ホトケの顔も三度まで

ノンフィクション作家、探検家角幡唯介のブログ

ハザードマップ

2009年03月26日 18時00分54秒 | 雑記
 自宅の郵便受けに市役所から書類が届けられた。ハザードマップである。

 洪水や地震が起きた時、被害の及ぶ範囲や程度を示した地図のことだ。なにせ「安心安全」が最も大事な価値として、お題目のように唱えられる世の中である。ついに僕の家にもこんなものが届けられたか、そんな妙な感慨を抱きながら、ためしに中身を見てみた。

 とりあえず、「地域危険度マップ」を見て驚いた。マグニチュード7・3の「東京湾北部地震」を想定した建物全壊率を表わしたものだが、自分の部屋がある地域は、最も全壊率の高い「危険度5」と判定されている。他の地域はほどんど「危険度1」なのに……。10~20パーセントの建物が全壊するらしい。

 また、震度の分布を示した「揺れやすさマップ」によると、震度6強。僕の部屋は5階なので、いったいどれほど揺れるのだろう。液状化の危険度も「高い」らしい。4段階で最高ランクをつけられている。地震が起きたら、めちゃくちゃ揺れたうえ、地面から地下水があふれ出て、建物が地面に沈み込むようだ。危ないったらこの上ない。

 実は今の部屋に引っ越しをする時、都心のぼろアパートに住もうかとも迷ったのだが、そろそろ大きな地震が起きそうなのでこちらを選んだという経緯があった。それが全然、意味がなかった。山だけでなく、街にも危険がいっぱいじゃないか。

 それにしても、市役所の人は地震の震度を示す地図の名前に、なぜ「揺れやすさマップ」などというやさしい名前を付けたのだろう。命の危険を示すものなのにおかしいと思わないのだろうか。まるで、揺れて欲しいみたいである。役人の言語感覚というのはどうなっているのか、さっぱり理解できない。

 
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