処方してもらうことに。

「おかあさん、知ってはると思うけど、タミフルは10代の子に
 使うと危険な行動に出る可能性があるって言われてるんでねえ、
 少なくとも2日間は絶対に目を離さないようにしてね」

そんな注意を受けて、家に帰って、熱が下がっているため
少し食欲の出てきた息子とお昼を食べて
息子は眠り、それを横目に見ながら私は仕事をすることに。

3時過ぎになり、再度息子の体温を計ると、
今度は39度を越えていました。
さすがに顔は真っ赤で、目も充血し、見るからに
しんどそうな息子。
額のジェルシートを取り替えて、お茶を飲ませて、
それから私は主治医に連絡をとるため、病院へ電話をかけました。

実は私の持病であるCIDPは、新型インフルにかかると重症化する
危険が高い基礎疾患ということで、糖尿病や喘息と並び
「最優先で新型ワクチンを接種できる対象疾患」に
指定されているのです。

つーことは、私も今うつるとかなり危ないのだろうか?
何より、普通のお医者さんはよく知らない難病なので
他の病気と重なったとき、まず主治医の指示をもらっとかないと
いけないのです。

ところが。患者に対しては気さくでお茶目な主治医も、
実はその病院ではかなりのエライサン。
電話しても「会議中」だとか「回診中」だとかで
なっかなかつかまらないのです。
で、例えつかまる時間帯であっても
取次ぎの人に、「何の御用ですか」
「ご用件をもっと詳しくお聞かせください」
「お電話をしてもいい、と先生に許可をとっていらっしゃいますか」
と根堀り葉掘り突っ込まれ、
なかなか直接お話しさせてもらえないんですね、これが。

「なにかあったらいつでも連絡してください」と
診察のたびにかるーく言ってくれる主治医ですが、
実は影では「白い巨塔」の財前教授みたいに
「キミ~い、こんなくだらないことで私の手を煩わせて
 いいとおもっとるのかね!」
なーんてやってるんじゃないのか、と勘ぐりたくなるくらい。

ともあれ、すったもんだでやっとのこと主治医と話ができ、
今の薬の量なら、即命が危険ということにはならないだろうから
インフルが発症したら近くのお医者さんでタミフルを
処方してもらえばいい、ということでほっと一安心したのでした。

息子の熱は高いですが、とりあえずそれ以外に特に変わったことは
ない様子。
この夜もまた、私はマスクをして、息子を抱くようにして
眠ったのでした。

大原麗子さん

2009年08月07日 | CIDP
女優の大原麗子さんが亡くなりました。
あれだけ綺麗で華やかな人が、誰にも看取られずに息を引き取って
この暑さの中、そのまま2週間以上も気づかれずにいた…
あまりにむごすぎる最期に、胸が痛みます。

今日のワイドショーもニュースもその話で持ちきりでしたが
彼女は長年にわたってGBS(ギラン・バレー症候群)を
患っていた、と報じられていました。

でも、私には、彼女はGBSというよりCIDP患者だったのでは
ないかと思えてなりません。

GBSとCIDPはどちらも免疫システムの異常で
末梢神経が侵され、まず手足が動かなくなり、麻痺が
呼吸筋に至ると命が危うくなる、という点では
共通する病気です。

違うのは、GBSが短時間のうちに急激に発症するのに対し
CIDPの発症は緩やかで、時には何年にもわたって徐々に
麻痺が進行すること、

GBSは発症から4週間以内に症状がピークを迎え
以降は快方に向かうとされているのに対し、
CIDPは6週間以上にわたって症状の進行が進むこと

GBSから一度回復した場合の再発率は非常に低いのに対し
CIDPは再発を繰り返したり、慢性に進行したりする、と
いう点でしょう。

紛らわしいのは、CIDPの中にも亜急型と言って
私のように発症から1週間程度で両手両脚にはっきりした
麻痺が現れるケースで、

私自身がそうだったように、このような症例では
まずGBSと診断されることが稀ではありません。
けれども、免疫グロブリン療法で一旦ある程度まで
回復していた筋力がまた数週間後には低下し始める、という
再発・再燃を3度繰り返した時点で

私の診断名はGBSからCIDPに変更になりました。

大原麗子さんのように何度も何度も良くなったり悪くなったりを
繰り返すケースは、むしろCIDPといったほうが
良いのではないかと思うのです。

私が入っているCIDPの患者会の会員さんの中でも
私のように初診日から免疫グロブリンを受け、
初診から2ヶ月でCIDPの確定診断を受けたというような
ケースは非常に稀で、

多くの人は診断も有効な治療も受けられないまま
何年もかかってドクターめぐりをした挙句に
ようやく診断がついたという人が少なくないのです。

昨年、大原さんが転倒して骨折したというニュースが流れたときに
「あんなに何度も再発する、っていうのは、
 GBSじゃなくてCIDPなんじゃないでしょうか」と
主治医に疑問をぶつけてみたら

「まあ、直接診察してみないことにはなんとも言えないけれど、
 可能性がないとは言えないねえ」
との答でした。

GBSは知る人ぞ知る、という病気ですが
CIDPとなると、神経内科の専門ドクターでなければ
名前すら知らない、ということもあるのです。
正しく診断ができるドクターにかからなければ
QOLが著しく侵され、神経に不可逆なほどの損傷を受けるまで
有効な治療が受けられないこともあります。

今日の9時のNHKニュースでは独協医大の小鷹先生の
コメントで
「再発を繰り返したり慢性のケースもあるので」
と短く紹介されただけでしたが、

せめてこの機会にGBSが大々的に紹介されることで
GBSとCIDPが世に知られ、まだ光のあたっていない人たちに
光があたることを願ってやみません。

最期になりましたが、大原麗子さんのご冥福を
心からお祈りします。

医療講演会

2008年09月21日 | CIDP
今日は、神戸でCIDPについての医療講演会があり
出かけて行きました。発病以来、初めての遠出ですが、
幸い、高速バスで三ノ宮に出てから地下鉄でひと駅、
そこからすぐ、という殆ど歩かなくてすむ会場だったので
思い切って出て行きました。

息子はこれも久しぶりに日中一時支援の施設でお預かりです。

講師は、この病気については日本ではもちろん、世界でも
トップクラスと言われるK大学のK教授。
会場に着くと、思ったより沢山の人。
自閉系の講演会に比べるとずっと寂れているだろうと
思ったのに、案外集まるものなんだなあ、と感心しました。

お話の内容は、CIDPの基本情報と、基本的な治療が効かない
難治例への対処、どちらかというと非定型的なCIDPの
辺縁疾患についてでしたが

急激に発症したわりには、基本的な治療法にことごとく
素直な反応をしているタイプの私にとっては、ネットでも手に入るような
基本情報しかあてはまらず、ちょっと拍子抜けした感じでした。

講演会が終わった後は、CIDPサポートグループの会員と
家族が残って、プチ交流会。
私にとっては自分以外のCIDP患者に会うのは初めてで、
日本全国でも2千人程度と言われるCIDP患者がこの場所に
こんなに沢山いることにちょっとした感動を覚えました。

同じCIDPと言っても、もう10年以上、20年以上も前に発病した人から
ついこの間発病した人、一度の治療でその後の再発も抑えられ、
今は全く普通の生活をしている人から、私のように良くなったり悪くなったりを
繰り返している人、どんな治療も効果がなく、ただゆっくりと
四肢の麻痺が全身へと広がっていきつつある人、
電動車いすに乗った人から手動の車椅子に乗った人、杖をついて
歩いている人、全く支障なく走ってまでいる人まで、
CIDPの病態の多様性を改めて実感しました。

多くの人に共通する悩みと言えば、高額な治療費、再燃・再発の
予防法がないことへの不安感、
疲れやすさや痺れや天候・体調に左右される症状のゆれなどに
周囲の理解が得られにくいこと、でしょうか。

そして、正確な原因・予防法の究明、社会的・福祉的な支援、
特に医療費の公的補助や就労(継続)支援などは
誰もが求めているもののように感じました。

発病前から自閉つながりでいろいろな人との繋がりがあったせいか
一匹狼的な存在のわりにあまり孤独感を感じたことのない私ですが
それでもニーズを同じくする仲間が沢山いることに、
あらためて心強く思ったのでした。

「みゅうの足(あんよ)・・・」を見て(その2)

2008年09月01日 | CIDP
○ムーンフェイスについて(ステロイドで顔がパンパンに腫れる)
 
 天下のマツジュンのあの特殊メイクには思わず目をそらした
 ファンの方も多いだろうと思うのですが、私なんかは実際
 ああいうアンパンマン顔になってましたね~。ああ、思い出したくない。
 鏡で自分の顔を見るのが苦痛でしたから。

 ただ、ムーンフェイスは「むくみ」ではなくて(むくみも出ますが)
 脂肪の異常沈着なので、一晩とか数日であそこまでパンパンになることも
 ないし、逆に薬をやめたからすぐに元通りということもありません。
 私の場合は、ステロイド投与を始めてから2~3週間で顔の輪郭が
 はっきり変わってきて、ほぼ元の顔に戻ったと思えるようになったのは
 ピークの頃から約1年ほど経ってからでした。

 ドラマではムーンフェイスのパパを見てみんなで笑い転げる
 ほほえましい(?)シーンがありましたが、
 ムーンフェイスを見て泣かれたりびっくりされたり笑われたりと
 いうことには、老若男女を問わず内心ひどく傷ついている場合が
 多いことを知っておいていただきたいと思います。

○リハビリについて

 ドラマではマツジュンがものすごくリハビリを頑張っていましたが
 CIDPの場合、神経の損傷が活発に進んでいる時期(急性期)には
 運動をすることで却って悪化が進んだり、本来損傷を受けていない
 筋肉や関節を傷めたりすることがありますので、リハビリは禁止です。
 投薬等により、神経が回復期に入り始めてから、適度に体を
 動かすことは、体力の衰えや筋肉の萎縮・関節の硬縮を防ぐために有効ですが
 基本は「汗だくになったり、後で筋肉痛や関節痛がでるほど
 やってはいけない」のだそうです。
 ただ、昨年の今頃は車椅子に乗っていた私が今自分の足で歩けているように
 焦らず諦めず地道にリハビリを続けることには一定の効果はあるようですが
 あの場面だけを見て、リハビリを頑張りさえすれば回復するという
 誤解が広まらないことを願います。

○ドクターの「完治した人はいない」発言について

 これに引っかかりを感じた患者は結構いたようです。
 現在の医学ではCIDPには根治療法がありませんので、投薬などの
 治療をやめても 症状が悪化することのない状態は「完治」ではなく
 「寛解」と 言うそうです。
 その意味では「完治した人はいない」のですが、後遺症も殆ど残って
 おらず、長期間寛解の状態を保てている人も確かにいらっしゃるようです。
 
 ただ、CIDPの邦訳が「慢性炎症性脱髄性多発神経炎」というとおり、
 この病気は「慢性」病ですので、根治療法がない以上、いつまた
 悪化が始まるかわからない、という不安は患者に常につきまといます。
 回復後何年間再発しなければ大丈夫、というようなものでもありませんし
 再発を予防する方法もありません。
 私個人はドクターの台詞にもあった「一生付き合っていく病気」
 という捉え方をしています。

○CIDPの多様性について

 CIDPの症状の現れ方、有効な治療法(対症療法)は実に様々です。
 ドラマでは紹介がありませんでしたが
 大きく分けると緩慢進行型(治療によっても進行が止まらず、ゆっくりと
 麻痺が進行していく)と寛解・再発型(良くなったり悪くなったりを
 繰り返す)の2種類があると言われています。
 主な治療法はIVIg、ステロイド、血漿交換などですが、人によって
 効いたり効かなかったりします。これら全てが効かない場合は
 「難治性」と言われ、免疫抑制剤を使用して進行を抑える研究が
 進められているところですが、免疫抑制剤はこの病気に対しては
 保険適応が認められていません。
 
 また、「元通りの体にはならないけれども、身体障害者手帳はもらえない」と
 いう程度の後遺症が残ることが多く、患者の多くが福祉の恩恵を
 受けられずにいます。非常に疲れやすい、暑さや悪天候で体調を崩す、
 痛みやしびれを感じる、等はポピュラーな症状ですが
 外見からはわからないため、周囲の理解を得ることも難しいです。
 

・・・とまあ、いろいろうがった見方をしてみましたが、
お医者さんでも専門医でなければよく知らないようなマイナーな病気を
こうして紹介してもらったことで周りに説明はしやすくなったかも。

私自身はネットで調べて最初から専門医にかかったため、速やかに
診断と治療が受けられた、患者会でも珍しいほどのラッキーなケースですが
もし全然畑違いのお医者さんにかかっていたら
治療が遅れて、もっとずっと大変なことになっていたかもしれません。
その意味からも皆さんにこの病気について知ってもらうことは
意味があるだろうと思っています。 


「みゅうの足(あんよ)・・・」を見て(その1)

2008年08月31日 | CIDP
ご覧いただいたでしょうか、「みゅうの足(あんよ)、パパにあげる」。
いや~、テレビってやっぱり影響力があるんですね。
ドラマ放映開始直後から終了1時間後ぐらいまでの間で
この零細ブログのアクセスが1万超えてました。(びっくり)

患者会のホームページもアクセスが多すぎて
カウンターに不具合が出たようです。(笑)

松本潤くんは、演技がうまいですね。何の前触れもなく
手足に力が入らなくなっていく様子や、自分の体がどうなっているのか
わからない恐怖感、これからどうなるのかという不安感、
上手に表してくれていて、私も思わず発病当時のことを
ありありと思い出してしまいました。

子役の女の子も可愛かったです。やっぱ、子どもの存在って
親のポジティブ思考の原動力なんだよな~、と思いました。

単なるお涙ちょうだいでなく、見終わったあとにさわやかな
気持ちが残る、いいドラマにしあがっていたと思います。

ただ、自閉もののドラマを見ているとあっちこっち思わず突っ込んで
しまうのと同様、患者の目から見ると、
おそらく多くの人が素直に感動してご覧になっているだろう場面で
「それはないって~!」と思わず突っ込んでしまうところも
沢山ありました。

○最初のドクターの「ギラン・バレーは治る」発言と
 高酸素療法について

 「ギラン・バレーは治る」というのはわりとよく言われることなのですが
 これは「神経内科の病気は不治の病が多いのに対して、治る確率が
 高い」ということのようです。現にギラン・バレーの患者さんの2割以上に
 軽重の差はあれ、なんらかの後遺症が残っている、という調査もあります。
 救急車で運ばれてきたおばさんがいたように、ギラン・バレーの
 場合は、CIDPに比べて悪化が急速で激しいので、呼吸が停止して
 命に関わったり、重篤な後遺症が残る場合もあります。 

 また、ギラン・バレーは確かに4週間後に症状のピークを迎え
 後は徐々に快方に向かう病気なのですが、通常は悪化するのを待たず、
 ギラン・バレーが疑われた時点でまずIVIg(免疫グロブリン静注)に
 踏み切るのがデフォルトです。
 このドラマは実話が元になっているので、山口さんは実際にそういう
 治療を受けられたのでしょうが、ギラン・バレーでもCIDPでも
 まずはIVIgを試してみるのが一般的で、高酸素療法というのは
 患者会でも他に聞いたことがありません。
 かなり珍しい治療のやり方のようです。

「みゅうの足(あんよ)パパにあげる」

2008年08月30日 | CIDP
以前にも告知しましたが、CIDP患者の手記を原作としたドラマ
「みゅうの足パパにあげる」が

日本テレビ系列24時間テレビの中で
今日30日(土)夜9時30分ごろから放映になります。

CIDPは人によって症状の出方もその程度も様々ですが

・現在の医療では根治療法がない
・したがって治療は対症療法のみになるが、既存の薬では進行が止められない、
 あるいは進行を止めるための治療に保険がきかなかったり
 保険がきいても治療費が莫大となったりするケースが多い
・医療費について助成があるのは東京都と埼玉県だけである
・身体的に常にハンディを抱えた状態になるが、症状が固定しないため
 身体障害とは認められない場合が多い
・若年者の場合介護保険の対象ともならないので、身の回りに
 介護が必要となった場合、家族介護のみに依存せざるを得ない

などの困難を抱えている点で共通しています。

日本全国で患者が約2000人程度の希少難病であるため
医療従事者でもよく知らない人がいるほどです。

この病気について多くの人にしっていただき、
経済的・精神的負担の大きい長期療養の必要な難病として
様々な支援を受けられるようになることを望み
患者会あげてこのドラマを応援しています。

どうぞ皆さんご覧になってくださいね。

近況報告。

2008年07月22日 | CIDP
ご心配をおかけして、申し訳ありません。

CIDP患者にとって一番良くないのが高温多湿な
環境だということで

やたら体がだるかったり痛かったり痺れたりけいれんしたりと
ささいな不具合に苦しめられて
いつもに増してだらだらな生活を送ってはおりますが

とりあえず特別な医療的措置が必要なほどの悪化はなく
平穏に暮らしております。

息子はこれ以上はないほど元気です。
すっかり落ち着いて生活ができるようになっているので
ずっと2人でいても結構閉塞感が少なく
いい相棒になっています。

1学期末の様子などはまたおいおいさかのぼって書いていきたいと
思いますが、とりあえずご報告まで。

PS: 今年の日テレの24時間テレビで(8月30日夜)
   CIDP患者を主人公にしたドラマをやることになりました。
   患者役は松本潤くん、奥さん役は香理奈さんです。
   一般の人にはほとんど知られていないCIDPの実態を
   沢山の人に知ってもらおうと、患者会あげて協力しています。
   皆さん、見てくださいね。

3歩進んで・・・

2008年05月18日 | CIDP
さてさて。6月の頭まで再発がなければ
ステロイドとも縁が切れて、あのダンディで素敵な主治医とも
会えなくなるのかしら~・・・

薬が切れたらそろそろなんか仕事を探さないとな~・・・

などと考えながら
毎日をぼーーーーっと過ごしていた私なのですが
世の中そんなに甘くはなかったようで・・・

ここ数日、布団から起きて立ち上がるときに、
どうも体が重く感じることに
気が付きました。この間まで片膝を立てさえすれば
すっと立ち上がれていたのに、ふすまに手を
かけないと立ち上がれない。

あれっと思って、しゃがみ立ちを試してみると、やっぱり駄目。
慌てて風呂場へ行き、最近使っていなかった普通の風呂椅子に
座ってみると、やっぱり立てない。

がーーーーん。再発?
もし発症したときと同じペースで悪化していくなら、
これから1週間ほどの間で、また日常生活に支障が出るほど
両手両足の力が入らなくなってしまうはず。

それでも、「気のせいかもしれない」という希望的観測(?)で
2日ほど様子を見ていたのですが、
ペットボトルの蓋があけにくい、片手なべがもてなくなる、など
やはり悪化の兆候が見られたので
観念して、16日(金)に主治医の外来へ。

徒手筋力検査と神経伝達速度検査の結果、やはりわずかだけれど
悪化していることが証明されてしまいました。
でも幸いまだ脱力がそれほど進んでいないので、
とりあえずステロイドを現在量の12倍に増やして様子を見ることに。

「とりあえずこれで月曜まで様子見て。(悪化が)止められなかったら
 また方法を考えよう」
主治医はあっさりと言ってくれるのですが、これが効かなかったら
ステロイドパルスになるにしろ、免疫グロブリン静注になるにしろ、
また入院を言い渡されるかも・・・。

祈るような気持ちで薬を飲んで休んでいたのですが、
わずか1日半後の今日の夕方、しゃがみ立ち復活!
風呂椅子もクリア!

とりあえず、これで入院は逃れられそうです。
でも、ステロイドが去年の9月の量まで増えてしまったので
また副作用との闘いは当分続くことになってしまいました。

うつの方も、ステロイドの減量中に突然なったので
副作用の可能性も否定しきれないため、ステロイドが
切れるまで念のため抗うつ薬も続けないと、と言われているし

ああ、いつまで続く、薬づけ・・・。
そう簡単にはいかないから「難病」なんだと言われればそうですが

出口が見えかけていただけに、結構落胆も大きいです。
まあ、3歩進んで2歩下がる、くらいの気持ちで付き合って
いかないとしょうがないですね。

初めてのMRI

2008年01月27日 | CIDP
今日はCIDPを診てもらっている神経内科の診療日。
今は症状が落ち着いているため、8週間に一度の受診でいいのですが
正月休み明けに「うつ」で駆け込み受診をしたため、
主治医とは3週間ぶりの対面です。

あの日、「もう明日まで生きていられる自信がない」と
最後の気力を振り絞って何軒か心療内科に電話したけれども、どこもまだ休診。
途方に暮れかけたとき、ちょうどその日、主治医が外来担当であることを
思い出して、バスに飛び乗り、病院へ駆け込んだのでした。

ここは原則予約が必要ですが、初診や予約外でも、予約の患者さんの
合間に診て貰うことができます。
四肢の脱力が再発した時に、私がここへ駆け込んだ時は
いつも予約外受診でした。そのためか、待合ロビーで俯いていた
私のところへ看護師さんがやってきて、
「○○さん、また力が入らなくなりましたか?」と
尋ねました。その途端にボロボロと涙がこぼれだし、
私は今までの辛さと、もう限界に来ていることを訴えました。

「わかりました。また脱力がきちゃったんだったら先に
採血をさせてもらおうということだったんですけど、
それだったら、すぐ先生に診てもらいましょうね。
もう少しだけ待ってね」
そして程なく診察室に呼ばれた私は、もう一度主治医に
同じ話をして、お薬と最寄の心療内科への紹介状をいただいたのでした。

「表情は随分明るくなったように思うけど、その後どう?」
「はい、あの後、○○先生のところへ行って、抗うつ薬と頓服を
 いただいたんですけど、よく効いてるみたいで、随分楽になりました。
 でも、この前来たときは、あの日もし先生が外来でなかったら
 飛び込んだのは病院じゃなくて電車だったかもしれない、というくらい
 追い詰められていたんですけど、なんであそこまで追い詰められていたのか
 自分でも不思議なくらいです」
「そこが怖いところなんだよね~。自分ではなんともできないからねえ。
 いや、ロビーで待ってる横顔がものすごく落ち込んでるみたいだったから
 また再発しちゃったのかと思ったんだけどねえ。
 まあ、筋力も戻ってきてるし、気持ちも落ち着いてきたんならよかった
 よかった」

実は、初診のときから、心療内科の先生には一度脳のMRIを
撮ってもらうように、と強く勧められていました。
その話を主治医にすると、心療内科から主治医にその件で
直接電話もあったということで、

私のほうでは別にこれといった自覚症状があったわけでは
ないのですが、念のためにMRIも撮ってもらうことになりました。

TVなどで見た事のあるでっかいカプセルのような寝台に横たわり、
頭を固定されて、暗いトンネルのようなところに入って
15分ほどの間、じっとしていなければなりません。
ガンガンガンガンと大きな金属音がしますが、うわさに聞くほど
耐えられないうるささだとは感じませんでした。
もっとも、聴覚過敏のあるうちの息子なら耐えられないでしょうが。

結果は、異常なし。
主治医には、「ぴちぴちした、きれいな脳みそだよ」と
変な褒められ方をしました。
ステロイドも少し減り、異常が出なければ次の受診は
3月上旬、CIDPのほうは順調な経過と言えるようです。

見通しの立たない不安

2007年12月03日 | CIDP
ここのところ、不安と焦りと無気力状態で、日がな一日
ぼーっとしていることが増えています。
TVを見ても面白いと思えないし、本を読む気も音楽を聞く気も
しないし、映画なんか見たくもないし、

でも息子の連絡帳を見るのだけは楽しみだし、
息子のために体操服を毎日洗濯するとか
ごはんを作る、とかのためにだけは動けるのです。
息子がいなかったらとっくに孤独死しているかも・・・。

理由のひとつは、ステロイドの量が順調に減ってきて
そろそろ「いつ再燃してもおかしくない、でも運が良ければ
このまま再燃しないかもしれない」という微妙な線に
なってきたことがあるようです。
このあたりが根治療法がない病気独特の難しさかもしれません。

症状が重くて、日常生活も大変なほど身体が満足に動かないときは
却って開き直って静かに養生していられたのに、

なまじ動けるようになってきて、それなのに手足の痺れや
筋肉のぴくつき、異常な疲れやすさなど、病気の火種は
確実に自分の身体の中でくすぶっている、という感覚があり、
明日あさって、来週の自分さえどうなっているという見通しが立たない、
やりたいこと、やらなければならないと思っていることはいろいろあるのに
身体がついていかない、できそうに思えない、
そんな状況が大きなストレスになっているようです。

いえ、実のところ世界中のどんな人にだって、明日の朝
元気でいるという100%の保証があるわけではないのですから
要は大まかなところで「自分は大丈夫」と思っていられるかどうか
「明日朝起きたら立てなくなっているかもしれない」ということを
意識しているかどうかの違いなのでしょう。

自閉っ子たちは五感や時間・空間の感覚が非自閉のそれとは
かなり違うので、いつも不安や驚きでいっぱいなのだ、だから
具体的に怖いもの、嫌なものは取り除いて、スケジュールなどで
見通しを立てて、わかりやすい安心できる生活をさせて
あげることが第一、と
先日行った教育相談の先生がおっしゃっていたのですが

彼らの置かれた混沌とした不安の世界というのは
こんな感じなのかなあ、と思ったりします。
だったらやはり「気の持ちよう」だとか「努力が足りない」と
叱られても、不安や自信のなさがつのるだけで
なんの解決にも事態の改善にもつながらないのは当然だよなあ、と
身をもって実感しているところです。