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記憶するために




ちょうど一年前、2020年の3月23日、英国は最初のロックダウンに突入した。
(現在三回目のロックダウンが、6月まで時間をかけて段階的に解除されている)

今日は記念日として英国各地で黙祷が捧げられ、20時からは"Shine a Light"と称し、個人が玄関前でろうそくやスマートフォンを灯す行事が行われている(現地時間の今)。


英国は人口が約6600万人、この1年間で(新型コロナウイルスによる)12万6000万人以上の死者を出した。
一方でワクチン接種実績としては、すでに2800万人以上、18歳以上の成人の半分以上がワクチンの接種を受け、このペースで7月末までに全成人が接種する予定だが、失ったものは大きく、また負担は普段からすでに苦しい生活を強いられている層に大きくのしかかる。


ある国や人々が、「先進国」であるとか「文化文明度が高い」かは、GDPやGNIの数字ではなく、弱者や少数者が尊厳を失わない社会かどうかだ。
わたしはそれを心に刻みたいと思う。


「そのとき医師リウーは、ここで終わりを告げるこの物語を書きつづろうと決心したのであった- 黙して語らぬ人々の仲間にはいらぬために、これらペストに襲われた人々に有利な証言を行うために、彼らに対して行われた非道と暴虐の、せめて思い出だけでも残しておくために、そして、天災のさなかで教えられること、すなわち人間のなかには軽蔑すべきものよりも讃美すべきもののほうが多くあるということを、ただそうであるとだけいうために。」(カミュ 宮崎嶺雄訳『ペスト』368ページ)
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