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musée yves saint laurent paris




3月はウィーンから始まり、ボルドー、パリ、ミラノに滞在し、ほとんど英国の家にいなかった。

旅先の感想や写真もこれっきりになってしまうのはとても心残り。記憶とメモ(わたしはメモ魔)を復元できるものから適当にアップしていこうと思う。


パリのイヴ・サンローラン博物館で感じたことが忘れられないので、今日はそれを書いておこう。

イヴ・サンローラン博物館では有名なモンドリアン・ルックの特集をしていた。
米アニメ『シンプソンズ』)(<実は好き)のマージがモンドリアン・ドレスを着ている絵は鮮烈だ。最も単純化、記号化された二次元の人物が、ほとんど同種の服を着ているのだから!

これらサンローランのデザインした、デザイン史を塗り替えるような服を着せられたマネキンが飾ってあるのはとても興味深いが、展示物では何よりもヴィデオがおもしろいと思った。
満足そうなディオールや、憮然としたシャネルの顔も残っている。

ショウのヴィデオが面白いのは特に80年代後半から90年代初頭で、それはスーパーモデル文化があらゆる意味でおもしろおかしいから...
だけではない。





服の中に生身の体が入り、布が動き出すからこそ、光沢や、光を全部吸収する黒さ重さ、空気を可視化する薄さ軽さ、ビジューの輝き、カッティングの妙が生きてくるのであって、美術館に陳列してあるものは貴重だが、その美しさ半分も表していない。

あれらのスーパーモデルというのは、カリカチュア的で、話題になる存在だけではなく、当たり前だが良い仕事をしたのだなあと感心した。


そしてすべてはサンローランの夢と渇望でできたお城、彼自身が自分がもしも女だったらこういうものを着たい、こんな身体でこんな髪なら着たかった、そういったものへの切ない永遠の憧れの集約につきると思う。
そしてそれは汚れなく美しい。


彼がデザイナー人生を辞した時のスピーチで、「女性に自信を与えるだけでなく、女性がそのままの自分を受け入れるために仕事をしてきた」と言っており、それはそのまま彼自身に対してのスピーチであったのではないか。

美しくも儚いファッション。が、スタイルは残る(と、彼も言った)。
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