陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

懐かしい歌「高原の宿」:林伊佐緒

2008-10-05 14:22:15 | 読書・映画・音楽
 週末は、旧友 MK博士と白川ダム湖畔に佇む<木湖里(きこり)>コテージで遊んだ。朝夕は肌寒いが、湖畔の紅葉は未だである。彼を駅に迎えに行き、周辺ドライブをしながら、昼食は行人沢そば<吾合庵>で盛り蕎麦を楽しんで、のんびりと白川ダムへ到着。

 <ホテル・フォレスト>の管理人からコテージの鍵を借り、夕食用に調理済みの芋煮や酒、つまみなどを小屋へ運び込む。5人は泊まれる小屋だから、ゆったりした造りだ。1階は居間+食堂、台所、バス・トイレで、2階は寝室。シングル・ベッドが二つあり、これは階段で仕切られた形になっている。

 ガス・レンジを始め、鍋やフライパンなどの料理用器具、電気炊飯器も整えてあるが、電子レンジとトースターは残念ながら無い。今回は、持ち込みの弁当などで食事は完全に手抜きした(笑)。爺さんの二人旅、それが自然と言うものだろう。

 ダム湖は水が随分と減り、残念ながら5月頃のように水をたっぷりとたたえつつ周囲の山々を悠然とと映す風情ではない。だが、周辺に人影は全く無く、散歩しているのは私達だけ、そして自然の豊かさを心行くまで堪能出来る。飯豊町が経営する温泉旅館<白川荘>へも足を伸ばす。この周辺は、湖水の広がりが豊かである。MK博士は夕暮れの湖畔で得意の水彩スケッチを楽しみ、私は一人で時を忘れて散歩。

 我が家も、緑濃く木々に囲まれ、直ぐ傍を松川が流れていて、大都会に住む人達から見れば、良い環境と言われそうだが、こうして人里を離れた場所に来ると、まさに別天地の思いがする。増してや、都会に住む友人には、空気がきれいで人の姿を見ないだけでも、何となく心が安らぐことであろう。

 散歩していると昔の歌「湖畔の宿」(歌唱:高峰三枝子)を思い出すのだが、それよりも林伊佐緒が歌った<高原の宿>(1955)を口ずさみたくなる。若い頃、友人達とこの歌を下手くそな合唱で楽しんだ。

高原の宿(林 伊佐緒)



 歌詞は、一人旅で高原の宿へ来て、温泉に入り、ゆっくりと2階の部屋の窓から暮れなずむ景色を眺めている姿を彷彿とさせる。言葉がとても綺麗だ。言い知れぬ寂寥感と共に、瞼に浮かんでくるのは恋人の面影。老若男女を問わず、そんなひと時が人生には何回か訪れることだろう。

 林伊佐緒は、戦前・戦後にまたがって活躍した歌手であるが、同時に作曲の才能に恵まれた。「高原の宿」、「ダンスパーティの夜」「真室川音頭」などが戦後の作品で、いずれも多くの人に親しまれた。今で言うシンガー・ソング・ライターの奔(はし)りであった。

 この歌手は美声で声量が大きく、マイクを十分に離して姿勢良く歌う特徴がある。そう言えば、昔の歌手はどの人も朗々とした声で、発音が明瞭だ。取り分け、林伊佐緒は自信にあふれた感じで、如何にもプロ歌手らしさに溢れている。

 付け加えるが、林伊佐緒が作曲した戦時歌に「出征兵士を送る歌」がある。今は、右翼街宣車がボリュームを上げて街中を走り回りながら流していて、少々おどろおどろしい想いがするけれども、林が歌うと何とも印象的な戦時歌謡で、実に味わいが深い。

出征兵士を送る歌 林伊佐緒 ボニージャックス
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