MASTER PIECE

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ちいさな独裁者

2020年10月14日 18時49分33秒 | 映画


久々にDVD鑑賞。
第二次世界大戦末期のドイツで、脱走兵のヘロルトは偶然、ナチス将校の軍服を発見する・・・

あぁ!!・・・これはアレですね、以前に観た「es」とかの人間の闇部分を描いた作品。
立場と権限を持ったら人間はとことん残酷になれるっていうやつ。
「es」は人体実験でしたが、これは極限状態の戦争中であって致し方無い気もします。

脱走兵が生きるか死ぬかで選択するなら、100%生き残る手段を選ぶはず。
それが単純に人道的か人道的じゃないっていう単純な問題とも違う気がする。。。



しかもこれが実話っていうから驚きです。
まさに「事実は小説よりも奇妙」っていうことかも。

まぁこの主人公よりも正義とか倫理観を持ったちゃんとした人物が多く出てくるので救いにはなります(笑)



人は見た目が全てっていう、ある意味酷く残酷な作品でした。

ハリーとトント

2020年08月08日 19時19分44秒 | 映画


1974年のアメリカ映画。 
1974年っていったらアメリカンニューシネマの時代。
若者が主役の、やれ「古い価値観なんてクソくらえ!!」だの
「30歳以上は信じるな!!」だの過激で暴力的な描写が多い新しい価値観の映画が多く作られた時代に
のんびりほのぼのした老人と猫のロードムービーって・・・観てみた感想ですが。

深いです・・・深すぎてラストは号泣てしまいました。(笑)

72歳になるハリーは猫のトントとニューヨークのアパートで暮らしていましたが。
アパート取り壊しにより退去することになる。 最初は長男の家に引き取られるも居心地が悪くなり・・・

簡単に言うと老人と猫が旅に出る話(笑)

この映画で特異なのは若者が旅に出る理由(人間的に成長する自分探しの旅)とは違い。
自分の人生で関わってきた人達との関係の再確認である事。(それもまた自分探しの旅だと言えます)

息子家族との関係、孫との関係、長女との関係、次男との関係、親友との関係、昔の恋人との関係。
旅で出会った家出少女との関係、インディアンとの関係。

そして一番は相棒の猫(トント)との関係。

ラストはやっぱりそうなっちゃうんだね・・・予感はしてたけど・・・
しかし予想以上に暗くならないハリーさんの海岸のシーンで号泣!! あぁこれが最高のラストなんですね。

滅茶苦茶いい映画でした。

ニンフォマニアック

2020年07月09日 23時44分09秒 | 映画


ラース・フォン・トリアー監督のヘンテコ作品(笑)

一人の女性が路地裏に倒れている。 通りかかった親切な老人が心配している。
「救急車を呼んであげる」 
「救急車は必要ないわ、部屋で休ませてほしい・・・出来ればミルク入りの紅茶もお願い・・・」
女性は老人が住む家に招かれ、ベッドで彼女(ジョー)が人生の遍歴を語り始める・・・・

子供のころにオナニーを覚えて。
ローティーンで自分から処女を捨てて。
中学で友達とセックスの経験を競い合い。
高校でセックスクラブを立ち上げ。
社会に出て時間差で多くの男と付き合い。
不倫をして、相手の家庭を崩壊させ。
就職した会社のボスが処女を捨てた相手で。
結局彼と結婚し、子供を産んだ後に不感症になりました。

そこからの彼女はエクスタシーを取り戻す為に。
黒人の男をナンパして3Pをしたり。
SMにはまってお尻を鞭で叩かれたり。
裏社会に入って、借金の取り立てをしたり。
十代の少女とレズビアンな関係になったり・・・・

一番印象深いシーンが、依存症の治療で、グループ討議をしている時に。
「私は、あなた達と違って、セックス依存症ではない!!」 
「私はニンフォマニアック(色情狂)なのよ!!!」っていう宣言(笑)

ここまで自分の欲望に正直で信念がある生き方をしている彼女(ジョー)に尊敬の念さえ覚えてしまう。

最後は親切に彼女を介抱して部屋で休ませた老人が実は童貞で
いきなり豹変して彼女を襲ったので、彼女は老人を拳銃で撃ち殺しておしまい・・・
ラース・フォン・トリアーらしい鬱な終わり方。

人間はやっぱり性善説よりも性悪説の存在でした・・・っていうオチ。

作品全体でエロい感覚で観ると楽しくないです、人間の欲求(食欲・性欲・睡眠欲)の性欲を突き詰めると
こういう哲学的考えもありなのかな・・・

なかなか奥深い(?)メッセージの作品でした。

フィッシャーキング

2020年06月12日 18時18分23秒 | 映画


また、観てしまいました。とにかく脚本が100点な作品!!!。
伏線は難しくせずに、早い段階で回収しているから要所要所で感情移入できて号泣(笑)

なぜなら主要な登場人物がみんな純粋にやさしい・・・
やさしさの行きつく先は「奇跡」みたいな嘘くさい話ですが、非常に面白いストーリー展開にいい意味で騙される。

今回、観直してみると当時は思わなかった発見があって面白いです。

主人公のジャックが大金持ちの家に忍び込むときに「誰も上を見ない町だ!!」っていうのは
逆説的に言うと「ビルの上層部に住む人は下に住む人間なんて相手にしない」って事だと思う。
最初はジャックもそういう下の人間を相手にしない人物だったのが、自分がどん底に落ちたことによって
ホームレスの気持ちや、罪の意識への贖いなど、成長した(変わった)人物として描かれている。

そもそも自分が直接事件を起こしたのでは無いのに、これほど罪の意識を感じるのは。
元から根はやさしい人物である証拠だと思う。

ジェフ・ブリッジスと今は亡きロビン・ウィリアムスの名演技が光る名作だと思います。


幸福の黄色いハンカチ

2020年05月30日 21時13分44秒 | 映画


YouTubeに全編あるんですね。ちょっと観るつもりが最後まで観てしまいました(笑)
この作品の舞台は北海道ですが、夕張炭鉱社宅が出てくるのを見ると九州で育った小学生~中学生時代を思い出します。
昭和50年から60年辺り、夕張炭鉱と同じで三池炭鉱もこんな感じの木造社宅でした。
同級生、先輩の多くは炭鉱マンの子供で、炭鉱社宅の近くにはスーパーや銭湯もあり
三池炭鉱社員専用の電車もありました。

まだまだ会社が社員の生活を保障して、景気が良かった時代のような気がします。

さて、この作品を改めて観てみると、前半は男らしかった健さんも網走刑務所から刑期を終えて
いざ、自宅に近づく頃になると弱気になります。(笑)
「えっ!自分で帰ってくるって手紙を出しといて、目印のハンカチを上げろって言ったのに・・・」
それはそうですよね、自分から別れを切り出しといて6年後まで待っている女性は多分いないと思う。
自分勝手に思い込みで、「どうせ待っていないよ!!引き返そう!!」って一度は引き返すも。

ここで一緒に旅をしていた武田鉄矢と桃井かおりから至極当たり前のアドバイス!!!
「ここまで来たんだから実際に見て帰ろうよ、ハンカチが出ていなかったらそのまま引き返せばいいでしょ!!」

ここだと思います、この映画のポイントは。

結果はどうあれ勇気を出して確認したほうがいい、行動しないよりもして後悔したほうがいい。
後々後悔するのは、あの時にしとけばよかったっていう自責の念。

結果、自分の思いは愛した女性に伝わってハッピーエンドでした。
映画としては私の幼少期のノスタルジックな記憶をも思い出させてくれる作品でした。