ホトケの顔も三度まで

ノンフィクション作家、探検家角幡唯介のブログ

311

2012年02月09日 10時23分21秒 | 雑記
昨日、ドキュメンタリージャパンの清水さんに誘われ、「第三回座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル」を見に行った。夜は森達也セレクションの『311』。森さん、綿井健陽さん、松林要樹さん、安岡卓治さんの四人が、東日本大震災の被災地に訪れた時の映像を作品化したものである。

最初に原発の30キロ圏内に入るところから始まり、その後、津波の被害地に行くという六日間の旅をつづったものだ。現場の混乱にたじろぐ四人の姿が赤裸々に映し出されていて、面白かった。被災地の現状を直接描くというより、主に被災者に話を聞いたり、現況を目の当たりにする取材者の動揺を通じて、震災にあうこと、震災に遭わなかったことの意味があぶりだされる。

私の場合、2月から7月まで北極にいて震災の情報からほとんど遮断されていたので、正直に言うと、被災地に行けていいなと思った。自分もまた地震の時に日本にいたら、人生が今とは変わっていたのかもしれないと、今でもよく思う。その後の四人のトークセッションでは、被災しなかったことの後ろめたさが主なテーマになったが、私の場合、後ろめたさを感じられなかった後ろめたさみたいなのがある。今でも地震の話は、私の中では避けたい話題である。

その後の飲み会にも参加させていただいた。森さんは以前、「kotoba」で『雪男』の書評を書いてくださっていたので、お礼ができてよかった。もともと森さんの本のファンなのだが、すごくソフトな人で、またいっそうファンになった。同世代の松林さんは『空白の五マイル』を読んでくださっているそうで、それもうれしかった。

『311』は3月3日からユーロスペースで公開開始。
http://docs311.jp/index.html

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