狼と香辛料〈14〉 (電撃文庫) 価格:¥ 599(税込) 発売日:2010-02-10 |
ストーリー的にはレノスの街に戻って来て出発するまでにも届かない。正直、些細なことに1冊丸々費やしただけという印象。
確かにホロとロレンスのやり取りがこのシリーズの妙味なのだが、どうでもいいことをグダグダしているだけで、面白いとは感じられなかった。
ロレンスが自分の気持ちに向き合わない。それに対して行商人だからというエクスキューズを使い過ぎる。その同じ状況をこのところずっと持続し、変化に乏しい。今作のような巻き込まれ型の事件だと更にそんな印象を強くしてしまう。
これまでにも感想で書いてきたが、二人のやり取りをメインにするのならつまらない展開を削って短編のような作りでもいいと思う。もちろんそれでストーリーを展開させるのは難しいが、できないものでもないだろう。今の展開ではあまりにも針小棒大な感じがあって、読むのが辛い。
コルやエルサもあまりストーリーに絡んでこないし、特にエルサは登場させた意図が一面的すぎるように感じられた。シリーズ全体として序盤にあった広がっていく予感が中盤以降完全に失速し、本当に些細な感情のやり取りだけになってしまった。13巻のノーラが主人公の中編のように面白い話が描ける作家なのだから、もっと頑張って欲しい。これで満足するファンが少なくないことが作者の成長を阻んでいるのだとしたら残念だ。(☆☆☆)
これまでに読んだ支倉凍砂の本の感想。(☆は評価/最大☆10個)
『狼と香辛料』(☆☆☆☆)
『狼と香辛料II』(☆☆☆☆)
『狼と香辛料III』(☆☆☆☆☆)
『狼と香辛料IV』(☆☆☆☆☆☆)
『狼と香辛料V』(☆☆☆)
『狼と香辛料VI』(☆☆☆☆☆)
『狼と香辛料VII Side Colores』(☆☆☆☆)
『狼と香辛料VIII 対立の町〈上〉』(☆☆☆☆☆)
『狼と香辛料IX 対立の町〈下〉』(☆☆☆☆)
『狼と香辛料X』(☆☆☆☆☆)
『狼と香辛料XI Side Colors II』(☆☆)
『狼と香辛料XII』(☆☆☆)
『狼と香辛料XIII Side Colors III』(☆☆☆☆☆☆)
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