私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

「紙魚室雑記」は名著です

2011-06-06 11:23:50 | Weblog

 「災害は往々にして重なるを常とする」。こんな言葉が格言があるのかどうかわ知りませんが、何か自然災害が起きると、それが起因になってかどうかは知りませんが、しばしば引き続いて、その災害と関係ない別の災害が起るものです。3月11日の東北大震災の後も、雪や雨が東北の地震災害地域を襲い、
 「そんなにまでして東北地方ばかりを天は虐めなくてもよかりそうなものを」
 と、災害を受けなった他の地方にいる人々を思わしめたものです。

 そんな例を、城戸千楯先生は「紙魚室雑記」に詳しく書き記しています。

 「十八日朝より雨ふり、殊に大雨近年は稀なる雨也。終日大雨止まず。所々洪水兼て地震にゆるきありしや、所々堤石垣土蔵建家崩れ侯事おびただしい」
 と有ります。
 先日の地震で地盤が緩んだ所などこの大雨によってもろくも崩れたのがそうです。その具体的な場所として、逢坂山に山崩れがあって、「往来留る」と。更に、大津中寺裏にある川の堤も七十間斗切れ、京町小舟入辺りは洪水に見舞われます。又、京都では清水寺辺りでは山崩れが起き、宇治橋等多くの橋が流されたというのです。伏見六地蔵辺りもやはり洪水で大変だと聞いているとその被害状況が書かれています。

 京都を中心として地震とその後を襲った大雨による被害状況をこのように詳しく記しているのです。この辺りが方丈記の鴨長明との書きぶりに差がある所です。文学的な味わいに視点を置いた文章になったのですが、千楯先生はその記録に重点を置いて書いているのです。
 
 そのように考えると、この千楯先生の著書は、あまり世間には知られてはいませんが、読んで見ますと誠に味わい深い名著であると、私は思っています。


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