Jour et la nuit, Le (1997)
1996年に製作されたアラン・ドロン主演作で、例によって日本では未公開の幻の作品でしたが、
今年の1月にDVDがアメリカで再発売されてようやく観ることができました。
この作品は1997年のカンヌ映画祭に出品されて初上映されたものの、
そのあまりの出来の悪さに批評家から激しく非難を浴びたというレビューを読みました。
また興業的にも大失敗したとの事でドロンも失望をかなり感じたことでしょう。
ですので、いったいどれほどお粗末な作品なのかと
半分怖いもの見たさのような心境で画面に向かいましたが、観終わった感想としては、
全体として切り捨てられてもやむを得ない作品なのは確かなのですが、
予想以上にドロンが熱演していることもあり、ある程度楽しめるフィルムでした。
本作の監督は本業が哲学者で監督するのはこれが2作目となるベルナール・アンリ・レヴィ。
共演女優には監督の実生活での婦人であるアリエル・ドンバール。
そして若き日のドロンがその仕草を完璧にコピーしていたとされる
(『ロミー・シュナイダー、恋ひとすじに』より)
ハンフリー・ボガードの未亡人であるローレン・バコールが
主人公の影に寄り添うミステリアスな役柄でドロンと初共演しています。
このバコールとドロンとの関係にいまひとつ深みがなく、
せっかくの二人の共演が無駄になってしまったのが残念なところです。
オープニング・タイトルはメキシコの海岸風景をバックに
コール・ポーターの名曲『ナイト・アンド・デイ』が流れる快調なもので、
この後のドラマの展開に大いに期待させられます。
ところがアラン・ドロン扮する引退した映画作家の家に舞台が移ってからはとたんに映画のテンポがゆるくなり、
同時並行で描かれるメキシコの現地の人々の武装反乱の描写もまるでB級アクション映画のようです。
ところどころに出てくる露骨なラブシーンも映画のペースを乱しており、
監督の狙いどころが一体どこにあるのか、正に迷走しています。
そんななかで我らがアラン・ドロンは、人生に絶望しながらも一人の女性と出会い、
新たな船出を決意する主人公をいつものように思い入れたっぷりに演じています。
監督は恐らくドロンのことをよく研究していたのでしょう。
主人公が昔からボクシングの練習を行っていることや、
酒びたりになって妻とその愛人に当り散らしたりする場面を見ていると
ドロンの過去の作品(『真夜中のミラージュ』『若者のすべて』など)
を思い起こさせる効果が十分にあります。
またジャンピエール・カルフォーン演ずるドロンの元秘書だった男の存在も、
『プレステージ』『シネマ』『個人生活』などに出てきた
ドロンを常に冷静にサポートするブレーンたちの忠実な再現でもあります。
またここからはネタバレになってしまいますが、
妻を捨てて新しく運命的に出遭ってしまった女性と共に生きていく決意をしながらも
最後は悲劇に見舞われる主人公というのは正に『高校教師』のダニエレのようです。
(無精ひげを生やしたその姿も)
ドロンの衣装はいつものようにゼニヤを着用しています。
また音楽はモーリス・ジャールが壮大なオーケストレーションを聴かせてくれますが
ややエモーショナルすぎて画面とは不釣合いな場面がいくつかありました。
『エアポート’80』のときもそうでしたが、
映画自体の出来がどんなにトホホなものであっても
製作する側がドロンの魅力をよく考えて作っていることが観客に伝わってくればファンはそれに満足しますし、
それこそがスターというものの実力なのではないかと再認識させられた作品でした。
1996年に製作されたアラン・ドロン主演作で、例によって日本では未公開の幻の作品でしたが、
今年の1月にDVDがアメリカで再発売されてようやく観ることができました。
この作品は1997年のカンヌ映画祭に出品されて初上映されたものの、
そのあまりの出来の悪さに批評家から激しく非難を浴びたというレビューを読みました。
また興業的にも大失敗したとの事でドロンも失望をかなり感じたことでしょう。
ですので、いったいどれほどお粗末な作品なのかと
半分怖いもの見たさのような心境で画面に向かいましたが、観終わった感想としては、
全体として切り捨てられてもやむを得ない作品なのは確かなのですが、
予想以上にドロンが熱演していることもあり、ある程度楽しめるフィルムでした。
本作の監督は本業が哲学者で監督するのはこれが2作目となるベルナール・アンリ・レヴィ。
共演女優には監督の実生活での婦人であるアリエル・ドンバール。
そして若き日のドロンがその仕草を完璧にコピーしていたとされる
(『ロミー・シュナイダー、恋ひとすじに』より)
ハンフリー・ボガードの未亡人であるローレン・バコールが
主人公の影に寄り添うミステリアスな役柄でドロンと初共演しています。
このバコールとドロンとの関係にいまひとつ深みがなく、
せっかくの二人の共演が無駄になってしまったのが残念なところです。
オープニング・タイトルはメキシコの海岸風景をバックに
コール・ポーターの名曲『ナイト・アンド・デイ』が流れる快調なもので、
この後のドラマの展開に大いに期待させられます。
ところがアラン・ドロン扮する引退した映画作家の家に舞台が移ってからはとたんに映画のテンポがゆるくなり、
同時並行で描かれるメキシコの現地の人々の武装反乱の描写もまるでB級アクション映画のようです。
ところどころに出てくる露骨なラブシーンも映画のペースを乱しており、
監督の狙いどころが一体どこにあるのか、正に迷走しています。
そんななかで我らがアラン・ドロンは、人生に絶望しながらも一人の女性と出会い、
新たな船出を決意する主人公をいつものように思い入れたっぷりに演じています。
監督は恐らくドロンのことをよく研究していたのでしょう。
主人公が昔からボクシングの練習を行っていることや、
酒びたりになって妻とその愛人に当り散らしたりする場面を見ていると
ドロンの過去の作品(『真夜中のミラージュ』『若者のすべて』など)
を思い起こさせる効果が十分にあります。
またジャンピエール・カルフォーン演ずるドロンの元秘書だった男の存在も、
『プレステージ』『シネマ』『個人生活』などに出てきた
ドロンを常に冷静にサポートするブレーンたちの忠実な再現でもあります。
またここからはネタバレになってしまいますが、
妻を捨てて新しく運命的に出遭ってしまった女性と共に生きていく決意をしながらも
最後は悲劇に見舞われる主人公というのは正に『高校教師』のダニエレのようです。
(無精ひげを生やしたその姿も)
ドロンの衣装はいつものようにゼニヤを着用しています。
また音楽はモーリス・ジャールが壮大なオーケストレーションを聴かせてくれますが
ややエモーショナルすぎて画面とは不釣合いな場面がいくつかありました。
『エアポート’80』のときもそうでしたが、
映画自体の出来がどんなにトホホなものであっても
製作する側がドロンの魅力をよく考えて作っていることが観客に伝わってくればファンはそれに満足しますし、
それこそがスターというものの実力なのではないかと再認識させられた作品でした。
映画になっていない、という感じで
微妙にはずしているんですよね。
題材やキャストを見れば面白いものになったはずなのに
惜しい作品でした。
TB有難うございます。
この作品 ゆったりとした流れの作品でしたが
ラスト10分の急展開にはちょっと驚きました。
”何かあるな””そろそろかな”って
思いながら鑑賞してたのですが
正直油断してるところに… やられました
この作品 ドロン何やらお疲れの表情に感じました