陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

富山市への旅

2006-09-24 12:16:15 | 旅行
 会議があって、2-3日間だが富山市へ出掛けた。この町の空港は、市の中心部近くにあり便利である(直通バス20分)。神通川の河川敷に造られた珍しい空港。時折、川の増水で機能停止になる事もあるらしい。そこへB777-200(412人乗り)のような大型機が離着陸している。

 久しぶりに会う人達も多いので、会議を終えた後は毎晩市内へ繰り出して酒席を囲む。熱燗は<立山>、冷酒は<満寿泉>(桝田酒造)。ホタルイカの沖漬けと白エビ刺身。バイ貝もゲンゲの空揚げも美味。ズワイガニやブリは少し時期的に早いので遠慮した。それでも、カニ雑炊は何とも美味かった。

 富山には20年ぶりに来た。随分街容が変わってしまい、大きなビルが増えていた。なお、建築中の大きなビルも幾つかあるけれども、あまり活気が無い。中心部の道路は大きく、街路樹も美しい。昨年4月の合併後の人口は約42万人、富山県人口は111万人だから40%が富山市民、また県面積の3分の1を占めると聞いた。

 富山県は自然に恵まれている。富山湾には暖流と寒流が流れ込み、それに神通川、黒部川、庄川や小矢部川などが滋養をたっぷり注ぎ込むのでプランクトンが多く、多種類の魚が生息する。四季を通じて漁業関係者は忙しい。富山平野で採れる八町米は美味しく、それゆえ酒が良い。そして東南には立山連峰が偉容を誇る。その周辺には、観光地としても興味深い所が控えている。

 関西や九州から来た知人達何人かは、会議の後、夫婦で立山・黒部アルペンルートを通って松本へ出ると言う。私は、黒四ダム方面へ行った事が無いので、羨ましくなった。現在は、私鉄、バス、ケーブルカーを組み合わせて、年輩者でも不安無くゆっくりと立山を横断出来るらしい。次に富山へ来る時は、逆方向から松本-大町経由で立山・黒部アルペンルートを楽しみ、弥陀ヶ原辺りで一泊、富山市から砺波へ出て金沢経由小松から空路東京へ戻るようなコースも悪く無いと思う。

 新幹線の開通は未だ6-7年かかるのかも知れないが、駅の北側はそれを見込んで着実に整備され、海岸方面へ向かって近代化が進みつつある。新しい交通機関<ライトレール>(市街電車)がJRの換りに走り、岩瀬浜まで通っている。2両編制のモダーンな車輛だ。

 富山市の街並に落ち着きを与えているのは市内電車(富山地方電鉄)の存在。路線は限られているが、市内の要所へ200円でどこまでも行ける。やはり、路面電車のある町はしっとりとした感じを受ける。かつて私が乗ったのは、鹿児島、熊本、長崎、松山、高知、広島、岡山、福井、函館、札幌などの路面電車。東京は早稲田線、京都は鞍馬山方面(京福電車)にしかない。鎌倉の江ノ島電鉄もその一つであろうが、市街電車が残っているのは、どうやら暖かい地方に多いようだ。

 ヨーロッパ大陸の古い町には路面電車(トラム)が健在だ。アムステルダム、デン・ハーグ、ウィーン、プラハなど。時には、大きな飼い犬を連れた乗客に出会う。スイスでは、ジュネーブの路面電車の塗色は橙色、ベルンはモスグリーン、チューリヒはブルーと色分けされていて、町のカラーがはっきりしている。市内バスも同じ色に塗られていて実に便利。だが、最近は広告だらけで風情が失われつつある。

 閑話休題、昭和40年(1965)頃に、富山イタイイタイ病が話題になった。神通川上流にある三井金属鉱業神岡事業所の廃液が長期に亘って流れ込み、下流の婦中町(現在は富山市に併合;空港の近辺)の農民(特に女性)がカドミウム汚染で苦しんだ。水俣病と共に、日本の代表的な公害として知られる。現在は、殆ど話題にもならないが、鉱毒災害は悲惨であり、土壌汚染を伴うので対策に何十年も要する。後世の為にも忘れてはならぬ事件だ。

 話は違うが、中共の各地で化学品による河川の汚染が頻発している。半世紀前の日本の再現だ。我が国の人権論者は、君が代や日の丸で人権を疎外されたと声高に言う前に、足尾銅山や神岡鉱毒事件を中共へもっと真剣に伝え、警報を発する義務があるだろう。大江健三郎も、加藤紘一もこうした問題に沈黙しているのが不思議である。

 市内総曲輪(そうがわ)の富山全日空ホテルに泊まったが、ここはお薦め。交通の便利が良く、従業員が親切で、設備が優れている。昨年11月にリニューアルした富山城を見下ろすように建っていて、立山連峰の眺望も中々だ。会員登録をしておくと何かと都合が良い。朝食のお粥定食を大いに堪能した。

 土産は、鱒寿司各種と氷見うどん(乾麺)。日本三大うどんの一つ(?)。量がかさ張り、重かったが皆悦んでくれた。ところで、富山の人々は概して優しく親切な感じがする。歴史的な全国への薬販売と何か関係があるのだろうか。
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