私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

ナマズ様々の画

2011-08-27 09:55:40 | Weblog
 地震火災の書戯作ものはすべて、お上からの御達しで、商店の棚から降ろして、下と云いますから、土間に並べて売ったのだと思いますが、それでも、なお、このての物は売れたのです。四百種以上も出廻ったのだそうです。そのほとんどは、昨日あげた「鹿島大明神と要石」や「マナズを懲らしめている」絵であったのですが、中には、次の画のような摺りものも出廻ったのだそうです。

      

 この絵は何だとお思いですか。


 ナマズを懲らしめている絵ではありません。                                                
 江戸庶民にとっては、大変、こにくきナマズを、この絵では、懲らしめているのではありません、反対に「ありがとうございます」と感謝し、拝んでいる絵なのです。一体、このナマズを拝み奉っているいるのは、どこのどなたでしょうかね。

 そうです。云わずとしれた、大工や左官などの建設関係の人々なのです。それまでは仕事があまりなくて喰うのにも困っていたのですが、地震や火災などによって、家の建設需要が一気に高まり、いくらでも仕事にありつけたのです。彼らにとっては、この地震を引き起こしてくれたナマズ様は大変有難い救世主になったのです。だから、皆して奉っているのです。こんな絵も出ているのです。この絵をこしらえた人は誰か分からないのですが、この地震で大儲けした一部の人へのいやみだと思われます。
 1850年代、百万人の人が住んでいたと云われる江戸です。こんな風刺的な物までが売り出されます。貧しいながらも楽しい世の中ではなかったのかともこんな物を見ていると想像が次から次へと湧きだしてくるから不思議ではありませんか。                          
 なお、この絵の中に書かれているのは、ここに集まっている沢山の商人たちが、それぞれにナマズ様にお礼を言っている言葉です。
 余り細かくてよくは分からないのですが、一番最初には次のように書かれています。ご参考までに。

 「ヘイごめんなさいやー。わちきはとびのかしらでごせへヱすがこのたびはいろいろおせはくださり、おかげさまでもうかりました。これはあげでごぜいす。ほんのしるしばかり。とびにあぶらげとはこのことでございます」
 
「さかんぬり」「材木や」「だいく」「やねや」等の名前が見えます。



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