MASTER PIECE

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隣の家の少女 

2015年10月13日 00時12分49秒 | 映画



アメリカ文学史上最も残酷で恐ろしい小説の一つと言われているジャック・ケッチャムの「隣の家の少女」映像化作品。

中年男性(デイヴィッド)の少年時代のおぞましい回想録・・・

両親を交通事故で失い、伯母の家に身を寄せた姉妹のミーガンとスーザン。
妹のスーザンは事故の後遺症で両足に障害があり、姉のミーガンが世話をしていたのだが
伯母のルスは姉妹への嫉妬と増悪が入り混じった理不尽な暴力を密かに行っていた・・・

あぁ~もう二度と観ません(泣)
しかしひどい話です。。。しかもアメリカで実際にあった事件だという事。

少女を監禁して、拷問して、レイプして。。。よくもまぁ~人間がやることとは思えない。

人間の持っている闇の部分を垣間見る作品でした。
しかも観終わった後の気分はどん底です・・・

カンガルー・ノート

2015年10月09日 18時12分57秒 | 書籍



安部公房の作品7作目。

久々に安部公房を読破しました・・・
まず、作者の遺作であるという事が一般的な認識ですね。

文具メーカーの開発部で働くサラリーマンの男にある朝起こった災難(かいわれ大根が脛に生える)
訪れた医院で麻酔を打たれ意識を失くした彼は、自走するベッドと共に坑道から運河へ、賽の河原から共同病室へ・・・

なんとシュールな展開なのだろうか・・・(笑)
あくまでも語り口はユーモアたっぷりで主人公に深刻さや悲しさは無くて奇妙な体験記イメージでしたが。。。

これは最後の最後で物語のイメージを裏切る(いい意味で覆す)なんとも安部公房らしい作品でした。
テーマはずばり「死」である。
この「死」を意識して再読したら一つ一つのエピソードがすべて伏線としてつながる驚愕の小説ですね。

私の考察はこうです。

主人公が求めたのは安らげる場所だったと思う。
それはカンガルーが子供を守るおなかの袋なのだろう・・・(母胎回帰)
なぜ、そう考えるかというと、主人公は突然病気になり人生に絶望、自殺を考えて死に場所を求めて彷徨う。
安らげる場所の象徴が、カンガルーのおなかの袋だと思う。
シュールな一つ一つのエピソードはすべて主人公が見た走馬燈(夢)であったと考えれば、理解できる。

正直にいってなんとも救われない作品なのですが、安部公房ではかなり読みやすくて面白い作品でした。
作者の死生観がヒシヒシと伝わってきます、やっぱり世界的に有名な作家なんですねぇ~。

8日にノーベル文学賞の発表で村上春樹が受賞を逃すってニュースを見ましたが。
以前に安部公房がノーベル確実と言われていたのに急死したので、大江健三郎が受賞したとのエピソードを何かで読んだ。
結構、周りが騒いでいるうちはノーベル賞は貰えないのかも知れません・・・

イン・スルー・ジ・アウトドア

2015年10月08日 21時58分55秒 | 音楽



久しぶりに聴いたレッド・ツェッペリンのアルバム。
まぁ頻繁には聴かないけど、たまーに聴きたくなるアルバムですね。

一言でいってしまえば、大人のロックミュージック(笑)
まぁお酒でも飲みながらこの作品を語るにはあまりにも渋すぎるかな・・・?

でもって、サンバありカントリーありバラードあり、リズム&ブルースありの多様性を持った内容です。
音楽性はベースのジョン・ポール・ジョーンズのカラーが色濃く出た作品みたいです。
ラストの2曲、「オール・マイ・ラブ」からの「アイム・ゴナ・クロール」へのつながりなんて素晴らしすぎて正直、鳥肌もの

この2曲のイメージが強すぎて、全体的に印象深いんだかよく分からない(笑)

洋楽ファンになってもう30年以上経ちますが、ロックって奥が深いです・・・。
私なんて・・・まだまだ・・・だなぁ~。

獄中で聴いたイエスタデイ

2015年10月03日 23時16分10秒 | 書籍



音楽サイト「TAPTHEPOP」で紹介されていたので興味湧いて本日購入し、先ほど読み終わりました。

1980年の1月に来日したポール・マッカートニー(ウイングス)が大麻で逮捕された時の留置場で偶然出会った
著者(元やくざ)の手記ですね。

まぁ内容は「獄中で聴いたポールのイエスタデイに感動して堅気になった元やくざの半生記
なのでこの本の主役は瀧島祐介さんであって、ポール・マッカートニーはアイコンでしかないのですが・・・

獄中で偶然に居合わせた世界的に有名なミュージシャンと歳が近くてビートルズの事もよく知らない殺人犯人の違いすぎる人生。
でもそこには同じ留置場で同じ境遇や体験をした者だけが分かり合える魂の邂逅・・・

もうね、音楽って人に与える感動とかって、やっぱり偉大です、凄いです。。。
「イエスタデイ」の歌詞も、「昨日なくしてしまったものがどうしてそうなったの?」って後悔する内容ですよね(違う?)
その曲の意味が分からなくても著者には人生を変えてしまうような体験だったのでしょう。

そして時は流れて2013年のポール・マッカートニーの「アウト・ゼアー・ジャパン・ツアー」の体験記事。
著者にとってはポール自身にお礼を言う感謝の旅。

この本を読んで、順風満帆、普通の人生なんて有り得ないという事。
人間の人生、波乱万丈でドラマチック・・・そしていつでも立ち直れるっていう事。
そして音楽には人の人生を決めたり、変えたり出来る力があるという事。

ビートルズの「イエスタデイ」がなぜ名曲?なのかよく分かります。