環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

「経済」 「社会」(福祉) 「環境」、不安の根っこは同じだ!

「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

 再び「現行の経済成長」は50年後も可能か? 

2007-03-09 21:10:34 | 市民連続講座:環境問題


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さて、「社会的合意形成」の話が10回ほど続きましたので、今日からしばらく離れていたカテゴリー「市民連続講座:環境問題」に戻ります。

2月25日のブログで、モノの生産には、労働力のほかに、生産工程に「原材料」、「エネルギー」、「水」などの資源の供給(インプット)が必要で、生産工程からはかならず、「製品」とともに、「廃棄物(固形廃棄物、排ガス、排水)」および「廃熱」が排出(アウトプット)されることを学びました。
 
そして、重要なことはたとえば、エネルギーが十分あっても、その他の条件が一つでも量的あるいは質的に有意に満たされなくなれば、生産活動ができなくなるということ、つまり、生産活動は供給資源(原材料、エネルギー、水)と廃棄物の処分能力のうち、最も少ない条件に縛られることになるということでした。

それでは、これらの生産条件の現状と将来を地球規模で調べてみましょう。



この図で明らかなことは、中央の「経済活動」を行うのに「インプット」が必要であり、その結果必ず「アウトプット」があるということです。ですから、中央の「経済活動の拡大」(その総和が国レベルでは「GDPの成長」という指標で表現される)を求めれば、既存の経済・産業システムへの「インプット」を高めることになり、「アウトプット」も高まるのは当然といえるでしょう。

このアウトプットの蓄積が「環境への人為的負荷」であり、環境問題の原因です。それ故、「経済活動の拡大(GDPの成長)」は資源やエネルギーのインプット量)に制約されると同時に、廃棄物のアウトプット量に制約されることになるのです。

そして、20世紀後半に自然科学が明らかにしたことは、現行の産業経済システムで利用可能な資源やエネルギーの量(資源やエネルギーの減耗、最近のピークオイルという概念など)に限界が見えて来たこと、環境の許容限度にも限界が見えてきたこと、つまり、

 「インプット」「アウトプット」も限界点に近づいてきたこと、ある部分ではその限界点を越えていることです。

とりあえず参考資料として、世界の主要金属や世界のエネルギー資源確認埋蔵量と可採年数が参考データとして重要です。可採年数とは、ある年の年末の確認可採埋蔵量をその年の年間生産量で割った数字であらわされ、地下資源の有限性を示す目安の一つとなっています。

しかし、本当のところは神のみぞ知る、です。いずれの資源もその主なものは、現在の知識では、2050年までになんらかの限界が明らかになりそうな状況を示しています。これらの予測値や推定値についてはいくつか公表されたものがありますので、最新のものを参照してください。