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桃いろのオールド・イングランド





雨上がり、雲の切れ間から天使が空から降りてきたのかと思った。

たえなる調べとともに。


この桃いろの薔薇にはWildeveワイルドイヴという名前がついている。
香りも桃のようだ...と言いたいのだが、キャンディの名品「小梅」のよう。


ワイルドイヴということは、平和と調和のもと、エデンの園に暮らしていたころの無知で無垢なイヴのことか。

彼女は、神から食べることを禁じられている「善と悪の知恵の木」の実に手を伸ばし、アダムにも食べさせた。
神が創造したものは、すべて土に還るものであるという「知」を封印したその実を食べたことにより、イヴはアダムと共に楽園から追い出される。


ユダヤ教が追求する神と人間の関係は、人間が成熟することによって初めて可能性を持つため、この追放は必然だった。

人間が成熟するとは、「神はなぜこのような仕打ちを」と嘆いたり、「神様、あなたがほんとうに存在するなら解決してください」と頼むのではなく、この世で起こる問題は自らの問題として人間が責任をもって対処する、ということである。

「人間が、まだ一人の幼児として、「神と土地と人との調和」のゆりかごのなか横たえられている間は、なんにしても、「神と人との関係」なるものは不可能」(長谷川三千子著『バベルの謎』中央文庫 175頁)

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