MASTER PIECE

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トラウマ映画館

2013年11月30日 00時29分42秒 | 書籍



町山智浩さんの書籍。

非常に読み応えがある素晴らしい映画評論本でした。

映画ファンの私でも実際に観たことがあるのは【ある戦慄】一本のみです。

ここに紹介されている映画二十六作品は、現在の日本では放送コードギリギリ、もしくは完全NGな作品ばかり・・・

あくまでも「トラウマ」なのは町山氏の感じ方であって、他者から見たら違うかも知れませんが
どれも凄く興味が沸いて、是非観て見たい魅力的な作品ばかりでした

町山氏は1962年生まれで、私より年上なのですが観てきた映画作品が近い、もしくは同時代の作品に共感してあるので。
非常に読みやすくて感情のふり幅が正直っていうか趣味趣向がとても似ています(笑)

まだ映画のFSXや娯楽性、商業主義ではないシナリオで勝負の作品集、うん、こういう映画は物凄く好きですね(笑)

60年代~70年代のけしてメジャーではない忘れ去られる運命の非常にかわいそうで魅力的なこの映画作品レビュー集は

読後の満足感がすこぶる高い書籍でした。

明晰夢(めいせきむ、英語:Lucid dreaming)

2013年11月27日 11時56分37秒 | その他

数日前に人生で初めて明晰夢を見た。

どこか外国の砂漠の中に立っている私。
白昼で空には太陽が昇っている・・・眩しいほどの光が降り注ぐ。

なぜかその時に「あぁ・・・これは夢だ!!!」ってはっきりとした確信があった。

その時の感覚なんですが・・・これが非常に苦しいです(笑)

夢の中で今の現状が夢だ!!って分かった時の不安感や苦しさったらもう説明が難しいです。

それは夢の中では自由に行動や色々な事をしてやろう・・・なんて気などさらさら起こるはずも無くて
「分かっているけどどうしようも出来ない」←これが正直な感想です。

場面が変わって自分が住んでいるマンションの部屋の中。
外は真っ暗なので真夜中だろう・・・
ベッドには以前飼っていた猫がいる。

トイレに行きたいのかベランダの方へ行って外の暗闇を見つめている。
私はサッシを開けて、猫を外へ促す・・・
猫は一度振り向いて「ニャ~」と泣き声を出して、そのまま暗闇に消えていく・・・


多分、相当疲れている時に不思議な夢を見るのだろう・・・

ある戦慄

2013年11月19日 20時20分01秒 | 映画



原題が「THE INCIDENT」で直訳すると、ささいな出来事となる。

深夜のニューヨーク、地下鉄に乗り込んだ乗客を襲う恐怖。

まぁ~怖いですね、ニューヨークの深夜って(笑)

カップル、老夫婦、黒人の夫婦
ゲイの男と問題を抱えている教授風な男性、休暇中の軍人二人と酔っ払いの男性。

偶然にも乗り合わせた車両にチンピラの男二人が乗り込んでくるが・・・

電車の中ってある意味、密室なんですね。
事件、事故が起ころうとも自分の意思では逃げ出せない時がある。
その恐怖を上手く表現していて、正直こんなにもトラウマな映画作品があったなんて・・・ビックリです(笑)

時間とともに高ぶる恐怖と怒りの感情で観ているほうは嫌でも緊張してしまう、凄い演出です。

自分に降りかかる恐怖と災難を登場人物たちは避けるために、みて見ぬふりって人間心理が素晴らしいです。
私も同じ状況だったらこのケースは多分、見てみぬふりをするでしょう・・・どうだろうか?

結構リアルな演出なのでもう最後まで目がはなせなくって緊張しっぱなし(笑)

なんとマーチン・シーンの映画デビュー作でした
あのウイラード大佐ってこんなにも悪役な映画に出ていたんだね。
まったく感情移入出来ませんがニューヨークの地下鉄が正直怖くなりました。

ずしりと重たい余韻のトラウマな作品でした。

苦役列車

2013年11月19日 01時53分23秒 | 映画



小説を読んだので映画も観てみました。

うーん、なぜか不思議な感覚です・・・

小説が西村賢太さんの自伝としたらこの作品は別物ですね。
それというのは物語としては面白くないですけど、小説家西村賢太の半生としてみれば凄く感情移入出来る。

けして駄目人間では多分ないと思う・・・
しかし惨めな青春であることはヒシヒシと伝わってくる作品でした。

まぁ森山未來の独特な演技が凄いです・・・
もう卑屈で世間知らずでガサツで酷い男(笑)友達としてはNGです

「この愛すべき、ろくでナシ」←そうですね、異論ありません(笑)

覗き部屋のシーンで昔の彼女が風俗嬢だった時の会話
「しないの?」「するよ!!」最低ですが大爆笑でした・・・

しかし前田のあっちゃんは地味な役ですね、地味すぎて作品のイメージに合っているので
正直演技が上手いのかどうか分かりません・・・

惨めな青春ってのも映画の題材としては70年代のアメリカンニューシネマみたいでしたので

けして嫌いな感覚の作品ではありませんでした。


R62号の発明 鉛の卵

2013年11月15日 21時27分25秒 | 書籍



安部公房の作品5作目。

昭和28年~昭和32年の短編集を読んでみましたが、かなり難読でシュール・・・

表題の【R62号の発明】は自殺志願者がロボットに改造されて復讐する話。
【変形の記憶】は死んだ主人公が幽霊になって軍隊トラックに乗り込む話。
【人肉食用反対陳情団と三人の紳士たち】は未来の特権階級と食用にされる人間の話。
【棒】も【鍵】もかなりシュールで奇妙な話。
【鉛の卵】についてはタイムカプセルで80万年後に目覚めた男の苦悩とは・・・

安部公房については純粋なSF小説や読み物としてはポピュラーではなく難しいけど
思想や哲学としては十分に読み応えがあります

今まで4冊読破しましたが、面白さとしては短編よりも長編のほうが余韻が残る感じです。

昭和30年代の作品のイメージだけではなんとも言えないが
アンダーグラウンドの香りが漂うこの短編集はある意味、驚きに満ちた作品集でした。