どうするのか北朝鮮：ＢＤＡ問題

　４月１０日に米国はマカオ行政府に通告して、マネーロンダリングなどの不透明部分を含む２５００万ドルを自由に処理して良いとした。口座名義の問題があるが、マカオ政府もこの一件には目をつぶって北朝鮮がＢＤＡ資金引き出し出来るようにする体制を整えた。

　ところが北朝鮮は現金引き出しは厭だ、他の国の銀行へ資金を移したいとゴネている。核施設停止＋査察受け入れ期限の４月１４日は疾うに過ぎた。韓国情報筋によると、


米「お金引き出せば」、北「送金できてこそ」…対立続く

米ホワイトハウスのビクター・チャ国家安保会議（NSC）アジア部長が24日、凍結が解除されたマカオの銀行「バンコ・デルタ・アジア（BDA）」の北朝鮮資金に関連、北朝鮮関係者と協議するためニューヨークを急きょ訪問した。

ワシントンの消息筋によると、チャ部長は、ニューヨークにある北朝鮮国連代表部の金明吉（キム・ミョンギル）公使に会い、BDAの資金2500万ドルをいつでも回収できるよう措置を取ったことを再び通報し、今年2月13日に北京で行なわれた6カ国協議（今年2月13日）の合意内容を履行するよう求めた模様だ。チャ部長は来週中にホワイトハウスを離れ、ジョージタウン大学に帰任することから、同氏のニューヨーク訪問は事実上同氏の最後の公式任務になるものと見られる。

◇「北、現金回収望まない」＝チャ部長は問題の2500万ドルが最初から没収されたのではなく、回収による障害がすべて解消したとの点を北朝鮮側に通報したものとされたが、北朝鮮側は現金回収ではなく、同資金の送金を強調した模様だ。金公使はこの日、連合ニュースの電話取材に対し「送金できなければならない。最初から（米国との）合意はそうなっている。資金を受け取るというのは送金を前提にした話」と述べた。

これに関連、ある外交消息筋は「北朝鮮は現金回収は望まず、同資金を運用する銀行口座が必要だが、問題は誰のどの口座に送るかとのこと」と説明した。すなわち、北朝鮮の「送金要求」は、米財務省が制裁措置を取る以前にBDAの口座を自由に利用できた状況のように、北朝鮮に対するすべての金融制裁を解除するように、という意味だとのこと。とりわけ、ある消息筋は「北朝鮮は今月初旬にチャ部長が訪朝した当時、米国の商業銀行の口座を利用できるようにしてほしい、と要請したが断られたと聞いている」と伝えた。

◇BDA早期解決の兆しはなく＝各消息筋は、チャ部長のニューヨーク訪問にもかかわらず、BDA問題が早期に解決する兆しはない、としている。前日に中国外務省が言及した内容や、23～24日にワシントンを訪れた千英宇（チョン・ヨンウ）韓半島平和交渉本部長の動きなどから考えて、早期解決の兆しはない、とのこと。

中国外務省の劉建超スポークスマンは「BDA問題は、北朝鮮が具体的にどうやってこの資金を持っていくかという問題であり、どのように正常に送金するかの問題」とし「北朝鮮資金の問題はまだ技術的問題が完全かつ徹底的に解決されていない」と述べた。千本部長も24日、米国の韓国大使館で「BDA問題の技術的苦情を打開するため関連諸国が協議中」といった具合の答弁だけした。こうしたコメントは、打開策に取り上げられてきた第三国の銀行を利用した送金方法などが依然として未決のままであることを示すものだ。

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2007/04/25 16:14:27 入力
http://www.wowkorea.jp/news/Korea/2007/0425/10024810.html


　中共や香港の大銀行は、後難を恐れて北朝鮮が資金移管する口座設定を断っている。上記記事では、東南アジアと述べているが、多分国交のあるシンガポールの銀行だ。それが安易に北朝鮮へ協力するとは考え難い。この問題は、北朝鮮が国際金融の信用を失ってしまい、決済出来なくなったことに全て起因するわけで、技術的な問題では無いからだ。

　ＢＤＡの凍結資金は２５００万ドル＝２９億円であるが、実際にそれが影響する北朝鮮資金は３０億ドルー４０億ドル（３６００億円―４８００億円）に及ぶという。それらが決済出来ないのだから、北朝鮮にとっては死活問題だ。

　北朝鮮のＧＤＰは６０００億円程度と見られ、国家予算は２６００億円程度、それに偽ドルや麻薬取引などの不法収入２４００億円が加わり、総国家予算は５０００億円位と重村智計（としみつ）・拓殖大学教授が推計している。それは、我が国の中規模県の予算よりも小さい。こうした国で、国家予算の７－８割に達する国際金融が停止すれば、国家破綻につながる。ＢＤＡ資金凍結解除を梃子にして、国際金融市場へ復帰しなければ、金正日氏の命運は絶たれる。

　シンガポールの銀行群は、マネーロンダリングで有名である。しかし、今回のＢＤＡ騒動を他山の石と捉えるだろう。それゆえ、既設の北朝鮮口座であっても、資金移転には難色を示すはずだ。２月の六カ国協議合意の実施は、事実上無期延期になるのでないか。

　４月２８日の新聞報道では、中共の武大偉外務次官が「マカオ政府がＢＤＡを北朝鮮資金を含めて買収取得する」との方法やロシアとイタリアの銀行を利用する手段で、資金移管を可能にすることを述べたという。しかし、そのようにしても北朝鮮自体の国際信用が戻るとは思えず、北朝鮮は核施設運転停止を先延ばしする可能性が濃厚だ。

　今年になって米国が示して来た対北朝鮮宥和政策だが、批判のポイントは３点に絞られる。その一つは、国連安保理決議１７１８号を米国自ら違反していることだ。これは、日本政府も戸惑っている。次に、イランなど他の核開発指向国家と交渉する際に、米国は恫喝に屈したとのイメージを与えた。また、「返還された金は人道・教育目的に使われなければならない」とする米国の要求は、取って付けたような内容で、当然無視される可能性が濃いから、米国の外交力が嘲笑の対象になるかも知れぬ。

　こうしたことから、米国内でも認識の甘いヒル国務次官補への追求が厳しくなるであろう。ヒル次官補が、４月中に六カ国外相会議をと軽薄に言っていたことを思い出して欲しい。結果として、金正日氏は「飴玉」の重油５万トン供給さえも諦め、当面韓国の人道支援、コメ４０万トン＋肥料３０万トンで細々とやって行かざるを得なくなる。

　ところで、ＢＤＡ資金の実態であるが、産経新聞によると

ＢＤＡ　金総書記直結　権力中枢名義３２口座判明
4月27日8時0分配信 産経新聞

　【ソウル＝黒田勝弘】北朝鮮問題で関心を集めているマカオの金融機関バンコ・デルタ・アジア（ＢＤＡ）をめぐって、北朝鮮が同行に開設している口座５２のうち３２の名義が初めて明らかになった。銀行９行と貿易会社２３社で、ほとんどが金正日総書記の資金管理をしている「３９号室」や人民武力省、国家保衛省、党軍需工業部、党統一戦線部など権力中枢につながっている。

　これは韓国の有力ジャーナリスト、趙甲済・前「月刊朝鮮」編集長が亡命者情報から判明したとして２６日、自らのホームページで伝えている。

　ＢＤＡは北朝鮮関係の取引額が全体の２２％を占めていたとされるが、今回明らかになった北朝鮮の口座名からして、「ＢＤＡは実質的に北朝鮮の体制維持のための対外金融窓口だったことを示している」というのが趙氏の分析だ。

　このうち銀行名義は、朝鮮貿易銀行、大聖銀行、朝鮮合営銀行、丹青信用銀行（武器輸出入担当）、朝鮮商業銀行、高麗銀行、恩徳銀行（党軍需工業部所属）、朝鮮統一発展銀行（党軽工業部所属）、龍岳山銀行（人民武力省所属）となっている。

　また貿易会社には、金正日総書記に直結する「３９号室」所属で知られる万景貿易会社や妙香貿易会社、光明星貿易総局、大聖貿易総局、綾羅島貿易総会社のほか、栄光貿易会社（党国際部）、大洋貿易会社（党幹部部）、光明星貿易会社（党統一戦線部）、綾羅８８８貿易商社（金日成の遺体を安置した錦繍山宮殿所属）、銀波山貿易商社（人民武力省国境警備隊）、錦綾輸出入商社（党軍需工業部）などが含まれている。

　「３９号室」所属の場合は、主に金正日総書記やその家族、側近たちが必要とするぜいたく品や高級原資材などの輸入を担当しているといわれ、さらに軍関係口座は武器関連の輸出入資金を扱ってきたとされる。

　趙氏は「北朝鮮がＢＤＡ問題にあれほどこだわり口座凍結解除を要求してきたのは、ＢＤＡが金正日政権の命運を左右しかねない死活的な問題だったからだ」としている。

最終更新:4月27日8時0分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070427-00000008-san-int


　贅沢品の供給は、先軍政治体制の維持に無くてはならぬもの、只今行われている金日成生誕９５周年記念行事＜アリラン＞（マスゲームと芸術公演）も５月５日終了と２０日間の期間短縮となる等、国際金融決済の凍結はかなり北朝鮮政権を傷めつけていることは間違いない。