陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

各紙社説に見る天皇陛下の特例会見:民主党の強引な手法への批判(追記あり)

2009-12-14 21:56:56 | 皇室関係
 今日来日した習近平国家副主席(江沢民一派)は、ウィグル民族の非人道的弾圧者として、その名は国際的に熟知されている。現在、シナ・中共要人ランクで第6位である。日本の政治ランキングで言うと、内閣の平大臣クラスなのであろうか。巷間、胡錦濤国家主席の後を継いで、次期国家主席(ランク1位)になるのではとの噂が高い。でも、中共内の権力闘争では、2年後に何が起こるか分からない。

 そのような人物であるにも拘らず、「謁見1ヶ月ルール」を侵してまで、鳩山首相は今上陛下への拝謁を許すよう強引に宮内庁へ捻じ込んだ。宮内庁は、相当な抵抗をしたが押し切られて、明日拝謁が行われる予定だ。この推移を見て、多くの国民は鳩山政権の「掟(おきて)破り」に言い知れぬ不快感と不安感を抱いたに違いない。

 中共政府が謁見を望んだのは、同国内における習近平の政治的立場を有利にする政略に基く。我が国の皇室を篭絡することは、彼等の世界戦略上極めて重要なのである。だから、小沢幹事長の「民主党国会議員142人訪中」行事を円滑に進めるための取引材料になったのだろう。

 小沢一郎の権力誇示から生まれたこの異形謁見、それに唯々諾々と従う鳩山首相、ただ唖然としながらも物言わぬ多くの国民の数々。小沢は、火の粉がかからぬ内に、抵抗した宮内庁長官の首を取ろうとさえ画策している。

 私は、今上陛下がお気の毒でならない。前立腺がんの手術をされた後も、ご体調は余り思わしくないと仄聞(そくぶん)する。それでも、陛下は国際交流円滑化のために、毎年厳選された100カ国以上の外国人要人を拝謁され、国民のために力を尽くされておられるのだ。そうしたお心も顧みず、小沢は自らの利権のために皇室を振り回すとは・・・。

 今上陛下は、1992年(平成4年)シナ・中共をご訪問、これは自民党・媚中派の加藤紘一らが画策し、宮沢政権が音頭を取り実現した。両陛下訪中で、天安門事件以来の国際的批判は鎮静化した。シナ・中共は、皇室の利用方法に長けている。


 鳩山連立政権が発足以来、大新聞の大半はその存在を応援し続けている。しかし、この拝謁問題に関しては流石に打ち揃って批判的な社説を開陳している。どの社説も同工異曲、タイトルを見れば大凡の内容は分かるが、今上陛下のお悩みに触れた部分は少ない。毎日新聞のみ、「天皇」と呼び捨てにしているのは、笑止である。

○産経新聞
【主張】天皇と中国副主席 禍根残す強引な会見設定
2009.12.12 02:57
http://sankei.jp.msn.com/culture/imperial/091212/imp0912120257001-n1.htm

○読売新聞
天皇特例会見 憂慮される安易な「政治利用」(12月13日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20091212-OYT1T01226.htm

○朝日新聞
天皇会見問題―悪しき先例にするな
http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1

○毎日新聞
説:天皇の特例会見 誤解招かぬ慎重さを
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20091213k0000m070096000c.html

 日経と東京新聞は社説で取上げていない。

(追記:12月15日)

 日経新聞と東京新聞が、ようやく社説でこの問題を取上げた。日経社説の趣旨は、他紙社説同様、皇室の政治利用に危惧を表明、だが平然と「天皇」と記述し、敬語を完全に忘れている。

 東京新聞は、以下のような踏み込んだ表現で締め括った。

『政権発足から三カ月足らず。外交に不慣れなことは理解するにしても、象徴天皇制など憲法の根幹にかかわる部分で「未熟な政治」は断じて許されるものではない』

○日経新聞
社説2 日中関係も損ねる特例会見(12/15)
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20091214AS1K1400414122009.html

○東京新聞
天皇特例会見 親善も傷つけた不手際
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2009121502000063.html


 全国紙と首都圏紙がこれだけ打ち揃って現政権の批判をするのは珍しい現象である。小沢/鳩山政権の危険性を、多くの国民は改めて認識したのではないか。
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2 コメント

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ブーメランが (村長)
2009-12-16 10:22:45
 相変わらずのブーメラン政党ですね。小沢組長の投げたブーメランが鳩に命中!!
 「30日ルールは誰が決めたの?」と、記者たちを恫喝したまでは良かったが、これを決めたのは「自・社・さ」政権。鳩山兄や前原が知らないはずはありません。
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とても不快感を感じる (ぶたさん)
2009-12-17 12:49:23
今まで民主党のやり方を見てきたが、今回の皇室への圧力のかけ方は耐え難いものを感じました。
一ヶ月ルールを破るに値する正当性があるとは到底思えない。しかも、今回の会見、日本国を中国相手に安売りしてないか?日本国としての誇りを貶めてしまう行為になる事には気づいていないのだろうか?
むかつく~!!
この民主党という政権は、自分達政党が決めたことでないものは国家間の取り決めだろうが、皇室だろうが容赦なく「関係ない」って言い放つ。果たしてこの政党はどの国の政権が取りたかったのか。過去も日本だし今も日本だ!きっちり根性据えて政権運営に当たって欲しい。
「結婚がゴールではない」という言葉があるが、それを民主党にも教えてあげたい。前回の民主党のスローガンが「政権交代」、これはゴールじゃあないぞ!
それが無理だとわかったらやめちゃえ。
あああ・・・本当に、やめて欲しい。でもそんな思慮深さなんて求めても無理だろう。だって政治家だもん・・・。
・・・乱文失礼しました。
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