雲のむこうはいつも青空

まったりもったり~自閉症息子のいる暮らし@ちびくまママ

期末考査

2009年06月30日 | 楽しい学校生活
楽しい修学旅行が終わり、その楽しい思い出に浸るのもつかの間、
24日からは期末考査が始まりました。

息子の通うF中では、特別支援級在籍の子でも一様に
テストなしと決まっているわけではなくて
その子その子のニーズに応じて、交流級で通常学級在籍の子たちと
全く同様にテストを受ける子から、全くテストには関係なく
普段どおりの個別授業を受けている子もいます。

息子の場合はテストを受ける必要はないのですが、
先生にどうしたいかを訊かれて、
「音楽と保健体育は受けたいです」と答えたそうです。

年齢相応とはとても言えないとはいえ、普段話し言葉だけで
コミュニケーションができるわりに、
息子の言語能力は信じられないほど低く、
特に中学のテスト問題のような文はほとんど理解できず、
設問の指示に従って解答することも殆どできません。

それなのにテストを受けたがるというのは、授業もみんなと
一緒に受けているのだから、テストも受けようと思うのでしょうか。

K先生はそんな息子の意思を尊重してその2科目は
特支学級の教室で受けさせることに決め、
その代わり、1日目と3日目にみんなの大好きな
プールの時間を入れてくれました。

3日目のプールの時間を覗きに行くと、カンカン照りの
暑さのなか、窓を開け放って真剣にテストに取り組んでいる
通常学級を尻目に、プールの中で思い思いに遊ぶ5人の子どもたち。
見事なまでに1人1人の遊び方が違って、笑ってしまいました。

息子は依然として水に顔をつけられないので、ビート板につかまって
バタ足の練習をしたり、ビート板の上に寝そべって
背泳もどきを楽しんだり、ただ水の中でぴょんぴょん
跳ねていたり。でも、顔は最高に楽しそうです。

さて、無事期末テストが終わり、息子にも採点済み答案が
返されてきました。なんと音楽は6点、保健体育は10点。
息子は日記に
「ぼくはなんと10点でした。お金だと10円玉が1枚だけです」
と書いていました(笑)。
音楽のテストには「1学期の音楽の授業の感想と反省を
書きなさい」というものがありましたが、息子は
「ぼくは歌を歌って、とてもごきげんさんでした。」
と書いていました。

先生たちにはさぞ和んで(脱力して?)いただけたことでしょう。

期末考査も終わり、あとは3者懇談と夏休みを待つだけ。
中学生活もどんどん残り少なくなっていきます。


修学旅行(3)

2009年06月10日 | 楽しい学校生活
修学旅行最終日は万座毛観光と国際通りでの自由行動。
多くの子どもたちにとっては、この自由行動が
楽しみだろうと思うのですが、息子に関して言えば
これが一番心配な行程でした。

なんと言っても2時間半、先生たちの監督を離れて
中学生だけの班行動。あたりは混雑する目抜き通り。
班の子達とはぐれたりしないか、何かで混乱して班の子に
迷惑をかけたりしないか、反対に班の子達の行動に
ついていけなくて本人が傷ついたりしないか・・・

息子にとってもこれまですぐ駆けつけられるところで
先生が見守っていてくれる、という環境を離れて
全くクラスメートだけのサポートになるということで
かなり不安であるようでした。

息子が国際通りで買いたいものは、障級の下級生たちへの
お土産と、沖縄限定のトミカ。
それで、K先生が「トミカは先生が探して買っておいてあげるから
1年生、2年生へのお土産だけ、自分で探して買っておいで」と
息子に言ってくれました。とりあえず、どうしても欲しいものだけは
手に入りそうだとわかり、少し安心した様子の息子。

出発前夜、私もおこづかいを手渡しながら、
「国際通りで一番大切なのは、班のお友達と一緒に
 楽しくお店を見て回ることだよ。お土産はもし買えなければ
 それでいいんだからね」
と言い聞かせはしたのですが・・・

でも、先生がちゃんと同じ班の子達に、息子が何を
買えばいいかアドバイスをしてあげて、と耳打ちをしてくれて
いたこともあり、息子は無事に3人分の沖縄限定プリッツと
沖縄限定ハイチュウを買うことができたようです。

女子たちと一緒にブルーシールアイスクリームも食べ、
約束通りトミカを買ったK先生から欲しいのを2台譲ってもらって
とりあえず満足いく時間だったよう。

買い物に気をとられて、お昼ご飯を食べ損なう、ということも
あったものの、そのあたりは想定内だったようで
帰りの飛行機のなかではちゃんと全員に
サンドイッチが用意されていたそうです。

予定より少し早く帰宅した息子は浅黒く日焼けし、
ご機嫌な顔で、大きな声で
「ただいま~!修学旅行、がんばってきたよ~!」
と言いながら帰ってきました。

K先生からも、交流担のH先生からも
「ものすごく頑張っていましたよ。(2年の)スキーのときから
 比べると、すごい成長です」
との言葉をいただきましたが、K先生に細かく根回しをしてもらい、
知らない人には「甘やかし」と思われるほどの配慮を
先生や生徒全員に暖かく見守ってもらい、
クラスメートの子達にも必要なときにはきちんと助けてもらって、
息子本人にとっては「援助を受けながら、自分でも考えて
頑張って行動した」2泊3日は

かけがえのない体験であったことでしょう。
これからの中学校での日々は、何事にも「中学生活最後」の
冠がつく行事が山積み。
それらをしっかり「自律的に」こなしていく
大きな原動力になってほしいと思っています。

修学旅行(2)

2009年06月09日 | 楽しい学校生活
今日は修学旅行2日目。
梅雨真っ最中の沖縄ですが、晴れ男の息子が行ったからか
みんなの日ごろの行いが良かったのか、
初日からきれいに晴れ上がったようで、今日の天気予報も快晴。

昨夜遅く、K先生が連絡を入れてくれました。
息子はものごころついて初めての飛行機にもとまどうことなく
怖がることもなく、お弁当(おにぎりは米1合分)をきれいに平らげ、

暗闇の壕体験も怖がることなく、語り部さんのお話のときにも
耳をふさぐことなく(聴覚過敏の息子にとって、人のたくさん集まる
ところで耳をふさいでしまうことは無理のないことではあるのですが
高齢をおして辛い戦時中の記憶を話してくださる語り部さんにとっては
たとえ事情を説明されたとしてもあまり気分のよい姿ではないだろうと
心配していたのですが)、落ち着いて静かに話を聞いていたとの
ことでした。

多分班の仲間のヘルプやアドバイスもあってのことだとは
思いますが、先生が手助けしなくても、周りをよく見て
きちんと集団行動がとれていたとのことで、
「1年生のときとは全然違いますし、2年のスキーと比べても
 確実にレベルアップしていますね」
との先生の言葉をとても嬉しく思いました。

それでも、ストレス緩和のために、夜は予備に押さえてある部屋で
1人でお風呂に入り、眠ることも許されているあたり
VIP待遇と言っていいかも。

2日目の今日は午前中はさとうきび収穫と黒糖づくり体験、
そして午後からは息子が最も楽しみにしているマリンスポーツ。

呼吸のコントロールが難しいのでシュノーケルはできず、
ビーチフラッグにも乗ってこなかったけれど、
8人乗りのフロートにつかまって、マリンバイクで海上を
引き回してもらうドラゴンボートには大喜びだったそうです。

その後の自由遊泳の時間には、ライフジャケットを着ているという
安心感もあってか、1人かなり沖合いまで泳いでいき、
スタッフの人がマリンバイクで波をかけてくれるのを
大喜びしていたとか。

沖縄のきれいな海を誰よりも満喫したようで、
「遊泳時間の終わりまで一度も岸に帰ってこなかった」(学級通信より)
そうです。

でも、それに力を得たのか、なんと夜には自ら
「クラスのみんなと一緒にお風呂に入ります」と宣言し
(これまでは聴覚過敏のこともあり、一度も学校からの宿泊行事で
 他の生徒と一緒に入浴したことはなかった)
その言葉どおり初の介助なし集団入浴を体験しました。

誰に勧められたわけでなく、本人の気持ちを配慮して
ゆったりと余裕をもって過ごさせてもらうことで
次のステップを上がる意欲が本人の中に育つ、という
理想的な展開になったようです。

「おかあさんの荷造りの仕方が本人にとって
 わかりやすいこともあるんですが
 毎日の荷物の管理も手助けしなくても
 きちんと自分でやっていますよ」
と嬉しい報告。

集団活動を大の苦手とする息子が、しっかり
「自分で考えて」みんなと一緒に過ごせていることは
これからの生活に向けての大きな一歩に
なるのではないかと思います。

明日はいよいよ最終日。
さてさてどんな顔で帰ってくるでしょう。


修学旅行(1)

2009年06月08日 | 楽しい学校生活
新型インフル騒ぎで延期になった修学旅行ですが、
なんとわずか3週間伸びただけで
当初の予定とほぼ同行程、同費用で行けることになりました。

延期か中止、と教委の方針が決まったと同時に
「絶対この子たちを沖縄への修学旅行に行かせてやろう」と
3年生の先生たちと旅行会社の担当さんが結束して
動き始めてくれたおかげです。

学校再開後も、今ここで油断して感染者を出しては、ということで
学校をあげて感染予防に取り組んだこともあり
無事に今日出発の日を迎えました。

息子の荷造りを手伝いながら
「おかあさんもお見送りに行っていい?」と訊くと
「いいよ。でも帰りは1人で帰るから」との返事。

息子について学校へ行くと、なんと見送りにきた保護者は
私を含めて3人だけでした。
小学校の修学旅行ではほとんどのお母さんが来ていたのですが
中3ともなると、子どものほうが親が来るのを嫌がるのでしょうね。

校長先生の挨拶は
「私はこれまで何度も修学旅行に行ったけれど、
 こんなに待ち遠しくて、行けるのが嬉しい修学旅行は
 初めてです」

駆けずり回って宿泊や体験学習の手配をしてくれたという
旅行社の担当さんが「みんなを沖縄へ行かせてくれる功労者」として
生徒たちの前で紹介されていました。

中学の修学旅行は、立候補した生徒による実行委員会を中心に
すべてが班行動、係と当番によって自主運営する方式をとっています。

息子にとっては1年生の転地学習、2年生のスキー実習に次いで
3回目、そして中学生活最後の宿泊学習。
そこで、今回は前回より少し自立レベルを上げ、お膳立てだけは
しっかりしておいて、現地では先生の直接の援助は最小限度にし、
できるだけ自分と班やクラスの仲間の援助だけで動いてもらい、
学校での集団生活にも自信を持ってもらいましょう、というのが
K先生からの提案でした。

人から気持ちよく支援してもらえる経験、
人に必要な支援を求める力、
指示に従うだけでなく、周囲を見ながら、次に自分が
何をすればいいかを考え、自律的に動く力。
全て私が息子の中学生活に望んだものです。

トラブルを起こさないということを第一に考えれば
先生がべったり貼りついて仕切ってしまうのが
一番てっとり早いはず。
それを、「準備だけは万端にしておいて、あえて一歩引いたところから
見守る」という手数がかかって自分の手柄にはならない支援法を
自分から考えてくれる先生の姿勢がとても嬉しく思えました。

でも、私自身にできるのは、毎日の行程に合わせて細かく変わる
服装と持ち物に息子が自力で対処できるよう
荷物をグループ分けしてビニール袋に詰め、ラベリングするまで。
あとはK先生と息子のクラスメートたち、それに息子自身にお任せです。

なんだか緊張しつつも嬉しそうな顔でバスに乗り込み
手を振りながら出発していく息子たちを

手製の横断幕を持って校門前に並んだ他学年の先生たちと一緒に
どきどきしながら見送ったのでした。