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日々のつれづれ・アート・音楽・衣食住。好きな言葉はゲーテ「いきいきと生きよ」デグジュペリ「大切なことは目に見えない」。

We don't live here anymore 夫以外の選択肢・映画の邦題の付け方について

2011-01-04 | 本・映画・名言

「夫以外の選択肢」と邦題は付いていますが日本未公開の映画です。パーフェクTVのシネフィルイマジカチャンネルで観ました。トリフォーみたいに、乾いたタッチの心理描写で、何やらひとごとというかんじの軽い恋愛映画かとおもいきや、やりきれなくなる話でした。首尾一貫して暗くよどんだ雰囲気で気がめいる映画でしたが、一方俳優さんたちの演技がうまくてひきこまれ、最後まで飽きずに観ました。

夫婦ぐるみで仲良くしている、夫がいずれも大学で教鞭をとっているA家とB家。
妻は二人とも専業主婦でA家には子供が二人、B家には一人。

A夫はB妻と不倫しており、A夫は罪悪感を消すためか、自分の妻とB夫が不倫するよう仕向けます。夫の不倫に気づいたA妻は腹いせで結局B夫と関係を持ちます。
彼らの行方は・・・というどろどろした話です。

B夫は単に気の毒な人ではなく、実は何年も前から複数の女性と関係を持っています。小説家になる夢をかなえるため執筆に注力したく、家族に時間を使ってほしがる妻がうっとうしく、A夫に妻を寝取られていることに気づきながらも、邪魔されず執筆ができてありがたい、と半ば思っています。B妻はナオミ・ワッツが演じていますが、夫に関心をもたれていないせいか、A夫に対しての誘いも積極的です。むしろA夫はひきずられている感じ。

バンクーバー近郊で撮影されたそうですが、自然の残る静かな住宅地の風情が美しいです。

(以下、結末が書いてあります。DVDみてみようかな、シネフィルイマジカの再放送チェックしてみようかな、という方はご注意ください。)

結局、A夫妻はやり直すことに。A夫は自分の友人であるB夫が妻と友人との不倫を黙認していたとわかり、B妻との関係を終わりにします(その期に及んで迫ろうとするB妻は愛情に飢えているのだとよくわかる演出です。病的な毒々しさがナオミ・ワッツの美しさで薄められています)。

もともと、4人のなかで、唯一配偶者を愛していると思われるA妻は、夫を受け入れます。
夫も目が覚めた、ということなのでしょう。

A妻の家事能力は最低です。責任感が全くなさそうです。家中は汚く、料理はしない。子供がおねしょをしたシーツを替えず、3日間お風呂にも入らせていない。夫がそれを責めると「子供に愛情があるなら自分でやれば」と逆切れ。旦那さんは外で働いているのだから専業主婦のあなたとすべて同じにはできないでしょう~とつっこみたくなります。夫の不倫に心を痛めて無気力になったということではなく、もともと怠け者な描かれ方です。

これじゃあ、いったんもとの鞘におさまってもまた問題が起きていくだろうなあ・・・・という空しさが残ります。A夫がかわいそうにもなってきます。そしてたとえよりを戻しても二人とも不幸なままなのでしょう(A妻を演じるローラ・ダーンは常に眉間にしわを寄せ、口角が下がりっぱなし。他の映画では違う感じなので役作りでしょう。うまいです)。

そして、自分の夫にも不倫相手にも拒否されたB妻は、夫が止めるのも聞かず、自分の母親のところに行くといって娘を車に乗せ、家を出ます。赤信号が青に変わります。それで映画は終わります。
本当に母親のところにいったのかはわかりません。あるいは娘と心中したのかも・・・とも想像できます(列車の映像が少し前にクローズアップされていたので)。それで、もしかしたら、A家のことばかりが語られていたようだったけれど、じつは話の中心は実はB妻の心の動きにあったのかも・・・すべての始まりはこのB妻だったのね、と気づきました。

原題の「We don't live here anymore」 というのは含みがあるタイトルですね。家を出たB妻は母親のところに行ったので We ではなく B夫だけがここに住んでいるということなのか、A家とB家の世界がもはや同じではないというメタファーなのか・・。

邦題がぜんぜん内容にマッチしていないと思うのですが、こういう直截的なタイトルにしないと顧客の興味を引けないという判断なのでしょうか。どうせなら「秋の気配」←オフコースの曲名から拝借、「空しさの果て」などのほうが実際の映画の内容が想像できてよいのでは。もっと直訳的に「もう、ここにはいない」などはいかがでしょう?←これは是枝裕和監督の「誰も知らない」っぽいですかね。

妙な邦題といえばもうひとつ。
"He is just not into you" (彼は単にあなたに気がないのよ)という映画。ジェニファー・アニストン、ベン・アフレック、ドリュー・バリモアなど出演のオムニバス恋愛映画が、なぜか「そんな彼なら捨てちゃえば」に。
なぜそんなに女性側に都合の良いタイトルになってしまうの~?

「男の子が意地悪で期待通りのことをしてくれないのは、その女の子のことが好きで気をひきたいから」という”間違った”神話を女性は大人になっても信じがち。友達は本当のことを言ってくれないでいつまでも本人は勘違いしたまま・・・という(女性にとっては)自虐的なジョークが冒頭にでてきます。

ダメ男に引っかかったり、気になる相手にがんばってモーションをかける各登場人物に感情移入しつつ、彼女たちの要素を持った自分を客観的に笑い飛ばしてすっきりしようという映画かと思います。飛行機の中で観たのですが私は結構面白かったです。

でも「そんな彼なら捨てちゃえば」というタイトルに惹かれて劇場まで観にいった人は、自分を笑い飛ばすつもりなどなかったでしょうから、がっかりしてしまうのでは、逆効果では・・・と思いました。それだけの理由ではないでしょうが、あまりヒットしなかったようで早々に公開が打ち切られましたね・・。

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