LE REGARD D'ALAIN DELON

アラン・ドロンさんの魅力を探ります。

THE BRIDGES OF MADISON COUNTY

2007-01-24 | THE INFORMATIONS
アラン・ドロンの最新の舞台の原作である『マディソン郡の橋』は、
今更言うまでもなく、1995年にクリント・イーストウッドの手によって既に映画化されており、
その見事な演出と主演者二人の胸に迫る名演技が堪能できる名作です。
公開から既にもう10年以上を経過していますが、
時代を超越したストーリーの良さもあって、未だに古さを全く感じさせません。

物語は、アメリカのアイオワ州の片田舎で主婦として家族を支えている平凡な中年女性が、
世界でも珍しい屋根つきの橋を撮影しに村にやって来た
プロの孤高のカメラマンとの4日間の情事、いわゆる「不倫」を描いたものですが、
その根底には男女間の恋愛感情にも勝る家族愛というものがきっちりと描かれている為、
結局「人の道」を踏みはずす事のできなかった主人公たちの苦悩とモラルが
世界中の人々から共感を持って迎え入れられることとなりました。

映画ではさらに、舞台となった場所のロケ撮影の映像美が傑出しており、
また木々のざわめきや虫や鳥の鳴き声、自動車のドアを閉める音やエンジン音、
家の中のキッチンで響く冷蔵庫の扉や食器のすれあう音などの音響効果が、
イーストウッド自身の作曲によるメロディアスで静かに鳴り響く音楽と相まって、
作品に現実感をもたらす役割を大いに果たしています。

また主人公たちの遺品として登場する手紙の封筒や、日記帳、写真集、
思い出のアクセサリーなどの小道具のセンスの良さ、
手書きの文字の美しさなども大変印象に残ります。

さて、原作本も映画も世界的に大ヒットし、今度は舞台でも上演となったとき、
そこに現れたのが我らがアラン・ドロン、というのが
あまりにも出来すぎで嬉しくなってしまいます。

離婚を経験し、以降は自由奔放な生活を送る孤独な主人公というのは、
まるで自分自身のようであるとドロンが感じたのは全く理解できますし、
家族を捨ててまでもその男性との新しい人生に踏み出そうか出すまいか、
2者択一の選択を迫られ苦悩するヒロインにミレイユをキャスティングしたのも頷けます。

当然ドロンにとってはイーストウッドへの挑戦といった意識は毛頭なく、
あくまでも自分自身の人生に対する自らの総決算というべき心境で
この舞台に臨んでいるのではないかと、私は感じています。
そういう意味では少しばかりの不安と寂しさを感じざるを得ないわけですが、
ドロンの人生を賭けた一世一代の名演技を確認する為にも、
ぜひこの舞台を一日も早く観に行きたいと思います。

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2 Comments

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映画化 (舞輪)
2007-01-24 12:14:48
「マディソン郡の橋」はどちらかというと、ストーリーといい舞台といい、かつてのフランス映画の雰囲気にぴったりのもののような気がします。フランスの田舎にはロケ地にふさわしい場所がたくさんあるのではないでしょうか。実演舞台もさることながら、同じキャストでの映画化が強く望まれます。映画俳優としてのドロンの最後を飾るにふさわしい作品になると思うのですが・・・・
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舞輪様 (チェイサー)
2007-01-25 01:29:03
コメントありがとうございます。
仰るように、この作品をフランスの田舎を舞台に置き換えて二人の主演で映画化すればとても話題になるでしょう。
ドロンは今年の秋に香港の映画監督ジョニー・トウの作品にも出演するようですし、最後を飾るのはまだまだ先のことにしてもらいたいです。
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