陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

グルックの<精霊の踊り>を聴く:歌劇《オルフェオとエゥリディーチェ》より

2010-05-26 01:27:48 | 読書・映画・音楽
 気の滅入るようなことの多い昨今だが、ちょいと現世を離れて黄泉(よみ)の国の楽園へ行き、そこで奏(かな)でられる音楽でも聴いてみよう。

 これは、ドイツの作曲家グルック(Christoph Willibald (von) Gluck, 1714 - 1787)による歌劇《オルフェオとエゥリディーチェ》(全3幕;1762初演)の中で第2幕第2場に用いられる器楽曲。後に、F.クライスラーがヴァイオリン曲に編曲した作品も有名。

 オルフェオは、神々に愛される吟遊詩人、アポローン神に竪琴を習った名手でもある。ある時、森で毒蛇に咬まれて愛妻を失う。忘れられぬ亡き妻エゥリディーチェに会いたいばかりに、オルフェオは黄泉の国へ下る。苦労をして辿り着いたエリゼの楽園で、彼はエゥリディーチェを見つけた。この樂曲は、彼女と精霊たちが優雅に歌い踊る様を表している。




 これは、Bachner Trpt さんの提供する動画。作者は、「琴座」(Lyre)を意識したのだろうか。私は、星座のことが良く分からないので、画像が「琴座」かどうかは不明。

http://www.youtube.com/watch?v=xTZgMQ7TVes&feature=related


 この歌劇では、次のように展開する。オルフェオは、黄泉の国を出るまで妻の顔を見てはならぬと言う女神との約束を守り続ける。オルフェオに連れ出されたエゥリディーチェは、自分の顔を夫が見ようとしないので、心変わりしたと疑念を持ち、繋いでいた手を離す。オルフェオは驚いて、振り返って妻の顔を見ると、瞬時にエゥリディーチェは倒れて死んでしまう。

 痛恨のオルフェオが悲しむ姿を見て、女神は哀れに思い、エゥリディーチェを蘇生させるのであった。この歌劇では、ハッピーエンドの結末である。

 でも、私は思う。エゥリディーチェが楽しそうにエリゼで踊っているのを見たなら、オルフェイオはそれで満足して、黙って現世に戻るのが良かったのではと。現世に連れ戻せば、いくら仲が良くても二人の間には喧嘩することもあるだろうに(笑)。

 そう言えば、若い黒人夫婦(ブラジル人)の悲恋をマルセル・カミユ監督が描いた<黒いオルフェ>(1959)と言う名画があった。

 題材を取ったギリシャ神話では、オルフェオは消え去ったエウリディーチェをすっぱりと諦め、女性との付き合いを一切絶ち、「アルゴー探検隊」に参加する内容になっている。オルフェオの死後、愛用の琴が川を流れて来たので、不憫に思った大神ゼウスがこれを取上げて、天上の「琴座」にしたと言う。
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