私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

3・11  山は動きません

2012-03-11 18:36:30 | Weblog
 1年前の今日です。田畑や町や飛行場まであの生々しい光景は今でも忘れません。2時40分に一人畑でこの未曽有の大災害に遭遇して亡くなった人人に対して、私一人で静かに首を垂れ黙祷を捧げながら、詩を作ってみました。また、筆敬さんに「なにゅうしょんなら」とこっぴどく罵声を浴びせられることは分かっているのですが、それを覚悟の上で、ご笑読ください。

    3月の北風が振り上げた鍬の刃先を通りぬけます。
    誰もいない畑です。
    
    冬の寒風の中でじっと耐えていた
    ハコベも
    スズメノカタビラも
    ホトケノザも
    小さな小さな、名も知らない雑草達も
    3月の子供のような小さな日の光をもらって生きながらえています。
    本当の春の喜びは、未だ、知らないかように
    土地に這いつくばりながら
    わずかなわずかな希望という字を体中に浮き立たせながら
    本格的なお日様をじっと待っています

    百姓が、
    只一人
    畑で鍬を振り上げています
     
    川は涛々と流れています
    雲が足早に東へ流れています
    
    
    山は動きません

    
    ああそうだ
    きょうは3月11日だ
    あの忌まわしい記憶が
    川の水に映った
    空の雲と一緒に後から後から流れて行きます
    今、午後2時40分です
    あの日の記憶が空いっぱいに広がります
    1年の記憶が
    
     
    山は動きません
    
     
    この1年はというと
    本当にあったいう間の時間のようでもあり
    はたまた
    終わりのないとほうもなく長い幻燈のようでもあり
    特に、東北の人々には

    その光は
    今日の春の日のように
    か細く、あるかないかの弱々しいものだったのでは・・・
    
    でも、でも
    その中を生きて欲しいのです。
    私の周りにある畑の草のように
    春の日の光は、必ず、皆さんの頭上にまでやってきます    
    だって、
    動かない物の中にだって動く物は必ずあるのです
    
    ほら、あそこでもここでも
    絆という大きな力が
    人の心を動かしているではありませんか