陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

鳩山民主党政権に対し、米国が持つ危惧感は大きい

2009-09-03 12:59:37 | 国内政治:議会と政党
 16兆円以上を歳出予算から捻出して、子供手当てに振り向けると民主党は主張、それが本当に実現可能なのかどうか、私は興味深く眺めている。だが、その時に小泉政権以来毎年1%減で運営して来た国防予算には、手を付けないで欲しいものだ。

 それをやるなら、既に公表された防衛大綱案に関する議論を十分に行って、これまでの外交政策との整合性を図ることが必要。これは、ダム建設を止めるとか、各種補助金を削減する問題とは全く異質の内容である。

 民主党が、党是・党綱領を持たない選挙互助団体であることを、米国は熟知している。それに加えて、鳩山代表が信念も無いまま、言葉に酔う個性の持ち主であることも危惧しているだろう。彼の唱える<友愛外交>とは何か、オバマ政権は懐疑的な眼を向けているに違いない。

 米国は、自国が進めつつある世界戦略(安全保障+経済)の観点から、我が国の民主党政権に対して、次の点を気に掛けている。

(1)アフガニスタン問題で、日本が海上給油支援を継続するか
(2)沖縄・普天間基地を維持させるのか
(3)ドル防衛から距離を置き、東アジア共同体構想の実現に踏み切るのか

 これらは、これまでの日米安保体制に大きく関係する内容であり、特にアフガン問題はオバマ大統領が最も力を注いでいる国際案件だ。それには、NATOも関与しているので、日本が海上給油作戦を止めるとなれば、欧米との関係は完全に冷え込むだろう。更に、ソマリア沖から海自派遣艦隊を撤退させたりすれば、安保理決議を無視する批判に繋がる。

 こうした状況を踏まえ、米国主要紙は鳩山政権誕生に際して、極めて懐疑的な眼を向けている。産経Webによると、

米主要紙、鳩山氏の対米姿勢に相次ぎ懸念
2009.9.2 01:53

 【ワシントン=山本秀也】米国の2大主要紙であるワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズは1日、日本の総選挙を圧勝に導いた民主党の鳩山由紀夫代表に関する社説を一斉に掲載し、同氏の対米姿勢に強い懸念を表明した。

 ワシントン・ポスト紙は、強固な日米関係を支持した自民党に対し、民主党を率いる鳩山氏が「経験のない政治家」だと指摘。同氏が「アジア中心の外交政策」を掲げ、これまで「米国流の市場原理主義」や「グローバル化の欠陥」を繰り返し攻撃してきた人物であることを挙げた。

 さらに、鳩山氏が次期首相に選出された場合、沖縄駐留の米海兵隊移転問題などで、オバマ政権との交渉を試みることに「疑いの余地はない」として、普天間飛行場の沖縄県内移設などをめぐる再協議への警戒感を暗に示した。

 その上で、日本が米国との決裂を求めたり、オバマ政権がその溝の広がりを許すことがあれば、「北朝鮮の核の脅威は日本の周辺をきわめて危険なものとする」と警告した。

 ワシントン・ポスト紙は、ほぼ半世紀にわたる自民党支配の硬直ぶりを同党の敗因に挙げ、民主主義の下で政権交代に道が開かれたことは歓迎する。ただ、民主党の福祉政策では財源が不明確だと指摘するなど、自民党で対処できなかった日本の課題を寄り合い所帯の民主党が変えられるのか、との疑問を呈した。

 一方、ニューヨーク・タイムズ紙の社説は、民主党の圧勝が「経済苦境と政治の行き詰まりに終止符を打ち、派閥間の取引とは違う真の指導力を発揮するよう望む」と評価。その上で、「鳩山氏の政策提案のいくつかは妥当だが、懸念を持たざるを得ないものもある」として、より明確な説明を求めている。

 その筆頭が、海上自衛隊によるインド洋での給油活動の見直しに触れた鳩山氏の発言だ。同紙は、「オバマ大統領が新たなアフガニスタン政策を進めるなかで、日本はリスクを帯びないこの活動を少なくとも来春までは継続すべきだ」と言明した。

 同紙は、靖国神社への参拝を見送るとした鳩山氏の対応を歓迎するなど、リベラルな政治姿勢には共感を示す。しかし、有権者の選択肢を常に担保するため、自民党がこの大敗後にも命脈を保つことを「期待する」と述べるなど、民主党の政権担当能力を冷徹に見極める構えをみせた。

 2紙に先立ち、米紙ウォールストリート・ジャーナルの社説(8月31日付)は、鳩山氏の持論である「友愛」を取り上げ、オバマ米大統領流に「野心的なチェンジ(変革)」を掲げた同氏の勝利が、「実際の政策で失望を招く可能性もある」と述べていた。
http://sankei.jp.msn.com/world/america/090902/amr0909020154000-n1.htm


 衆議院で圧倒的な議決権を確保した民主党、更に参議院での議決を確保するため、社民党と政策協定を結ぶようだが、安全保障と外交について、福島瑞穂氏に振り回されることであろう。

 鳩山代表は、大衆に迎合するため、数年前新橋に居酒屋を作ったが、直ぐに飽きて閉店した。国政運営は、そう簡単に止めたりは出来ないし、鳩山氏を影で牛耳る小沢一郎氏の意向も汲まなければならない。<前門の虎、後門の狼>を鳩山氏がどの様に捌くか、とっくりと見せていただこう。
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2 コメント

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鳩山政策の問題点 (三毛島)
2009-09-17 06:38:37
新聞社が実施した全国の知事へのアンケート調査では、民主党政策の子ども手当ての創設を評価した知事は、わずか4知事だけ。
橋下知事は7人の子供がいるので、毎月18.2万円、年間218万円の子ども手当てがもらえる。
これから3人の子供を生むとすると、総額1千4百万円の他人が納めた税金がもらえる。在日ももらえるのがみそ。
一方、岡田克也は私学助成は(日教組と関係ないから)廃止すると言っている。
増税せずにできないが、毎年10兆円の税金の無駄遣いか。
しかし、他人の納めた税金であろうと、子ども手当てとしてもらいたい人が多く、社会主義政党は圧勝した。
注)2.6万円x12ヶ月x15年x3人=1.4千万円

政権交代という目的を達成するために、いかに他人の税金をばら撒いて集票するかというのが、出発点であるから理念が無い。
少子化対策という明確な理念があり、効果も証明すれば反対者は減るだろうが、少子化対策にはならない。
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子供手当ては所得制限すべき (茶絽主)
2009-09-18 22:36:26
三毛島様

詳しいコメントを有難うございます。
参考になりました。
子供手当ては、フランスでは成果が上がり、ドイツでは上手く行っていません。結局は、母親が産後に元の職場にハンディ無く復帰出来るかどうかが鍵のようです。
無料保育所の充実も大切でしょう。

問題だらけの政策を強行しようとしている鳩山<宇宙人>内閣、私達は厳しく監視を続けたいですな。
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