陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

マッチ・ポンプの鳩山<無責任>首相

2010-05-24 17:02:33 | 国内政治:内閣
 今日は、一日中小雨が降って肌寒い。外気気温18℃。部屋の暖房を入れて過ごす。雨に濡れた新緑が実に清々しく、何とも美しく見える。

 鳩山首相が自分から言い出し、それを何度も繰り返した普天間飛行場の移転に関する期限、5月末が近づいたが、彼はとうとう移転先は現行案の辺野古・キャンプ・シュワブ沿岸に戻した。最低でも県外、そして国外が望ましいと煽りにあおって、沖縄県民に期待を抱かせておきながらこの始末である。職を賭してでも、地元民、米軍関係者、そして与党内の合意を取り付けると言った鳩山構想は完全に破綻した。

 少女暴行事件以来、自民党政権が13年も掛けて、ようやく落ち着いた解がキャンプ・シュワブ沿岸部への移転であった。ところが、総選挙前に沖縄へ乗り込んだ鳩山代表は、普天間飛行場の移転先をゼロベースで考え直し、県外に移転すると約束したのである。沖縄のサヨク指向の人々、それを応援する県外の者達が鳩山公約に飛びついた。そして半年間の迷走の末が、現行案に戻っての決着であった。

 火を着けておいて大騒ぎし、具合が悪くなれば消防ポンプ車で火消し役に回る人間を「マッチ・ポンプ」と呼んで、世間は大いに軽蔑する。今回の普天間問題で、鳩山首相はその卑劣な振る舞いをしたのである。

 沖縄県民は勿論、相当数の国民が抱いた期待を裏切ったのだから、政治的責任と道義的責任を取って、鳩山首相は即座に内閣総辞職するのが当然と思う。だが、この人物、首相辞任をする考えは全くなさそうだ。

 どんな組織でも、指導者は責任を取ることを前提として、その立場が与えられている。大きな誤判断があったり、物質的、精神的に多大の損失を組織に与えた時、指導者は潔く身を引くのが通例だ。どうやら鳩山首相には、そうした感覚が完全に欠落していて、誠意が全く無いことを多くの人々は再認識させられた。

 産経新聞記事が的確な指摘をしている。


自分で作った“辺野古反対”の世論 踊る首相に嘲笑
2010.5.23 20:39

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設問題で、今月4日に続いて沖縄を再訪問した鳩山由紀夫首相。仲井真(なかいま)弘多(ひろかず)知事らとの会談で、公式に同県名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部への移設を求めたが、「最低でも県外」の公約をほごにした首相に、県民の間では「自分が作り上げた世論に踊らされていただけ。予想通りの結果」と嘲笑(ちようしよう)の声が広がった。

 23日朝、那覇市の県議会棟正面に県会議員30人余りが座り込み、県内移設反対を訴えた。
 ある県政関係者は「われわれの本音は現行案支持だった。ほとんどの県民も納得していた」と話した上で、「鳩山首相の無責任発言で反米、反基地闘争グループが大義名分を得て活気づいた。4月25日の県民大会も、そうした活動家や反米イデオロギー闘争を展開しているグループがほとんど。メディアはそれを県民の総意だと伝えた。メディアの扇動に世論は現行案反対へと導かれ、われわれもそれに追随するほかなかった」と座り込み抗議への経緯を語った。

 現行案反対の世論は、意識的に形成されてきた可能性が高いという。それを象徴するのがキャンプ・シュワブに隣接する辺野古住民の声がほとんど伝えられてこなかったことだ。

 辺野古住民で組織する辺野古区行政委員会は21日、環境影響評価(アセスメント)の枠内で移設場所を決定した場合、条件付きで容認することを全会一致で決議した。決議は地元紙などでも報じられたが、住民の一人は「住民の9割以上は受け入れることを容認していた。そうした思いがほとんど報道されなかっただけ。民主党政権も反対派の声ばかり聞き、移設後、実際に米軍と付き合っていくわれわれの声を聞こうともしなかった」という。

 一方、ある財界関係者も「鳩山政権は最初から全く知恵も戦略もなかった」とした後、こう続けた。

 「首相は負担軽減というが、意味が分かっているのか疑わしい。一番の負担は基地が自治体の中心部などにあり、都市開発ができないこと。負担軽減というなら政府が今、やるべきことは普天間をすみやかに辺野古に移し、普天間飛行場の跡地開発をどうするかなど前向きに検討すべきだ」

 ある革新系県議は「これだけ混乱を招いたのだから、一国の首相としての責任と誠意を見せるべきだ。自らがまいた種なのだから」と言い切った。(宮本雅史)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100523/plc1005232040016-n1.htm


 5月21日、クリントン国務長官来日。鳩山首相と会談したのは僅か20分。滞在3時間15分でクリントン女史は北京へ飛び去った。何を話しても、コロコロと内容が変わるし、言ってもいないことを吹聴されると彼女は恐れて、長官機にジェット燃料を補給するだけのため日本へ立ち寄ったのかも知れぬ(笑)。

 クリントン女史は、200人近い経済随員を連れて、北京へ5日間滞在、「上海万博」も見学予定に入っているとのこと。今頃は、胡錦濤国家主席と共に楽しく北京料理でも囲んでいるのだろうか。何ともあからさまな日本蔑視の姿勢だ。それも、鳩山内閣が招いた結果であることは言を待たない。

  沖縄県の新聞論調として、どうにも怒りが収まらない沖縄タイムズ(サヨク系)の記事を読んでみる。


 [辺野古回帰]怒 怒 怒 怒 怒・・・

2010年5月24日 09時44分(11時間56分前に更新)

 米軍普天間飛行場の問題で、鳩山由紀夫首相は移設先を名護市辺野古に決めたと表明した。「辺野古回帰」という最悪の結末だ。地元理解を得るよう努力するというが、沖縄の心をもてあそんだ為政者を信頼できるだろうか。

 わずか7時間の訪問は日米合意前のアリバイづくりにも見える。鳩山首相が県庁で仲井真弘多知事と面談中、県議会議員らは議会棟前で座り込みした。市民団体の抗議が響き、「怒」と書かれたプラカードが沿道を埋めた。

 こうした地元の訴えに耳を傾けない鳩山内閣のやり方は前政権よりもたちが悪い。
 日米両政府が大筋合意した結果だけを地元に放り投げるのが民主党のやり方ならば、いっそのこと政権公約に掲げた「地域主権」を重要政策から降ろすべきだ。それとも沖縄は別枠、とでも言うのか。

 選挙で「最低でも県外」と公約したことを、党代表の発言にすぎないと言い訳し、普天間の新たな移設先を「ゼロベースで探す」と言いながら、県外の可能性を本気で検討した形跡はない。

 そもそも現行案の微修正が実現可能な解決策だと本気で考えているのだろうか。

 日米両政府は28日にも合意文書を発表する予定らしいが、米国は「政治的に持続可能」な決着を求めている。海外に多くの基地を持つ米国は地域住民が反対する軍事施設が政治的に脆弱(ぜいじゃく)であることを熟知しているはずだ。

 「なぜ沖縄に」の問いに答えることもなく、「やはり辺野古で」と言い出す鳩山首相にはあきれるばかりだ。

 普天間問題をめぐる国内論議は、本質論よりも政局ばかりが注目され、異様な雰囲気に包まれている。

 鳩山首相は「昨今の朝鮮半島情勢から分かるように東アジアの安保環境に不確実性がある」とし、海兵隊を含む在日米軍の抑止力を強調した。

 それをもって沖縄の過重負担を正当化するには無理がある。米軍は戦時に数十万の兵力を空輸で投入できるため、日本のどこに海兵隊を置いても運用に支障はない。

 しかも在沖海兵隊はアフガン、イラン派兵などで不在が多い。2005年から昨年まで年間延べ3千~4千人を派兵している。残る部隊もアジアを遠征しており、タイで共同訓練があった今年2月から4月まで普天間飛行場はがら空きだった。鳩山首相が「学べば学ぶほど」と語った抑止力はいったい何だったのか。

 海兵隊を知るほどに県外・国外移転の可能性が見えてくるはずだ。

 国土面積のわずか0・6%の沖縄なら海兵隊配備が可能で、本土では無理、というのはあまりに理不尽だ。どこも反対だから―という国内事情を抑止論で覆い隠す手口にはもううんざりだ。

 政権交代はこの国にとって歴史的転機であるはずだ。外交・安保も新たなアプローチがあるだろうと期待を寄せていた。それが裏切られ「怒」が高まる沖縄で米軍基地はこれまで以上に脆弱化することを政府は認識すべきだ。

 日米同盟は沖縄をめぐり一層混迷するだろう。
http://www.okinawatimes.co.jp/article/20100524_6712/
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 夢で聴いた<WAになってお... | トップ | グルックの<精霊の踊り>を... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

国内政治:内閣」カテゴリの最新記事