環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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社会的な合意形成 ④ 環境問題と科学的知見

2007-03-03 11:07:55 | 社会/合意形成/アクター


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20世紀後半の高度経済成長期に、日本企業、とくに製造メーカーが最も重視してきたものは「品質」、「コスト」および「納期」でした。その結果、日本の製品は国際的にも有利な立場を確保し、日本経済の発展に大きく寄与しました。

しかし、一方で日本の産業界は「外部からの圧力」を受けるたびに必ずといってよいほど、「因果関係が科学的に解明されていない」という立場をとり、結果として、事態の解決を先送りにしてきたように思います。

とくに環境問題では、しばしば企業側から「科学的知見が乏しい」と言われることがありますが、「気候変動の問題(地球温暖化問題)」を考えるとわかりますように、ある程度の「不確実性(あいまいさ)」を認めざるを得ません。

因果関係の有無は、事態がさらに進展すれば明らかになるかも知れませんが、因果関係があることがわかったときには手遅れで、大きな被害を出すことになりかねません。私たちは水俣病をはじめとする公害病や過去の様々な経験の中から、因果関係を立証するのにどれだけの時間がかかったかを経験してきたはずです。

逆に、時間をかけて調べたが因果関係はわからなかった、しかし、現実の問題として目の前に被害(者)がある(いる)という状況がしばしばあります。

因果関係を明らかにすることは、一見、科学的なように考えがちですが、この発想はもともとが物理、化学、工学の発想で、人間の健康とか生命がかかわる「安全性」の分野や「現在の環境問題」のようなに人間の活動や自然の活動が複雑にかかわっている分野では因果関係が明らかになるまで待つという発想は科学的とは言えず、現実的ではないと思います。

私たちの健康とか安全の問題は単一の要因で起こることはほとんどなく様々な要因が複雑に関係し合っているからです。環境に加わる負荷や人体に収斂される負荷に対して、私たちの知識が追いつかないからです。