マイケルのショートフィルムズ(PV集)は持っていたけれど、ライブ映像は
未見だったので、見つけたときは本当に嬉しかった。
これはマイケル・ジャクソンが1992年にルーマニアのブカレストで行った
「デンジャラス・ツアー」を収録したもの。
アマゾンの商品説明はこちら。⇒
【ここ】
DVDのジャケット画像もなく、ひっそりしているなと思ったら、
以前に発売されたアルティメット・コレクションの一部を今回、単品として
発売したものらしい。レビュアーたちの発言が興味深い。
アルティメット・コレクションは1万円近くと、ちょっと悩む値段だったため
買いそびれていた私には、降ってわいた幸運であった。
字幕は英語と日本語がある。
しかし音声は選択肢がない。5.1chどころかドルビーデジタルですらない。
これはちょっとどうかと思った。 …彼はミュージシャンなのに。
とりあえず日本語字幕で歌詞が出るようにしてスタート!
*
1) Main Title(オープニング)
セリから飛び出してくるマイコー。
サングラスをかけ、彼にしか似合わないであろう個性的な衣装を
身にまとい、舞台に着地したあと、びしっとポーズをきめて静止。
観客はいっせいに悲鳴をあげ、まるでローマ法王に拝謁を許された
人々のように、目を見開いたまま泣き叫び、感激のあまり顔を覆う。
そしてそれは私も例外ではなく、よくわからないけれど涙がわっと沸き、
立ち尽くしているマイコーから一瞬たりとも目を離すことができない。
観客の間から湧き上がるマイケルコール。
マイケルは何もせず、ただそこに立っている。
それなのに深い感動が私を包み、涙がとめどなく流れていく。
その理由は考えてもよくわからない。
これが彼のカリスマ性なのか、それとももしかしたらこのDVDには
サブリミナル効果でも仕掛けられているのか(笑)。
2分間静止したあと、マイコーはゆっくりとサングラスを外し、放り投げる。
えーと、ちなみにこの頃の顔はジャネット似であった。
肌は完全に白い。
2) Jam(ジャム)
この一切の無駄のないびしっと決まったダンスは、彼に批判的な人々の
口をも封じさせずにはいられないだろう。
このダンスをライブで見ることができたら、私も気絶するのだろうか。
しかしマイケルは手足長いなあ。 10頭身くらいありそうで羨ましい…。
感極まった観客が、次々に会場から運び出されていく。
アマゾンのレビュアーによると、このDVDの観客映像は使いまわしのものも
あり、実際にブカレストでここまで気絶した人が多かったかどうかは不明。
3) Wanna Be Startin' Somethin'(スタート・サムシング)
冒頭で上着を早変わりのように脱ぎ捨てるマイケル。
またしても失神する観客たち。ブカレストだからかもしれないが、
観客は99%が白人だ。
これは口パクではないようで、ダンスしながら息切れしつつの
パフォーマンス。
このあたりになると私の涙も乾き、画面に集中することができる。
あの有名な、股間に手をあてて腰をまわすダンスを連発。
その仕草に入る前の振り付けが、右手で胸を左、右とタッチする、
「十字を切る」ポーズに一瞬似ているのがバチ当たりで面白い。
4) Human Nature(ヒューマン・ネイチャー)
鏡面を滑る人形のように、ぎくしゃくとしながらパントマイム風のダンスをしている。
これも口パクではないので、ちょっと苦しそう。
そしてまた失神して運び出されている観客。
DVDのために編集されているというのを踏まえても、これらの観客たちは、
せっかくマイケルのライブに来たのであろうに、早々に気絶していたら
何も記憶に残らなさそうでもったいないような気がする。
ある意味、「最も楽しんだ人」というべきなのかもしれないが。
5) Smooth Criminal(スムーズ・クリミナル)
中折れ帽をかぶったマイケルのシルエットがスクリーンごしに見える。
PVにもあったが、ダンスの途中でマイケルを含めたダンサーたちが
スキージャンプの選手のように激しい前傾姿勢をとり、静止する。
ありえないよこれ!
どういう仕掛けになっているのか、現在もはっきりしていないが、
靴底が鉄で、床に電池式磁石でも入れているのだろうか?
ためしに私も鏡の前で試してみたが、体をまっすぐに保ったまま、あの角度まで
前傾にするのは足を固定していない限り不可能。くの字に腰が曲がってしまう。
足を固定していたとて、かなりの背筋が必要になるとは思うが…。
なんべん見ても不思議だ。
6) I Just Can't Stop Loving You(キャント・ストップ・ラヴィング・ユー)
柔らかなオルガン?の音が響き、ライターをかざした人々がステージに
熱いまなざしを注いでいる。
やがて前奏が始まる。
朝の静謐な空気のイメージで歌い上げるラブソング。
メイクを直してきたマイコーが、黒人女性歌手とともに切々と歌い上げる。
しかし、途中で彼女の姿が消え、7)に続く。
7) She's Out Of My Life(あの娘が消えた)
あの娘が僕の人生から消えてしまった と歌うマイケル。
女性客が1人、ステージに招きあげられる。
感動のあまり泣きながら抱きつく女性客。
マイコーは歌いながらその女性客にキス!
ギャアと叫んだのは私だけではない。
その女性客はわが身に起きた奇跡が信じられないかのように、
マイケルを抱きしめ、両手のひらでその存在を確かめている。
マイコーはきっちりと歌い続け、彼女から離れると、すぐにSPが来て
彼女を席に戻そうとする。が、彼女はマイケルに手をさしのべ、
必死にすがりつこうとするがSPに抱えあげられて退場。
「もうあの娘は いなくなってしまった」と歌い上げたあと、ステージで
泣くマイケル。うずくまり、左腕を顔にあてがって泣き伏している。
もちろん私も泣いている。 観客も泣いている。
マイクル! マイクル! マイクル! マイクル!
こうして全公演で泣くマイケル。愛しています!
8) I Want You Back / The Love You Save(帰ってほしいの~小さな経験)
みんなは絶対に誰かの大切な人だよ! と言って始まったのがこの曲。
急にウキウキルンルンですわ!
なんだこの明るい曲は!!
ジャクソン5でもおかしくないような、明るいアップテンポで可愛いラブソング。
さっきまで泣いていたマイコーが笑顔でダンス!
いやこれ、ほんとにジャクソン5時代のものなのかも。調べてないけど。
9) I'll Be There(アイル・ビー・ゼア)
しみじみしたバラード。
ジャクソン5時代の映像が流れる。別人だ…。
あっ、また泣いてる…。マイケルが泣くとこちらも泣いてしまう。
主のいないマイクスタンドがずらりと並び、1つずつ順にスポットライトを
当てながら、ジャーメイン、○○、●●…みんな愛してる と兄弟の名を呼ぶ。
この演出は泣ける。
10) Thriller(スリラー)
キッ、キターこれ! ステージではどうなるんです!?
PVでは赤い上着だったが、ここでは黄色の上着を着ている。
感激…口パクっぽいけど…。
そしてあの墓場のダンスもやってくれる。もう感激で号泣。
ところでこれ、「僕は幽霊なんかより ずっと君をぞくぞくさせられる」と
いうラブソングだったのね。
あまりにもPVのデキがよくて、歌詞の意味まで考えたことがなかったのだが、
この日本語字幕を見て初めてラブソングと知った…。
カッパーフィールドばりのイリュージョンあり。
11) Billie Jean(ビリー・ジーン)
黒い中折れ帽に黒いスーツ、キンキラの手袋に靴下の正統派マイケル。
これは踊りつつ歌っている。やや苦しそう。
そしてムーンウォーク。
なめらか、そして早い! これを見られるとは感激。
12) Working Day & Night(ワーキング・デイ・アンド・ナイト)
君は僕を昼も夜も働かせるんだね
金なんかいらない僕は疲れてしまったんだ という歌詞なのだが
なんだかリアリティがあって胸が痛くなる。
そしてまたイリュージョン。
13) Beat It(今夜はビート・イット)
赤いジャケットをまとったマイケル。
これ、CDではエディ・ヴァン・ヘイレンがソロ弾いてるんだよね。
またPV風の演出で、街のギャングたちが登場。カッコいいダンス。
14) Will You Be There(ウィル・ユー・ビー・ゼア)
静かで神々しい音楽が流れるなか、会場にオーロラが現れる。
優しいメロディにのせて、祈りに似た歌詞が続く。
鋭く変調し、「みんなが僕を操ろうとする まるで世界が僕に役割を
与えてでもいるかのように 僕はとっても混乱している」
「優しく大胆に 僕をそこに連れていってください」
もはやそのまま祈りの言葉だよね。
教会に行き、頭を垂れて許しと救いを得ようと語りかけているような。
空から天使が現れ、その翼でマイケルを包む。
これまた泣ける。
15) Black or White(ブラック・オア・ホワイト)
冒頭はPV映像。可愛かった頃のマコーレー・カルキンが映る。
このPVも好きだったなあ。この頃のマイケルも美しかった。
アルバムでのギターはガンズのスラッシュが協力していたんだよね。
ステージにマイケルが飛び出してきて大歓声があがる。
この曲も大好きだったけれど、やはり歌詞の内容はきちんと調べた
ことがなく、眺めていると、
「俺は生涯 有色人種と呼ばれて生きる気はない」 のくだりが。
なんだかマイケルの歌詞は、その折々での直球ストレートな感情が
反映されているのではという気がした。
「白か黒かなんて関係ない 白と黒を乗り越えるのは難しい」 って。
マイケルがいうと、なにかとても重い。
16) Heal The World(ヒール・ザ・ワールド)
この歌も好きだ!
実に癒される。一緒に歌いながら泣いてしまう。
「世界を治療しよう よりよい場所にしよう」 と柔らかく歌うマイケル。
17) Man In The Mirror(マン・イン・ザ・ミラー)
「世界をよくしたいなら わが身を振り返り、自分自身から変えて行こう
まずは鏡の中の男から」
といった内容。またしても気絶して担架で運ばれる者多数。
しまいには車椅子の客までサーフで運び出されていた。
曲が終盤にさしかかると、マイケルは真っ白なツナギに着替え、
ぶかぶかのメットをかぶる。
ロサンゼルスオリンピックの開会式でも使われた、あの背負って
飛ぶロケットジェットで舞い上がり、一巡して暗がりに消えていくのだが
これ、実際に飛んでる人は変え玉だと思う…。
*
まあ、それはともかく、この演出にも意味があって、恋愛したり
別れを経験したり、人生に悩んだりしていたマイケルが、よりよい
世界のためにと救済を思い立ち、悟りを開いた者、善行を積んだ者として
天国に迎え入れられる というのが今回のステージの流れなのではないかと。
極上のエンターテイメントを見た感激とともに、深いカタルシスをも得る
ことができた。まるで私自身が教会で額づいて許しを請うたかのように。
しかしこんなにメッセージ性の強い歌詞だったことには驚いた。
この強烈なカリスマ性は今後も追随するものを許さないだろう。
彼は間違いなく KING of POP であり、今なお世界中の人々に愛されていると
確信しているのだが、ここ何年もゴシップネタばかりで騒がれ、彼のファンで
あることすら公言しにくくなっている現状には辛いものがある。
現在は裁判を終え、家族とともにバーレーンに滞在しているマイケルだが
ちょうど25日付けのロイターで「アラブ女性に変装して買い物」と報じられた。
3人の子供たちにもベールをかぶせていたらしいが…。
マイケルはこの格好でさらにサングラスもかけている。
怪しすぎて目立つダロ!! 笑ったけどさ…。
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マイケルには元気で長生きしてほしい。