陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

愛唱歌<ローレライ>を聴く

2010-08-01 03:39:01 | 読書・映画・音楽
 ゆったりとドイツ西部を流れるラインの大河、ビンゲンとコブレンツの間の渓谷右岸に<ローレライ>(ローレ=妖精;ライ=岩)がある。マインツを基点とするライン河下りの名所で、この岩山の傍で川幅が細くなると共に、右へ大きく曲がる。この辺は、ラインワインの産地としても知られる。私は、両岸を走る鉄道を3回利用したが、残念ながら観光船による河下りの経験が無い。

 <ローレライ>は「世界遺産」だそうで、あんな岩山がと奇妙な感じがしないでも無いのだが、その近辺に橋をかけることになった。


世界遺産のローレライ近くに架橋へ ユネスコ承認、不便解消
2010.7.31 14:22

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会は30日までに、ドイツ西部の観光名所「ローレライの岩」で知られるライン渓谷中流の近辺に架橋することを承認した。強行すると世界遺産の登録が取り消されるのではないかとの懸念もあったが、付近に橋がなく「不便」を訴えていた住民の要望に応えた。

 これまで住民は両岸を船で移動していたが、橋が建設されれば、地元産ワインの運搬などが便利になり物流が活発化しそうだ。

 ラインラント・プファルツ州政府は2011年初めまでに架橋の基本計画を策定し、地元に提示。16年に着工し、18年の完成を目指す。ローレライのすぐそばには建設せず、景観を台無しにしないように十分配慮する。

 ローレライの岩付近は、座礁事故が多発する難所。妖精が舟人を惑わし、水の中に引き込むという伝説があり、ハイネの詩にも取り上げられた。(共同)
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/100731/erp1007311424007-n1.htm


 風光明媚な地域だけに、無粋な架橋などしないで、トンネルを作ればと思うのだが、川が深いし、岩盤だらけの場所なのでコストが高くつくのだろう。

 ハイネの詩による<ローレライ>の歌を久し振りに聴きたくなった。





 これは、egrosz 氏提供の動画。

http://www.youtube.com/watch?v=_c7ji5nHt6c&feature=related


Die Lorelei (1838)

Lyrics by Heinrich Heine (1824)
Composed by Friedrich Philipp Silcher 


Ich weiß nicht, was soll es bedeuten,
Daß ich so traurig bin;
Ein Märchen aus uralten Zeiten,
Das kommt mir nicht aus dem Sinn.
Die Luft ist kühl und es dunkelt,
Und ruhig fließt der Rhein;
Der Gipfel des Berges funkelt
Im Abend sonnen schein.


Die schönste Jungfrau sitzet
Dort oben wunderbar,
Ihr goldnes Geschmeide blitzet,
Sie kämmt ihr goldenes Haar.
Sie kämmt es mit goldenem Kamme,
Und singt ein Lied dabei;
Das hat eine wundersame,
Gewaltige Melodei.

Den Schiffer im kleinen Schiffe,
Ergreift es mit wildem Weh;
Er schaut nicht die Felsenriffe,
Er schaut nur hinauf in die Höh'.
Ich glaube, die Wellen verschlingen
Am Ende Schiffer und Kahn;
Und das hat mit ihrem Singen
Die Lorelei getan

Und das hat mit ihrem Singen
Die Lorelei getan




 わが国では、以下の近藤朔風氏の訳詞(明治42年:1909)が有名で、良く歌われている。


なじかは知らねど
心わびて
昔の伝説(つたえ)は
そぞろ身に沁(し)む
寥(さび)しく暮れゆく
ラインの流(ながれ)
入日に山々
あかく栄(は)ゆる

美(うる)わし少女(おとめ)の
巌頭(いわお)に立ちて
黄金(こがね)の櫛とり
髪の乱れを
梳(と)きつつ口吟(くちずさ)む
歌の声の
神怪(くすし)き魔力(ちから)に
魂(たま)も迷う

漕ぎゆく舟人
歌に憧れ
岩根も見為(みや)らず
仰げばやがて
浪間に沈むる
人も舟も
神怪(くすし)き魔が歌
唄うローレライ
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