私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

春光一個小嵐山

2013-04-02 09:51:47 | Weblog

 かって、此の高尚の植した桜の苑に遊んだ後藤松蔭は詠っております。

         鯉魚山下水潺湲 
             桜樹団々松樹間
         看取天機雲錦片
         春光一箇小嵐山
 と。

 細谷を流れる瀬韻は「潺湲」、そうです。在るかないかのようなえもいわれぬ小さい小さい水音を立てながら岩間を滑り落ちております。その音はあたかもショパンの涙のように、シューベルトのささやきのように、ベートーベンの恋のように、まことに繊細な、p音を幾重にも重ねるように、後から後から生み出されおります。その音がそこらの木々の若芽に跳ね返されて渓の中に静かに消え残っており、まるで小人のオーケストラが奏でる交響曲を聞いているような雰囲気に包みこまれます。
 そして、周りの裸木の大木の枝間からは、ま青な四月の観客たちの盛んなる光の拍手が聞こえて来ます。そして、桜の花が辺りを桜色に包みこみます。まさに春光一箇です。

 こんな松蔭の詠んだ風景が、この吉備の中山に見ることが出来たのです。でも、今は、僅かに高尚の歌碑だけが往事を物語るかのように芳叢の中にひっそりと佇んであるだけです。


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1 コメント

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Unknown (Robinson)
2013-04-02 14:56:45
何でもいい~ブログ
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