私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

是も噂話“いとおこなり”

2011-08-07 07:48:15 | Weblog
 十月十七日の日記より

 地震発生から二週間も経過すると、あれほど詳しく江戸の町々の被害状況を書き綴っていたのですが、この2,3日かく事もないのか、簡単に二,三行で終わっています。

 「・・・午の下刻やや驚くばかりひとつゆる。積みたる箱どもうごくほどなり。・・・」
 と。
 仙果先生の記録ですと、地震が発生したのが十月二日の夕方です。それ以後、日に何回か大きな余震が続き、人々の大いなる恐怖心をあおります。そのような大きな震りは、七日を最後に漸次収まって行きます。でも、十七日、「やや驚くばかり」と形容した震れが発生しています。久しぶりのやや大きめの震れがあったのでしょうか、そこからまた噂が街中を飛び交います。これもまた振るっています。

 「十八日は心をつけ、大火たくななどこのころのゝしりさわぐ。観音のみさとしおほやけよりの御触也などという」

 十七日のやや驚くべきばかりの久しぶりの余震に驚いたのでしょうが、観音様の御触れだとかお上からの御達しだとか、そんなあらぬ噂が飛び交います。其れも「十八日には」と云いますから面白いではありませんか。十七日の1時頃に地震が起きて、いくばくも時間が立ってないにもかかわらず、たちまちの内に、江戸中に、この噂が流れ広まり、市民に恐怖心を煽り起てます。火の使用は十分気を付けというのです。観音様のお告げと云うのもまた振るっていますね。お上からの御触れと云うのも、現実的で、さもあらんと思われます。

 そんな噂に対して、先生は
 「いとおこなり。はたして」
 と、大変ばかげたうわさだ。そんあことがあるもんかと、書いています。

 なお、蛇足ですが、「おこ」と云う漢字をしっていますか????

 「痴」「烏滸」「尾籠」「愚戯」

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