陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

福田首相は、拉致問題を有耶無耶にする気かー北朝鮮「経済制裁解除」への疑念

2008-06-14 07:21:41 | 朝鮮半島
 福田康夫首相の特亜重視姿勢は、益々エスカレートして来た。今度は、北朝鮮の口車に乗って、経済制裁を解除すると言う。恐らく、米国から強い圧力もあったと想像するが、ここで北朝鮮へ譲歩しては拉致被害者の帰国は完全に遠のく。

北朝鮮、「拉致」再調査を約束=よど号犯引き渡しに協力-日本は制裁緩和へ
6月14日1時4分配信 時事通信

 北朝鮮が11、12の両日、北京で行われた日朝公式協議で、日本人拉致問題解決に向けて再調査を約束するとともに、日航機「よど号」乗っ取り事件の実行犯引き渡しに協力すると伝えていたことが13日、分かった。日本側代表を務めた斎木昭隆外務省アジア大洋州局長が同日午後、福田康夫首相に報告した。これを受け、日本政府は対北朝鮮制裁措置を一部解除する。

 制裁緩和により、日本政府は「対話」路線にかじを切り始めた。背景には、北朝鮮の核問題に関する6カ国協議が進展し、米国によるテロ支援国家指定解除の可能性が高まっていることがあるとみられ、日本は路線変更を迫られた形だ。

 首相は同日夜、記者団に「北朝鮮に話し合う姿勢が見えた。交渉プロセスの入り口に立った」と指摘。その上で「政府の方針は変わっていない。あくまでも拉致被害者全員の帰国を目指している」と語った。

 一方、町村信孝官房長官は同日午後の記者会見で、再調査について「生存者を発見し、帰国させるための調査」と説明。北朝鮮の対応を「『拉致問題は解決済み』との従来の立場を変更したもので、一定の前進と評価する」と述べた。ただ「エネルギー協力に参加する環境が整ったと言えるほどの進展ではない」とも指摘した 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080614-00000006-jij-pol


 何も北朝鮮の実行が伴っていない段階で、何故日本が行動しなければならないのか。まるで、待っていましたとばかりの拙速さだ。六者協議も米国が譲歩するだけで核施設の実効的停止や情報公開は実現していないではないか。

 拉致問題担当の中山恭子補佐官も危惧の念を示している。

中山補佐官「もう少し議論を」 制裁一部解除に違和感
2008.6.14 00:54

 中山恭子首相補佐官は13日夜、日朝実務者協議を受けた対北朝鮮制裁一部解除の判断について「もう少し国内でいろいろ議論した後で十分だっただろう」と述べ、拉致問題担当の補佐官として政府方針に異例の“違和感”を表明した。

 拉致問題をめぐり対北朝鮮強硬派とされる中山氏は「北朝鮮が調査するかどうかをしっかり見極めた上で(解除を)実施することを明確にする必要がある」と強調した。

 北朝鮮が再調査を約束したことを進展と受け止めるかについては「口頭での発言であり、それだけで進展や前進があったということではない」と指摘した。官邸で記者団に述べた。
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080614/stt0806140054001-n1.htm


 朝日新聞は、社説で「扉を本当に開かせよ」と述べ、<万景峰92>号の再入港を含む経済制裁緩和処置を歓迎する意見を述べた。読売新聞社説は、「再調査の中身が肝心だ」とする一方、この拙速な政府の行動に対しては沈黙している。毎日新聞は、「拉致再調査 北朝鮮任せには出来ない」との社説で、制裁解除には再調査の進展を睨みながら慎重な姿勢をとの意見だ。

 産経新聞は、経済制裁解除に疑問を示し、次のように述べている。

【主張】日朝協議 この内容で制裁解除か 再調査は期限設け成果迫れ
2008.6.14 03:30

 日朝実務者協議で、北朝鮮側が拉致問題の再調査と「よど号」犯引き渡しへの協力を提案したことが明らかになった。日本政府はこれを「一定の前進」と評価し、北朝鮮への制裁を一部解除する方針を示した。この程度の提案で制裁を一部解除するのは、あまりにも時期尚早である。

 町村信孝官房長官は、北の提案を「一定の前進」と評価した理由について、「北朝鮮が『拉致問題は解決済み』との従来の立場を変更した」と説明した。しかし、これは、北が拉致問題の協議のテーブルにつくことを約束したにすぎず、やっと普通の交渉が始まること以上の意味はない。

 ■何度も煮え湯のまされた
 4年前の平成16年5月、当時の小泉純一郎首相が2度目の訪朝をしたときも、金正日総書記は「白紙からの再調査」を約束した。その後、北は再調査の結果として、拉致被害者の横田めぐみさんのものとする“遺骨”を出してきたが、日本側の鑑定で偽物と判明した。北は6年前にも、拉致被害者の松木薫さんのものとする“遺骨”を示したが、偽物だった。

 日本はこれまで、北の調査に何度も煮え湯をのまされてきた。今度の「再調査」の提案も、結果を見てからでないと、とても信用できない。福田康夫首相も「再調査の中身が問題だ」と言っており、政府は期限を切って回答を求めるべきである。

 「よど号」犯は、38年前の1970(昭和45)年に日航機の「よど号」をハイジャックした犯人グループである。「よど号」犯の中で、魚本(旧姓・安部)公博容疑者は、有本恵子さん拉致に関与した疑いでも国際手配されている。また、「よど号」犯の妻、森順子容疑者と若林(旧姓・黒田)佐喜子容疑者は、石岡亨さんと松木薫さんを拉致した結婚目的誘拐容疑で手配されている。

 これらの容疑者を日本に引き渡すのは当然であり、評価するほどのことではない。北は「よど号」犯とその妻たちを速やかに日本に引き渡すのが筋だ。「よど号」犯が引き渡されても、被害者の有本さんらが帰国しなければ、拉致問題が進展したとはいえない。

 拉致事件では、このほか、原敕晁(ただあき)さんを拉致した辛光洙(シングアンス)容疑者ら8人が手配されている。日本は引き続き、これらの北の工作員の引き渡しも要求していくべきだ。

 ■米は指定解除を急ぐな
 今回、北が「拉致問題は解決済み」との態度を変えた背景には、米国によるテロ支援国家の指定解除を急がせたいとの狙いがあったとみられる。日朝協議に先立ち、反テロ宣言を発表したのも、同じ狙いであろう。

 米国のバーンズ国務次官は日朝協議の前日、「北朝鮮に、拉致問題に対応することの重要性を何度も強調してきた」と述べた。米国も、北に前向きな対応を促してきたことがうかがえる。それに日本が影響された面も否定できない。今回の日朝協議が米国向けのポーズだったとしても、日本国民は納得できないのではないか。

 米国には、この程度の北の提案で、軽々に指定解除を急がないことを改めて望みたい。

 日本政府は対北制裁緩和について、北との人の往来や北からの航空チャーター便乗り入れの制裁解除などを挙げている。入港が禁止されてきた北朝鮮籍の船舶については、民間の人道支援物資を日本から北に運搬したいとの希望があれば、「人道的措置の例外」として入港を認める方針だ。

 入港規制緩和の対象となる船舶には、「万景峰号」も含まれるとみられる。「人道」の名目で、核やミサイルなどの製造に使われる部品が運ばれる可能性もあり、警戒が必要である。

 先月、日朝国交正常化を推進しようという超党派の議連が発足した。会長に自民党の山崎拓元副総裁が就任し、顧問に自民党の加藤紘一元幹事長、民主党の菅直人代表代行、社民党の福島瑞穂党首らが名を連ねている。議員外交による事態打開を目指しているようだが、北を利することのないよう、慎重な行動を求めたい。

 拉致問題を担当する中山恭子首相補佐官は「先に国交正常化すれば、何のテコも残らず、拉致被害者は永遠に出てこられなくなる」といっている。北の曖昧(あいまい)な「再調査」の約束などで、国交正常化に前のめりになることは、厳に避けなければならない。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080614/plc0806140330000-n1.htm

 私は、産経社説の主張に賛成である。提言を受けたら尊重しますと返答し(この場合は、経済制裁解除もあり得るとだけ述べておけば良い)、北朝鮮が実行をして、それが日本国民の納得する内容であれば、経済制裁解除に踏み切れば良いだけのことだ。何故、こうも唯々諾々と北朝鮮の言い方を信用するのだろう。

 半年後の退陣を控え、小ブッシュ政権は外交で実績を挙げようと焦っている。対北朝鮮融和は、手軽なターゲットの一つだ。だから日本へも拉致問題で邪魔をするなと圧力をかけ続けた。ライスーヒル組の「何でもあり融和策」は、米国内でも疑問視されている。そんないい加減な米国の外交政策に乗る必要は無い。

 福田<尾君子>政権は、過去数年間の経済制裁効果を十分に検証することも無く、国民の拉致問題意識を分裂させようとしている。「毒餃子」問題への対応、長野・過剰警備問題を見ても分かるように、この政権は国民のための外交を極力避けて来た。私達は、福田政権に対し、もっと怒りの声を高める必要がある。

 拉致被害者家族が、福田内閣の変節に怒りを感じるのは当然である。福田首相が官房長官時代に、彼から冷酷な仕打ちを受けた家族会、今回の政府方針変更を切歯扼腕の思いで聞いているに違いない。

家族会、制裁解除に猛反発 拉致「進展とは程遠い」
6月13日21時48分配信 産経新聞

 北朝鮮による日本人拉致問題で、北朝鮮側が安否不明被害者の再調査に応じる姿勢を示したことに対し、政府は13日、経済制裁の一部を解除する方針を表明した。「一定の前進」を強調する政府に、被害者家族らは「進展とは程遠い」「納得する家族はいない」と猛反発。結果が出る前に、北朝鮮側に大幅譲歩したことに怒りは収まらない。「外交」というパワーゲームに飲み込まれてしまいそうな家族らの思い。政府への不信感が一気に膨らんだ。

 「家族が求めてきたのは、被害者の帰国。あくまで全面解決だ」。家族会代表で、田口八重子さん=拉致当時(22)=の兄、飯塚繁雄さん(70)はそう言い切る。日朝の交渉は膠着(こうちゃく)状態が続いていた。今回の協議の行方には期待を膨らませてきただけに、落胆は大きい。北朝鮮側がよど号乗っ取り犯の引き渡しへの協力を前面に出してきたことにも警戒感を強める。「政府には拉致問題との取引をしないよう要請する。家族はだれも納得しない」

 家族会事務局長で、増元るみ子さん=同(24)=の弟、照明さん(52)も、協議結果に言葉を失った。「再調査というのは前々から政府が言っているが、危険なことばだ。帰すか帰さないかを決断するだけの話だ。経済制裁の解除は拙速すぎる。進展には程遠い。一体何があったのか。日本政府が方針を変えたとしか思えない…」と怒りを隠せない。

 大阪市内でテレビ番組の収録中に協議結果を知った横田めぐみさん=同(13)の父、滋さん(75)は「政府は再調査だけでは進展とは言わないとしてきたはずなのに」と戸惑った。

 「北朝鮮の言葉が信じられるのか」。家族からはこうした言葉が漏れる。

 金正日総書記が拉致を認めた平成14年9月の日朝首脳会談で北朝鮮側は「5人生存、8人死亡」と発表。それぞれの“死因”などについて説明したが、不自然極まりないものだったことから、家族の意向を尊重した政府は再調査を依頼した。その結果、北朝鮮側が示したものは、横田めぐみさんの「偽遺骨」に代表されるつじつまの合わないストーリーばかりだった。今回また調査に応じるとしただけで、「進展」と受け止める家族がいるはずもない。

 有本恵子さん=同(23)=の父、明弘さん(79)は「再調査なんて必要ない。早く娘たちを返してほしい」と険しい表情で語った。

最終更新:6月13日21時49分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080613-00000986-san-soci
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