MASTER PIECE

映画 音楽 書籍 etc

大場電機鍍金工業所

2020年01月14日 16時31分34秒 | 書籍

東京のブックオフにて購入。

つげ義春さんの自伝的作品集。
内容は著者の少年時代、青年時代の悲惨な(笑)青春ってところかも。
しかも内容が貧困と現実逃避、性欲のはけ口、苛立ちと未来への不安。。。読んでいて落ち込む要素満載。

しかしなぜか読んでて絶望感は感じない。
それは戦後の時代背景が、みんなそんなだったから・・・
そうですね、昭和30年代はみんな生きるのに必死だったってことかも。

この作品集で一番印象に残っているのが「海へ」という作品。
肺炎で亡くなった父親の葬儀の費用もなく、川へ流してしまった一人ぼっちの女工はどうなってしまったんだろうか?

あとお金がなくてもどうにかなってしまう人情的なお話もあり。
つげ義春の世界観がよく出ている作品だと思いました。

瞬発力の高め方

2018年03月23日 14時11分01秒 | 書籍



「瞬発力の高め方」いい題名ですね!!
私自身は瞬発力を発揮する場合なんて日常生活でそうそうないですけど・・・(笑)

本の内容はジョー語録とでも言うのか、彼の考え方や行動哲学をポジティブに記してある内容。
「欲しいものを手に入れる新世代のバイブル」らしく新しい世代の生き方を提示している。

正直な感想は「現代の尾崎豊」だと思った。「十代のカリスマ」ってことです。
ただ彼と尾崎が違うところはポジティブとネガティブのベクトルの違いですね。

「こんな支配的な社会から卒業してやる!!」っていう尾崎豊と
「こんな何でも出来る社会で、もっと自分を楽しもうぜ!!」っていうジョーの生き方。

どっちが楽しいか?っていったらジョーのほうが楽しそう(笑)


10代や20代の若者には共感できる部分が多いとおもうけど
40代の私からしたら、無謀だなぁ~っていう部分と、なんでもチャレンジできる事にある意味嫉妬したりする(笑)

今後の活躍が楽しみです。


百日紅

2018年01月23日 23時59分33秒 | 書籍



杉浦日向子さんの百日紅を読んでみた。

切っ掛けはネットでたまたま見た葛飾北斎の娘、お栄(応為)の作品を知ったことでした。
葛飾北斎は知っていても、娘も有名な浮世絵師だったなんて・・・
しかも父親よりも技巧派で現代のイラストレーションにも通ずる構図と色彩の妙・・・

たしかにため息が出るほどの凄い浮世絵

でもってその北斎とお栄の江戸の生活を描いたこの作品ですが。
読んでいると、江戸時代の生活もいいのかなぁ~って思えてくる(笑)

作品自体は不可思議な話や、死生観の話、艶っぽい風俗の話など、父娘を中心に展開する
なにかこう、ふわっとした掴みどころが無いようなあるような・・・
でも印象にのこる不思議な作品。。。

たまには漫画も読んでみるものですね。

オール・マイ・ラヴィング

2017年08月29日 00時03分40秒 | 書籍



岩瀬成子さんの長編小説を読破した。

「1966年、ビートルズが日本にやってきたあの年。十四歳の少女が住む小さな町にビートルズファンは一人だけだった。」

題材も面白いし、なにより共感しまくりのストーリー(笑)
主人公はビートルズではなくて、ビートルズファンの中学生の少女なんだけれど
思春期での音楽との出会いや、当時(1966年)の地方での生活や家族、友達、町の人々との交流を描いてあり
清々しくもほろ苦くて甘酸っぱい中学時代の青春物語。。。

いわゆる、「あるよね!!」的な想いとか感情とか思春期独特の行動哲学とか・・・(笑)
でも素直に共感するし、胸が熱くなる表現とかが、最近読んだ小説としては群を抜いて面白いです

「ビートルズ。つぶやいてみた。いい響きだ。すこし体に空気が入る。わたしはもう泣いてはいなかった」p286

地方都市の、まだ何者でもない一人の少女がビートルズに思いを馳せることで
自立し、成長していく物語。

なかなか奥が深い小説でした。


世紀末の隣人

2017年06月28日 23時06分45秒 | 書籍



久しぶりにグッときたルポルタージュ。

1998年からの数年、世紀末に起きた事件や風俗、時世の記事なのだが。
小説家、重松清の鋭い視点の内容は面白くて引き込まれてしまう・・・

和歌山毒物カレー事件 (1998年7月)
池袋通り魔殺人事件 (1999年9月)
音羽幼女殺人事件 (1999年11月)
京都小学生殺害事件 (1999年12月)
新潟少女監禁事件 (2000年1月)
西鉄バスジャック事件 (2000年5月)

今でも覚えている事件が多いのだが、21世紀に変わる前にこれだけの事件が起きている事に驚く。
世紀末っていうキーワードが何か特別な意味合いを持っているかのようですが
17年~18年前に起きた事件は現代になっても同じような事件は無くならない・・・

さて、このルポルタージュでは事件が起こる要因や現代人が持つ闇の部分などをクローズアップして
紐解いているのですが、それは誰もが起こり得る身近な事件だという事。
言葉を変えれば誰でも起こしえる身近な衝動だという事です。

だから題名が「世紀末の隣人」なのですね。。。流石だわ、重松清。

内容が濃い衝撃的なルポルタージュでした。