山本周五郎の「日本婦道記」を読んでいる。表舞台には出てこない、しかし寡黙に筋を通して献身的に生き抜いた封建時代の優れた女性たちの話である。
勿論、時代が異なるから現代にそのまま通用する生き方とはいえないのだけrど、読み進むうちに目がうるうるしてしまうこの共感は一体何だろうか・・・
例えば「松の花」や「箭竹」では、己を捨て信念と強靭な精神力でひたすら主人や子のため尽くす凄まじいまでの生き方は、しかし考えてみると私の母親の年代、つまり明治生まれの人間ならごく当たり前だったのではないだろうか・・・
この本に出てくるほど立派ではなかったけれども、母も子供たちへの献身という面では、かなり近い生き方をしていた。その辺りが自分にとって遠い昔の話とは思えない所以かもしれない。
また、「糸車」、「風鈴」では(利・豊かさ)に捕われて(心・清らかさ)を捨ててしまいがちな人間の弱さを戒めて、現代でもそのまま通用する。
確かに、昔と較べて現代のほうが物質面では豊かになったかもしれないが、精神面では逆に貧しくなってしまったのではないだろうか。今はお金のために他人を騙したり、己の得になることしか考えない人間が、当たり前のように多くなった。文明がいくら進んでも人間の生き方には進歩がないみたいだ。
自分も反省しなくては・・・
最新の画像[もっと見る]
- 食事会 10年前
- 食事会 10年前
- とんでもない奴! 10年前
- ど素人 10年前
- 真冬 10年前
- I am not ABE ! 10年前
- I am not ABE ! 10年前
- 活字 10年前
- 活字 10年前
- フーテンの「フー」 10年前
・・・が、「時、すでに遅し!」でした。
その後は 藤沢周平ですが・・。
風子が高校時代 父がいつも山本周五郎を読んでいて「下らない本」と思っていましたが 大人なって 父の気持ちが解り 話を聞きたかったと 後悔しています。
こういう小説に共感を憶えるようになったのは、多分に年を重ねたせい?・・・(笑)
「天地静大」上下2巻のうち下巻を探しているのですが、近くの図書館やブックオフでは見当たらず(山本周五郎の本そのものがない)、やはり新本買わなきゃ駄目かな・・・
転居の通知が来てたけどアドレスがなかったんで
まだだろうなと思ってたのです。
天地静大 は多分こちらの図書館にあるトオもいますが6月28日からの開館で今準備中です。
風子さんは立原正秋だったんですか、私も大好きで
ずいぶん読みました。ちょっと不良っぽいが古物に詳しい主人公、着物の似合う女性、お寺や湘南の舞台、など。
最後の作品 その年の冬 は捨てきれずにまだ持ってます。
Edさん、良かったら持って行きますよ。
ただ、癌に侵されていて食べれないのか やたらと食べ物が出てきます。
これはそんなにお勧めではないけどね。