陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

ヒル次官補への疑問

2007-02-19 17:56:58 | 米国関係
 六ヶ国協議で主導的に動いたクリストファー・ヒル米国国務次官補に対し、米国内でも疑問が起きている。

――――――――――(引用始め)

「6か国」合意批判にヒル氏反論…94年とは違う

 【ワシントン=五十嵐文】北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議で、米首席代表を務めるヒル国務次官補は15日、同協議で採択された共同文書が、崩壊した94年の米朝枠組み合意と酷似しているとの批判について、「今回は多国間合意であり、中国が保証人の役割を果たしていることが大きな違いだ」と反論した。米CNNテレビのインタビューに答えた。

 次官補は、北朝鮮が第1段階として取る核施設の「活動停止・封印」への見返りとなる重油5万トン相当の支援は約1150万ドル、第2段階の「無能力化」に対する重油95万トン相当の支援は2億3000万ドルに相当するとした上で、いずれも「5か国間で負担する」と述べた。ただ、具体的な負担割合は明示せず、合意文書が「100万トンの重油に相当する規模を限度とする経済、エネルギー及び人道支援」とされていることから、「人道・経済支援(の形態)もあり得る」と述べた。

 一方、エリオット・エイブラムス大統領副補佐官(民主化戦略担当)が、合意文書で米国が北朝鮮を「テロ支援国家」のリストから外す手続きに入ることを約束したことに反発し、不満を表明する電子メールを同僚らに送っていたことが発覚した。これに関し、スノー大統領報道官は15日、「ブッシュ大統領は、北朝鮮が態度を変えない限り指定解除はないと明言しており、エイブラムス氏も納得した」と述べ、実態の伴わない政治的理由だけで指定解除されることはないとの立場を強調した。

(2007年216日12時47分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20070216it05.htm

―――――――――――――(引用終り)

 中共が保証人になるなど、殆ど当てにならない。そのような説明をしている時に、裏話が聞こえてきた。

――――――――――――-(引用始め)

「ウラン型放棄」を削除 6カ国協議の合意文書
2007年02月19日 2:10 【共同通信】

 北朝鮮の核問題をめぐる先の6カ国協議の合意文書案に当初「高濃縮ウランによる核開発の放棄」が明記されていたが、ウラン濃縮型の開発を否定する北朝鮮が反発、米国も了承の上で削除されていたことが18日、分かった。協議筋が明らかにした。

 同筋によると、協議4日目の11日に、北朝鮮が寧辺の核施設の活動停止などを行えば重油30万トンを提供し、すべての核放棄が終了すればさらに70万トンを提供するとの案で米国、韓国、ロシアなどが合意。しかし北朝鮮は核放棄前に重油100万トンを提供するよう要求して、受け入れを拒否した。

 そこで米国が中心となり第2次案を作成したが、放棄対象として「高濃縮ウランによる核開発」が明記されていたことなどから、北朝鮮が「平和利用も含めウラン濃縮は一切行っていない」と主張し再び拒否したという。

 これを受けて米国は各国と再調整に入り、ライス国務長官が12日夜、宋旻淳・韓国外交通商相と電話会談。「高濃縮ウラン」に関する文言を削除した上で、北朝鮮が寧辺などプルトニウム関連の既存の核施設を無能力化することに応じれば、重油計100万トン相当の経済、エネルギー、人道支援を行う-とすることで合意。中国、ロシア、日本の同意を得た上で北朝鮮に提示し、13日の共同文書採択に至ったという。

http://www.47news.jp/CN/200702/CN2007021801000349.html

――――――――――(引用終り)

 パキスタンのカーン博士の指導などにより、北朝鮮がウラン濃縮を行っていたことは明らかである。濃縮ウラン型爆弾の場合、技術が未熟でも核爆発を行わせる事は容易である。2005年9月の合意でも、ヒル次官補はエネルギー支援の方向へ協議内容を誘導した。彼は、相当に認識が甘いのではないか。何か、功を焦っているように感じられる。

 六ヶ国協議の主目的は、北朝鮮から包括的に核兵器並びにその材料を取り上げることにあったはずだ。まるで北朝鮮へエネルギー支援や人道支援をするのが主目的のようになっている。

 日本代表の佐々江局長は、その当りをきちんと国民へ説明する責任があるだろう。

【追記】

次の報道に気がついた。

―――――――――――-(引用始め)

北のウラン型核開発、年内本格化か=「重大な脅威」、徹底追及を-元米高官
2月19日15時0分配信 時事通信

 【ワシントン18日時事】北朝鮮情勢に詳しい元米政府高官は18日までに、北朝鮮が極秘に推進してきたウラン濃縮による核兵器開発計画が年内にも本格化する可能性があるとの見通しを明らかにした。

 6カ国協議で先に採択された共同文書は、寧辺の原子炉などの停止を通じたプルトニウム型核開発の阻止に重点を置いているが、ウラン利用型の核計画には具体的に言及しておらず、問題は事実上先送りされている。元高官はウラン濃縮による核開発計画が本格化し、核爆弾の原料となる高濃縮ウランが生産されれば「米国や日本にとって重大な脅威となる」と警告、同計画に関して北朝鮮を徹底追及していくべきだと強調した。 

最終更新:2月19日15時0分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070219-00000057-jij-int

―――――――――――(引用終り)

 それが事実だとすれば、ライスーヒル組はとんでもないミスをしたことになる。プルトニウムと異なり、濃縮ウラン爆弾は技術レベルが低くても臨界条件を達成する、すなわち核爆発させる事が出来るから、我が国にとっても極めて危険である。ブッシュ大統領はどう判断するのであろう。

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2 コメント

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トラックバック記事にもありますが (ろろ)
2007-02-20 01:41:07
  もうイランとの戦争をやる気満々なのでしょう。早く片づけろと、ネオコンやチェイニーから焚き付けられていた可能性があります。
  日本としてはたまったものではありません。私はイラク戦争に必ずしも反対ではなかったのですが、立場を変更しました。
  イラクでさえ、在地武装勢力にあれだけ苦しめられているのに、イランと地上戦をやるつもりなのでしょうか。もう、アメリカの地政学を無視した暴挙に付き合うのは勘弁して欲しいです。
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米国は東北アジアから離れたい (茶絽主)
2007-02-20 12:04:04
ろろ様
 ブッシュ大統領は、外交力と軍事力を中東へ集中しつつありますが、その分六ヶ国協議が疎かになっている。協議宣言にあるリミットの60日以内に、その内容は有名無実化するように予想します。宣言は、穴だらけなのですね。ブッシュ政権は、当面東北アジアから距離を置きたいのでは?

 御指摘の通り、米国の直接イラン攻撃は難しい(仮にミサイルと空爆に限定したとしても)と思います。ホルムズ海峡への現空母2隻体制に加えて、もう一隻増派するようですが、恐らく威嚇の為でしょう。それに一隻は、ソマリアの方へ動かさざるを得ない。

 ただ、イスラエルのイラン空爆(戦術核兵器使用)はあるかも知れない。イスラエルは、ジブラルタルへの往復爆撃演習をやって、満を持していますから。そうなれば、米国は対イラン戦争を発動すると思うし、シリア、イラクを巻き込むでしょう。

 日本は、絶対にこうした中東大戦争に巻き込まれてはなりません。只今、イラクへ派遣されている空自も早急に引き上げるべきです。

 チェイニー副大統領は、イスラエル問題への理解を求める事とイラク戦費調達に日本へ来るのかも知れませんね。
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