酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

「軍人市長」の蛮勇

2009-08-01 06:36:27 | Weblog
 防大出の元自衛官である鹿児島県阿久根市の竹原信一市長が、また見事な豪腕ぶりを見せてくれました。


 《鹿児島県阿久根市の竹原信一市長は31日、4月に不信任決議を受けて失職した直後、市役所各課の人件費総額を記入した張り紙をはがした男性職員(45)を同日付で懲戒免職処分とした。市長から処分の諮問を受けた市賞罰委員会は「文書訓告が相当」と答申したが、市長が押し切ったという。市職員労働組合は「懲戒免職は重すぎる」と反発しており、波紋が広がりそうだ》=31日・西日本新聞=

  竹原と言えば、自身のブログで「最も辞めてもらいたい議員は誰?」というアンケートを掲げ、議員全員の名前を挙げてアンケートを募ったことで名を馳せた。

 反発した議会から不信任を突きつけられたが、議会を解散して抵抗。新たな議会構成になってから、再度の不信任を受けて失職。出直し選挙でカムバックを果たした豪の者だ。

 市職員の「高給」がよほど頭にきているらしく、300人弱の全職員の給料を公表したこともある。これが結構市民に受けているらしい。隣に蔵が立てば、わしゃ腹が立つ~という心理だ。庶民の暮らしがそれだけ傷んでいる証拠だろう。

 竹原の個性がそうさせるのか、防大~自衛隊を通じた経験と教育のせいなのか。大向こう受けを狙うのもいいが、法律ぐらいは知っていた方がいい。ビラをはがしてクビ、はない。

 戦場で上官の命令に背けば軍法で裁かれる。竹原は市役所もそうした組織だと考えているのだ。馬鹿な市長の命令には従わない。これも公務員として「立派な」判断だ。この懲戒免職処分は、訴訟になれば「解雇権の乱用」だとして市長敗訴になるだろう。

 もっとも、この御仁は法律や裁判所など、くそ食らえという考え方の持ち主だ。当然のことながら市役所内に事務所を置く市職員組合に対して、「ここから出て行け」と退去を迫った。

 組合が事務所使用許可取り消し処分の無効を訴えた仮処分を裁判所が認めると、竹原は「この件は公務員全体の問題だ。裁判官も公務員であり、公平な判断は期待できない」という趣旨の発言を行っている。


 法や裁判所に従わなくてもいいという思想が、防大や自衛隊ではぐくまれたとしたら、問題の根は深い。かの田茂神の例もある。

 それにしても阿久根市民はどうしてこんな男を市長に選んでいるのか理解に苦しむ。いくら鹿児島が軍人が好きな土地柄とはいえ、労働法のいろはを無視するような人物を市のトップに据えておくのは恥ずかしいのではないか。

コメント
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